Synology DS218jと東芝レコーダーD-M470を連携する

最終更新:2020/05/01

2013年末頃に発売された東芝製タイムシフトマシン搭載のレグザサーバー(HDDレコーダー)D-M470を約5年にわたって愛用している。今回は、Synology NASのエントリーモデル DiskStation DS218jを使って録画番組の整理をしてみた。

D-M470の概要

D-M470は、最大7チャンネルの地上波デジタル放送を同時に録画できる、いわゆる「全録レコーダー」。事前に録画予約をしていなくてもチャンネルさえ指定しておけば自動的に録画が開始され、HDDに記録されている過去番組表から選んで好きな番組の最初に遡って視聴できるという当時としては画期的な視聴スタイルを提案した製品だった。古い番組から順に削除されていくので、見終わった番組をわざわざ削除する操作をしなくてもよく、「手間なし、手放し感」を前面に打ち出していた。

同様の設計思想のレコーダーはその前にDBR-M490があったけど、Blu-rayディスク再生/録画機能を搭載していて全方位をカバーしようとした製品だったので筐体も大きく、価格も他社製品と比べても突出して高価だった。D-M470は、DBR-M490から思い切ってBlu-rayドライブを省略することでシステムを簡略化し、筐体の大幅なダウンサイジングとともに低価格化を図ったモデル。

全録レコーダーはその後2019年現在に至るまで、価格の高さからなのか、インターネットで視聴する動画サイトやコンテンツ配信サービスの隆盛からなのか、それほど一般化せず、東芝かパナソニックの一部機種に残っているに過ぎない。それらもBlu-rayドライブを搭載しているのが前提で、安いものでも7万円くらいから、高級機は16万円前後の価格帯になっている。

タイムシフトマシンの問題点

D-M470のタイムシフトマシンは便利なんだけど、7つあるチューナーのうち6つはタイムシフトマシン専用で通常録画用に転用できず、裏番組が複数重なっている時間帯を予約録画で確実に同時録画しておく方法がない。タイムシフトマシンから残しておきたい番組を「ざんまいプレイ」という番組抽出機能でリストに出させてタイムシフト領域とは別の領域に保存するという運用しかできない。それなりに画質を維持しようとするとタイムシフトマシンは長くても1週間分くらいの番組しか保持しておけないので、多忙だったり、長期の旅行・出張などで留守にしていてリストをチェックできないとシリーズ物の番組を録り逃してしまうというミスが無視できない頻度で起こる。そういった柔軟性のなさなどに不満はありつつも今まで一度も故障はしていないので買い換える動機も弱いのが現状。

なお、最近の東芝製レコーダーのタイムシフトマシンは改善されていて、同じ曜日、同じ時刻の番組を繰り返して自動的に保存しておいてくれる機能が追加されている。通常録画に使えるチューナーが1つしかなくても、すべてのチューナーを効率よく利用できるように進化している。

容量不足問題

更に深刻な問題が容量不足。保存用領域にはUSB接続の外付けHDD(3TB)を利用しているけど、5年も運用していると「一度は観たけど残しておきたい番組」や「いずれは観ようと思っている番組」といった消すに消せないデータが溜まってきてHDDの容量を圧迫してくる。

容量不足はセルフパワーUSBハブ経由で新しいUSB-HDDを追加登録するのが一番簡単な解消方法ではある。ただ、そうした場合、著作権保護の関係で録画したレコーダーでしか再生できないという問題が残るのでD-M470が故障したらすべての録画番組を視聴できなくなる。故障したD-M470を修理したとしても、登録したUSB-HDDを再認識する保証はない。それに、ただUSB-HDDを追加するだけでは、2万円くらいの出費がかさむ割にデジタル機器のスキルが何も向上しない。

2014年12月2日にD-M470のファームウェアに大型アップデートがあり、DTCP-IPに正式に対応した。それまではレグザブランドの限られた機器でしかD-M470に記録されている録画を視聴できなかったけど、iPhoneをはじめとする一般のスマートフォンやWindows PCで視聴できるようになった。その後、I-O DATAやBUFFALOからDTCP-IP対応NASが登場し、録画番組をレコーダーからLAN経由でNASにダビングできるようになった。ただ、DTCP-IPは日本語放送の著作権保護を目的とする日本独自の暗号化技術であったため、海外製NASはDLNAに対応してさえいれば十分と考えられていてDTCP-IPへの対応は遅れていた。サードパーティとして組み込みソフトウェアを開発する日本のIT企業がDTCP-IPサーバー機能をNASに追加するアドオンを海外NASメーカーにも提供したため、I-O DATAとBUFFALO以外の選択肢も増えた。

NAS選定

NASを選定するにあたっては、ハードウェア的な性能ももちろん大事だけど、DTCP-IPサーバーとして運用できる能力がなければならないので、ソフトウェア(ファームウェア)の面でも適否を検討する必要がある。

DTCP-IPサーバー候補

まず、NASをDTCP-IPサーバーとして運用するには、当然ながらDTCP-IP用アドオンが必要になる。候補は次の3つ。

DiXiM Media Server
I-O DATAやBUFFALOのNAS、東芝のREGZA、シャープのAQUOSでも採用している比較的メジャーなDTCP-IPサーバー組み込みソフトウェア。DTCP-IP対応のプレーヤー「DiXiM Play」がダウンロード販売されていて、Android版、Fireタブレット/Fire TV版、iOS版、Windows版と複数のプラットフォームに対応しているのが特徴。

sMedio DTCP Move
Synology、QNAP、ASUSTORなど海外製NASにも採用されていて対応機種は非常に多い。ただ、録画データのムーブに失敗する確率が高く、失敗した場合でもダビング10のコピー可能回数は減ってしまうという問題があるらしく、信頼性の面でやや不安がある。sMedio DTCP Moveに対応するプレーヤー「sMedio TV Suite」がスマートフォンの場合、Androidにしかアプリがなく、iOSにはない。スマートフォンはiPhoneを使っているので、iOS版がないというのは減点になる。

Twonky Server
3つの候補の中では一番歴史があり、QNAPのNASで採用されていたけど、最近事業譲渡などがあった関係で活動を縮小しているようで、Twonky Serverが使えなくなったという話が出ている。また、録画データをムーブしたはいいけれど、それを再生する「Twonky Beam」というアプリが配信停止になって使用不能になってしまっていたりなど、先行きが不透明なところがあるようだ。

東芝がまだAndroidのスマートフォンを販売していた頃は専用のプレーヤーを作って配信していたけれど、ファームウェア更新で東芝製レコーダーがDTCP-IPに対応したために専用プレーヤーが必要なくなり、「DiXiM Play」や「Media Link Player for DTV」を録画番組持ち出しや配信受信用のアプリとして公式に指定するようになった。Media Link Player for DTVは以前から使っていて、番組の持ち出しやD-M470からの配信の視聴ができることはわかっている。また、最新機種ではDiXiMの組み込みソフトウェアを使用していることが公式サイトにも書かれているので、D-M470のファームウェアにもDiXiMの技術が組み込まれている可能性が高い。

特に悪い評判もないので、東芝製レコーダーとの親和性も高そうなDiXiM Media Serverに仮決定する。

NASハードウェアの選定

DiXiM Media Serverをアドオンとして採用しているNASはI-O DATA製かSynology製しかない。I-O DATAは国内メーカーではあるんだけど、HDDはWD Redと決まっている上に、Redを単体で買った場合より価格は高めに設定されている。HDDを搭載していないNASキットもあって好みのHDDを選ぶこともできるんだけど、仮にDiXiM Media Serverでうまく録画データのムーブができなかった場合、他の手段がない。

SynologyはDiXiM Media ServerとsMedio DTCP Moveの両方に対応しているので、ひとつ試して目的が達成できなかった場合に他方のアドオンを試すことができる。ただし、DiXiM Media ServerはDS218jというエントリーモデルにしか対応していないし、今後も対応する予定がないそうなので、この記事を書いている時点ではDS218jを選ぶしかない。発売時点ではDS218j以外のSynology NASにもDiXiM Media Serverを展開する予定はあったようだけど、開発元のデジオンの方針が変わらない限り唯一の機種になりそうだ。

いずれにせよ、まずは録画番組をムーブできないことには容量不足問題を解消できないので、トランスコード機能を搭載していないなど若干スペックに不満はあるけど、NAS本体はDS218jに決定した。

内蔵するHDDについては「NAS向けHDD」と称するモデルが各社ラインナップがあるけれど、一般PC用HDDよりもひとまわり価格が高い。たまたま通販で週末特価販売があったので、WD Blue 4TB 2基とした。一般用でも省電力化や静音化は進んでいるので、Redである必要はないと判断した。

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現状の環境

NASを導入する前の環境は次の図のようになっている。D-M470には有線LANも搭載されているけど、100Mbpsまでの速度しか出ないのでWi-Fiで接続している。2013年発売なので、IEEE802.11nまでしか対応していないけど、5GHzの無線LANには対応しているので、有線LANよりはスループットが出る。ちなみに、東芝製レコーダーは最新機種でもいまだに有線LANはギガビット・イーサネットに対応していないので、Wi-Fi(IEEE802.11ac)で接続することになる。

テレビは東芝の32R9000という機種。2009年製と古いので、イーサネット端子はついているものの、主に番組表やファームウェアの受信のためのもので、DHCP等のLAN機能はない。当然、DTCP-IPにも対応していないので、サーバーから録画番組の配信を受信することもできない。

Wi-FiルーターはASUSのRT-AC68U。新しい機種ではないけれど、後発の機種よりも高性能だったりして評価が高い。ルーターそのものはDTCP-IPとは関係ないので、データの流れを説明する図では省略する。

なお、PCもルーターに接続されているけど、DTCP-IP対応のソフトウェアをインストールしていないので、この図では除外している。

使用可否試験

NASを導入する前に、D-M470と各種プレーヤーの間で致命的な相性問題がないか試験してみた。Media Link Player for DTVは以前から使っているので問題ないことはわかっている。DiXiM PlayのiOS版とWindows版をインストールしてみてお試し1分間視聴ができるので、とりあえず映像と音声が出ることを確認した。ただし、D-M470本体に内蔵されているHDDの録画番組は配信されるけど、USB-HDDに記録されている録画番組は番組リストすらブラウズできなかった。スリープ状態になっているUSB-HDDをウェークアップしている気配すらなかった。

ブラウズできない理由ははっきりしないけど、ひとつ言えることは、東芝製のレコーダーは録画番組を見た目上フォルダで管理できるけどWindowsのフォルダのようにそこに格納されているわけではなく、タグ付けのように扱われているということ。したがって、ひとつの「すべて」フォルダに録画番組が全部格納されているため、ブラウズしようとすると大量のリストをロードしなければならないため応答しないと考えられる。

後でNASを導入してからわかったことなんだけど、スマートフォンアプリでAVC 5.8相当のHD画質の録画番組を再生できていたのは、D-M470がトランスコードしているからだと判明した。旧式の機種ながら、トランスコード機能を実装しているとは意外に優秀な機器だった。

DS218j導入

NASを導入した環境を表したのが次の図。Windows PCには無線LAN機能がないのでギガビット有線LAN。DS218jにも無線LANはないので、付属のLANケーブルで接続。ギガビットに対応しているので配信には問題ないけど、SATAなどと比べると転送量は少ないので書き込みにはやや時間がかかる。

RAIDはあえて組んでいない。LAN内に4TBのHDDを2基配置したイメージで、片方を録画番組の倉庫に、他方をPCなどのデータのバックアップ領域にする。冗長性がないのでどちらかのHDDが故障したらそのHDDのデータは失われてしまうけど、テレビ番組の録画なら失ってもそれほど惜しくはないのでRAIDを組むことで有効容量が少なくなるデメリットのほうが大きい。そもそも、レコーダー内蔵のHDDも、USB-HDDも、冗長化なんてしてなくて5年も運用していたわけだし、今更故障リスクを考え始めるのも滑稽な話だ。

PCバックアップはPC内のメインストレージのRAID 1か、そのRAID 1の内容をまるごとコピーした古いHDDを転用した内蔵バックアップか、NASのHDDのいずれかに生き残っていれば救済できるので、PC外のデータ分散先までRAIDにする必要はない。

なお、DS218j本体やDiXiM Media Serverの導入方法については他にも詳しい記事がたくさんあるので、ここでは述べない。

ダビング

レコーダーからDiXiM Media Serverに録画番組をコピーする方法は、アップロード型とダウンロード型がある。アップロード型はレコーダーを操作してDiXiM Media Serverにデータを送信する方法で、ダウンロード型はNASのDiXiM Media Serverを操作してレコーダーにデータを要求して受信する方法。どちらの方法を使うかはレコーダーの設計に左右されるけど、アップロード型が多数派。ダウンロード型の機器はかなり限定される。

どちらが優れているとは言い切れないけど、アップロード型はレコーダーとNASが起動していれば操作を完結できる。ダウンロード型はPC、タブレット、スマートフォンのウェブブラウザを起動してNASを操作しなければならない。ただ、ダウンロード型はデータの転送要求に応えることさえできればいいので、SONYのnasneのように、もともとアップロード機能を持っていない機器でも対応できる可能性があるというのが利点。

D-M470はアップロード型でもあり、ダウンロード型でもある。良く言えばハイブリッド型だけど、録画番組の種類によって切り換える必要があるという意味ではレコーダーを操作したり、NASを操作したりとせわしないとも言える。

通常録画番組(HD画質)

通常録画で記録したHD画質の番組は、レコーダーを操作してNASに送信する。デフォルトではDS218jにつけたサーバー名に [DiXiM Media Server] を加えた名前で表示される。この名前を識別のためのフレンドリー名と呼ぶけど、長すぎると思う場合は変更できる。

AVC 5.8相当で記録した録画番組の場合、30分番組なら約5分で転送が完了する。レコーダーに直結されているUSB-HDD同士でダビングする場合のようにダビング10のコピー可能回数の残りごと移動させることはできないので、元の録画番組のコピー可能回数が1つ減り、NASに複製ができる。NASへコピーした録画番組は1回分のコピー回数しか残っていないので、NASから更にどこかへムーブしたりコピーしたりすることはできない。

持ち出し変換済み番組(SD画質)

持ち出し番組として変換した録画番組の場合はD-M470本体内蔵HDDの専用領域に記録されているため、レコーダーからではアップロード操作ができない(リストの確認と削除はできる)。NAS側を操作してレコーダーからリストを取得し、ムーブしたい番組を選んでダウンロードする。スマートフォンのアプリを使って番組を持ち出すのと感覚的には同じ。ファイルサイズが小さいので、30分番組なら1分半程度で転送が完了する。

DiXiM Media Serverにはタスクを設定してダウンロード可能な録画番組ができたら自動的にダウンロードする機能があるけど、D-M470はこの機能に対応していないので、自動ダウンロードはできない。

ダビングまとめ

上記のダビング方法を表すと次の図ようになる。パナソニック製のダウンロード型のレコーダーの場合、DiXiM Media Serverを操作して録画データを低解像度のデータに変換しながら優先してダウンロードすることができるんだけど、D-M470の場合は一度レコーダー側で低解像度の録画データを作成してからでないとDiXiM Media Serverに送れない。この辺は設計思想の違いで、新旧に関わらず東芝製レコーダーの共通仕様であり、仕方がないと諦めるしかなさそうだ。

DiXiM Media Serverの公開フォルダは通常の共有フォルダと同等に扱われるため、Windowsのエクスプローラーから中身を参照することもできる。また、公開フォルダを複数設定することもでき、ボリューム1が満杯になったらボリューム2を利用できる。NASから外に出すことはできないけど、NASの中で移動させる分には何度でも移動できるため、8TBの格納領域を得たことになる。注意点としては、Windowsのエクスプローラーでファイルを移動させることも一応できるんだけど、コピー可能回数の情報が欠落してしまうので、少々面倒でもDiXiM Media Serverをちゃんと操作して移動させるほうが良い。

なお、sMedio DTCP Moveは公開フォルダを別の方法で参照することができないように権限が設定されているそうだ。

再生検証

レコーダーの録画番組をNASに移せたとしても、それを再生できないのでは意味がない。上記の使用可否試験で問題なかったDiXiM PlayのWindows版とiOS版、Media Link Player for DTVの3種のプレーヤーで検証した。他にもPower DVDがDTCP-IPに対応しているようだけど、ライセンスを購入してからでないとDTCP-IP機能を試せないので今回は検証していない。

DiXiM Play (Windows)

Windows版のDiXiM Playは画面サイズ、メモリ容量、CPUパワーなど色々余裕があるのでそれほど心配はしてなかったんだけど、HD画質でもSD画質でも正常に再生できた。ビットレートの高低も関係なさそうだったけど、オリジナルの録画番組がAVC 5.8相当なのでそれより上げて録画した場合は特にチェックしていない。

DRモードで録画した番組も問題なく再生できたけど、DRモードにはこだわっていない。

DRモードはMPEG-2であるのに対し、MPEG-4 AVC/H.264による録画は機器間のデータ互換性を高める効果もあるためだ。MPEG-2はエンコードに実数演算を使っていてCPUの演算精度によってはデコード時の誤差が蓄積するため、他社製機器間でのデータの互換性はあまり考慮されていない。一方、MPEG-4 AVC/H.264は16ビット整数演算でエンコード/デコードするためCPUの性能差による誤差が生じない。つまり、NASに限らずDTCP-IPに対応してさえいれば、東芝製とパナソニック製のレコーダーをLANで接続して録画番組をダビングすることもできる。よって、AVCで圧縮したデータさえ再生可能であれば、D-M470が故障して買い換えることになっても新しいレコーダーで再生できるかどうかは必要以上に心配しなくてよい。

D-M470で再生する場合との比較を次に示す。

  • 利点(優れている点)
    • 0.8倍速再生ができる。
    • 1.0倍再生だけでなく、0.8倍、1.2倍、1.5倍、2.0倍速再生でも字幕が表示される。
    • 0.8倍、1.2倍、1.5倍、2.0倍速再生でも音声が出力される。(DTCP-IP対応プレーヤーでは出ないものもある)
    • マウス等のポインティング・デバイスで操作できるため操作が直感的。
    • NAS上の物理フォルダを指定してリストを閲覧できる。
    • ジャンルやチャンネルなど物理フォルダを横断して番組の属性でリスト表示できる。
  • 欠点(劣っている点)
    • マジックチャプター機能で自動的に切られたチャプター情報はなくなり、1チャプターに結合されるため、CMをスキップできない。
    • リモコンを使えないので、遠くからでは操作できない。
    • ショートカットキーがないので、遠隔操作のためにはBluetoothキーボードは使用できず、ワイヤレス・トラックボールやジャイロセンサーマウスなど片手操作が可能なポインティング・デバイスが必須。
    • リストでは録画画質が判別できない。複数の画質が混在する場合はフォルダ分けをするなど工夫が必要。
    • テレビやレコーダーの映像処理エンジンを利用できないため、映像に鮮やかさがない。
    • 再生していた番組が終わった時にその番組がハイライトされないため、次の番組を続けて観たい時にわかりにくい。

DiXiM Play (iOS)

iOS版のDiXiM PlayはDiXiM Media Serverと同じ企業が作った割には想定より成績が悪かった。持ち出し変換済みの録画番組を再生できるのみで、HD画質の録画番組はビットレートに関わらずまったく再生できなかった。再生可能判定を緩くするという設定があったので試してみたけど、音声だけ出て映像は出ないというケースがあり、再生できるとは言えなかった。結局、iOS版のDiXiM Playには課金しなかった。

DRモードには対応していない。

Media Link Player for DTV (iOS)

想定外に成績が良かったのがMedia Link Player for DTV。持ち出し変換済みの録画番組を再生できるのはもちろん、番組によってはHD画質の録画を再生できるものがあった。ビットレートは関係ないようだったけど、何が違うとHD画質で再生できるのかははっきりしない。

ギガビットLANとIEEE802.11acを使えるため、D-M470から直接配信を受けるよりもレスポンスが良く、スライダーで再生位置を調整したりスキップしたりする時の待ち時間がほとんどなく、まったくストレスがなかった。

DRモードには対応していない。「対応していないフォーマットです」と明確にエラーメッセージが出る。

再生検証まとめ

Windows PCで再生する分にはどんな画質や解像度でも対応できるだけど、スマートフォンで視聴したい場合は持ち出し変換して低解像度にしておくことが必須。

持ち出し変換は等速でしか実行できなくて非常に時間がかかるので、録画予約と同時に持ち出し変換も予約しておいてD-M470が比較的暇な時に実行しておいてもらうという運用をする必要が出てきた。タイムシフトマシンから保存した録画は同時変換ができないので、寝ている間や外出中に変換するようにタスクを積んでおくしかない。変換中はタイムシフト再生や通常録画の再生もできなくなり、ほとんど何もできなくなる。最新機種はこの辺も改善されていて、保存時に変換タスクを積んでおくことができる。

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