旧メインPCのリフレッシュ (2)

最終更新:2020/05/19

2019年6月からパーツを集め始め、7月に組み換えたリフレッシュ済み旧PCも半年ほどが過ぎた。古くていつ壊れてもおかしくないような電源を交換し、グラフィックス・カードを追加した。

グラフィックス・カードはなくてもCPUの内蔵グラフィックスで画面は映るのでともかく、電源は不具合を起こした場所によっては過電流や過電圧を吐き出して主要パーツを巻き込んで故障がPC全体に波及してしまうため、交換は急務と言えた。

それほど大きく見た目は変わっていないけど、グラフィックス・カードを追加したのでケース内の密度が増した。グラフィックス・カードのバックプレートの裏側にデザインされた「ELSA」のロゴがLEDに照らされてぼんやり見えるのが格好いい。

電源

電源は自作PCユーザーの間では定評のあるSeasonicのラインナップから、セミモジュラー・プラグイン電源のFOCUS GOLDの650W(SSR-650FM)にした。日本国内の輸入代理店はオウルテック(Owltech)。

AntecのNeoECO Goldシリーズが実はSeasonicのOEMだというのは有名な話で、1万円前後で750W電源が買えるというお得さも手伝って大人気なのは知っていた。

でも、電源ユニット本体はSeasonicグレードなのかもしれないけど、安価なスリーブ・ベアリングのファンを使っていたり、プラグイン用のケーブルの出来があまり良くなかったり、SATA電源プラグの向きが反対だったり、安いのには安いなりの理由があるらしかった。電源にこだわりだすとキリがないんだけど、SSR-650FMはまだ安いほう。

Seasonic FOCUS GOLD 650W(SSR-650FM)の外箱。電源を撮影してもあまり面白くないので、中身の撮影まではしなかった。

電源を替えたところで何か変わるとは思えなかったんだけど、明確に変わった点がひとつあった。

旧電源を使っていた時はCPUクーラーのファンから時々擦れるような音がして結構耳障りだったんだけど、ファンのベアリングがぶれてるのかな、と簡単に考えていた。ところが、Seasonicの電源に交換してからはまったくその音がしなくなったのだ。

旧電源が作られた頃にはまだPWM制御のファンが一般的でなかったせいもあるかもしれないし、交流を整流して直流を出力する電源の電圧には少なくとも揺らぎがあり、やはり品質の差が出る。その辺はさすがSeasonicのGold電源といったところだろう。

次の画像は、取り外した今まで使っていた電源。OVP(Over Voltage Protection)、OCP(Over Current Protection)、OPP(Over Power Protection)、SCP(Short Circuit Protection)といった保護回路を備え、2020年現在も現役として使うには必要最低限の能力を持っている。古くて12Vが2系統ある電源の割には、Core i7-9700Kのオールコア5.0GHzオーバークロック(定格は4.6GHz)に耐えるなど、意外と優秀だった。

mouse computerのネズミの尻尾が出ている旧ロゴが入った500W電源。「Model: MCH500AT」と大きく書いてあるけど、それで通用するのはマウスの中だけ。実際の型式番号は左下に小さく「HEC-500TE-2WX」とちゃんと書いてある。製造会社は存在しているようだけど、日本ではHECの電源は聞かなくなった。一応、80PLUS(Standard)電源。
ATX12V ver2.3 電源供應器::HEC COMPUCASE Enterprise Co., Ltd

Fractal DesignのDEFINE R6は電源が底面配置でファンを上向きにするので気が付いたんだけど、移植当時からファンの回転が不安定だった。いつの間にか、ファンがまったく回らなくなり、さすがに寿命を迎えたと思い、旧メインPCにはあまり電源を入れないようにしていた。

80PLUS GOLD認証取得 高効率高耐久電源ユニット NE650 GOLD
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参考価格: ¥9,980 (2020-04-26)
Antec (2017-12-23)

グラフィックス・カード

グラフィックス・カードのメーカーにも色々あるけど、個人的にはELSAの製品が好きで、可能ならばELSAから選ぶことにしている。価格は安くないけど、品質管理が徹底しているため不良品が少なく、安定性に優れているからだ。Quadroで慣れていて信頼しているからというのもある。

他社製品は選別チップを使って最初からオーバークロックしてあるものも多いけど、トリプル・ファンでマザーボードの幅よりも長かったり、2.5スロット厚だったりと大型製品が多い。ELSAはオーバークロックは仕様に含まれていない代わりにファンはハイエンド・モデルでも基本的にデュアル・ファンで2スロット厚以下とコンパクトに設計されているのも自分好みの点だ。

ついでにELSAはLEDで光ったりしないのもありがたい。イルミネーションをつけると電飾が地味な割に点灯を制御できるマザーボードを選んでしまったり、あまり良いことがないのでGPUを光らせることにあまり魅力を感じない。グラフィックス・カードにイルミネーションをつけるなら、SAPPHIREくらいやって欲しいところだけど、ファンそのものが光るグラフィックス・カードというのは驚くほど少ない。

とはいえ、ELSAのGPUは少々価格が高めなのは事実なので、中古で良い物が出ていないか定期的に調べていた。中古というと、新しいものでも大抵GeForce GTX 1050からGeForce GTX 1080あたりのものが多いんだけど、根気よく待っていたらGeForce GTX 1660 Tiの中古が入荷したので他のユーザーが購入する前に注文した。価格的には無印のGeForce GTX 1660の新品よりも安く手に入ったので良い買い物ができた。

中古なので、外箱は少々くたびれている。比較的新しい製品のはずだけど、空き箱の保管方法があまり良くなかったのかもしれない。最近のグラフィックス・カードのドライバはダウンロードが前提で、メディアがついていないので基本的に本体だけあればよく、付属品が欠品していても問題ない。

日本人は中古品が嫌いな人もいるけれど、中古ということはまともに動いていたことは証明済みだとも言えるし、ショップでも動作確認をしているので、初期不良の心配が新品よりも少ないという利点がある。開封したら中古になってしまうので、新品の動作確認はしないのが普通だからだ。

次の画像は、グラフィックス・カード本体を取り出してみたところ。全面真っ黒で直角という潔さと渋さがいい。デザインは性能にあまり関係ないけど、他社製品のような突起の多いデザインは好きではない。見た感じは非常に綺麗で、中古でもまったく問題ないように思える。直角デザインというとあとはSAPPHIREくらいだけど、AMDのGPUしか採用していないのが非常に残念だ。

グラフィックス・カード本体。バックプレートには大きく斜めにはみ出すくらいに「ELSA」と書いてあり、それがなかなか格好良かったりする。ASUSの鋭い目や、MSIのドラゴンのデザインより自分好みだ。
ELSA エルザ GeForce GTX 1660 Ti S.A.C グラフィックスボード VD6979 GD1660-6GERTS
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参考価格: ¥37,609 (2020-04-24)
エルザ (2019-06-07)

HDD

ついでにHDDも交換した。DiskStation DS218j(NAS)を8TBまで増強した時に余ったWD Blue(WD40EZRZ)に変更。NASを経由してデータ・ドライブを同期する際に、従来のWD Blue 500GBだとさすがに心許ないので、DAIVに搭載されているHDDと同じ4TBまで増強しておいた。

日立の250GB HDDと、そのバックアップ用に使っていたIDE接続の250GB HDDはそのうち退役させようと思う。さすがに3.5インチにしては容量が少なすぎて他に転用しようがないし、中古で売りに出すには古すぎる。ビックカメラに持っていくとHDDを物理的に破壊してくれるらしい。

Western Digital HDD 4TB WD Blue PC 3.5インチ 内蔵HDD WD40EZRZ-RT2 【国内正規代理店品】
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参考価格: ¥8,310 (2020-04-25)
Western Digital (2018-01-01)

新構成

変更後、構成は次のとおりになった。若干古いパーツも混じっているけど、旧メインPCから格下げされたサブPCなので2.5″ SATA SSDでも特に困ってない。

新構成一覧
項目 メーカー 品名 仕様 備考
マザーボード ASRock Z390 Extreme4 Z390チップセット
Intel I219V GbE
Realtek ALC1220
NCT6791D
CPU Intel Core i7-9700K SRELT (P0)
CPUクーラー Scythe Mugen 5 TUF SCMG-5100TUF 無限五 Rev.B
RGB LED仕様
メモリ G.SKILL Trident Z RGB
F4-3600C19Q-32GTZRB
DDR4-3600 UDIMM
19-20-20-40
SK Hynix C-die (18 nm)
グラフィックス1 Intel Intel UHD Graphics 630 DisplayPort 1.2×1
HDMI 1.4×1
VGA×1
グラフィックス2 ELSA GeForce GTX 1660 Ti S.A.C
GD1660-6GERTS
DisplayPort 1.4a×3
HDMI 2.0b×1
新設
SSD crucial BX200
CT240BX200SSD1
2.5″ 240GB SATA3 旧PCから移設
HDD1 Western Digital WD40EZRZ-RT2 4TB SATA3 5,400rpm 交換
HDD2 HGST HDT725025VLA380 250GB SATA 3Gbps 7,200rpm 旧PCから移設
光学ドライブ LG HL-DT-ST GH24NS50 SATA
DVDスーパーマルチ
旧PCから移設
電源 Seasonic FOCUS 650W SSR-650FM 650W 80PLUS Gold
ATX Ver.2.4
EPS Ver.2.92
セミモジュラー
交換
PCケース Fractal Design DEFINE R6 USB-C BKO TG

性能

3DMark

もはや説明の必要もない3DMarkによるベンチマークのスコア。5954というネットに出回っている6000強というスコアより若干低い結果が出たけど、おそらく画面の解像度が1920×1200だったからか、ELSA製品は速度重視のオーバークロックではないからだと思われる。

PCでゲームはしないので、ベンチの結果は本当に参考程度。3DMarkは色々なベンチを計測できるけど、GeForce GTX 1660 Tiそのものが最新製品というわけでもないのであれこれとベンチを試して他製品と比較したりはしない。

仮想暗号通貨マイニング

3DCGをふんだんに使ったゲームを快適に遊べるかという尺度ではなく、ひたすら単調な計算を繰り返す単純な演算能力(いわゆるGPGPUの能力)を測るのであれば、仮想暗号通貨のマイニングをさせてみると3DMarkとは違った意味でシビアな結果を得られる。ここではイーサリウムで例示している。

MSI Afterburnerを使ってVRAMのメモリ・クロックを+750MHz(DDRなのでクロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送できるため、データレートは+1.5GHz)ほどオーバークロックし、13GHzにしたうえで消費電力を70%まで絞り、84W(定格120W)くらいでおおよそ28.5MH/sという速度を得られる。

これは1秒間にどのくらいのデータの塊を処理してハッシュ値を算出できるかの効率を示し、ハッシュレートと呼ばれる。「MH」は「メガハッシュ」と読み、暗号化や復号化の計算量のこと。データの塊の具体的な容量はアルゴリズムによって異なるため暗号通貨が異なると同じGPUでもハッシュレートの値は異なるし、同じ通貨でも演算の難易度は変動する。

Quadro P2000はオーバークロックできないので、75Wで15MH/sくらい。それと比較すれば、そこそこ速く、ワット・パフォーマンスも良い。

GeForce GTX1080が同様の設定をして126W(定格180W)くらいで36MH/sほどなので、GPUの数をいとわないマイニング・リグを組むならGTX 1660 Tiのほうがワット・パフォーマンスは良く、効率的に採掘できる。

ただし、日本国内では電気料金が安くなく、ワット・パフォーマンスの良いGPUを選んだとしても2020年現在ではマイニングをすればするほど赤字になるので、ベンチマーク程度に試すくらいにしたほうがいいと思う。

金銭が絡むと厄介事も多く、「あなたも簡単にマイニングできますよ」という甘い言葉で誘惑しておき、実際には演算能力の大半を盗み出し、自分は電気料金や器材に投資することなく仮想通貨だけを詐取するトロイの木馬が組み込まれたマイニング・ソフトウェアをインストールさせる悪質なユーザーもいるので注意が必要だ。

通貨というそれ自体に価値のあるものではなく、自分にも回り回って利益があるものとしては、治療法の確立していない病原体(ウィルス、細菌等)の遺伝子情報から薬剤の効果を分散コンピューティングでシミュレーションして新薬を開発することを目指したプロジェクトのほうが長い目で見ると有益だろう。

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