LightWaveで二次元キャラ系人物モデリング奮闘記 ―手指FK編―

最終更新:2016/12/05

手の指にはIK(インバース・キネマティクス)を設定しないで、FK(フォワード・キネマティクス)のままにしてある。手の指はFKにすることが多いというので盲目的にそれに倣っていたわけだけど、なぜ手の指だけはFKのほうがいいのかという理由まではよくわかっていなかった。

最近ようやくその理由がわかった。まったく合理的なもので、FKなら「5本の指をひとつのコントローラで一度に操作できる」から。具体的には、5本指の全関節のボーン旋回をまとめて、ひとつのコントローラ・オブジェクトの回転に追従させるようにする。こういった設定を3DCG分野では一般にコンストレイン(Constrain = 拘束)と言う。

手は狭い範囲に関節が集中するところなのでIKを使いたくなるんだけど、IKの場合それぞれの指先にひとつずつゴールオブジェクトが必要になる。指の折り曲げ方の加減を個別に決められる反面、手を握ったり開いたりするような単純な動作をさせる場合でも単純に5本分の手間がかかる。また、IKを設定した関節の角度はゴールオブジェクトの位置から逆算的に求められるので、ある関節だけ曲げ、ある関節だけ伸ばすといった制御が難しくなる。

コンストレインをうまく利用すると、手のおおまかな握り方はコントローラで決定し、それぞれの指の調整が必要な場合は直接指定といったことができるようになる。ただ、それを実現するためには熟慮した設定が必要になるため、IKよりも手間がかかる。リグというのは本当に奥が深くて、直感的な操作を可能にしようとすればするほど設定は複雑になっていく傾向にある。

本記事ではLightWave 2015のGENOMA2を利用しているけど、標準機能のスケルゴンやボーンを利用しても設定可能。LightWaveでいつからコンストレインができるようになったかは定かではないけど、少なくともLW 9.6の頃には既に使えていた。

ボーンの二重化

単純に5本指を握ったり開いたりするだけで良ければ、既存のボーンの「回転アイテム」にコントローラ・オブジェクトを指定すれば全部の指を同時に操作できるようになる。ただ、そうした場合は文字通り回転アイテムに完全に拘束されてしまうので、個別にヘディングやピッチを直接入力してもその値は無効となり、コントローラ以外の方法で指を操作できなくなる。

そこで、コンストレイン用のボーンを作成し、ボーンを二重化する。次の画像は初期状態。

HandFK000

いずれかのボーンを選択し、Ctrl+Cでコピーし、Ctrl+Vで同じ場所にペーストする。次の画像は中指の根元のボーンを選択した状態。

HandFK001

選択を解除しないで拡大縮小ツール(Shift+H)で適度な大きさまで縮小する。アクションの中心は「選択範囲モード」を使用する。

HandFK002

どのボーンがコンストレイン用なのか判別できればいいので、大きさは任意。あまり目立たないようにと思い、だいぶ小さくしてしまって後で選択しにくくなってしまったので、50%前後がちょうどいいかもしれない。

HandFK003

コンストレイン用のボーンを選択し、スナップドラッグ(Snap)ツール(Shift+G)の数値入力ウィンドウで「全ポイント」を指定する。

HandFK004

本来のボーンの根元にスナップさせる。スナップドラッグではポイントの結合はしないので、浮動スケルゴンになっているけど、理論上はこのままでもコンストレイン用のボーンとして機能する。もののついでなので、指の関節の長さを調節した。指の第3関節の長さを100%とした時、第2関節はその75%、第1関節は更にその75%(つまり、第3関節の56.25%)にすると美しく見えるそうだ。

HandFK005

同様にして、5本指のすべてのボーンに対してコンストレイン用のボーンを作成する。手間のかかる作業だけど、リギング作業というのは究極的にはこういう地味な作業の繰り返しなので、目的に対して作業のコストがかかりすぎると思う場合は省略してもいい。そういった割り切りもリギングのうちとも言える。

コンストレイン用のボーンを作成し終わったら、次の画像のように判別しやすいようなスケッチ色をつけておく。また、余裕があったらGENOMAプロパティの「アイテム」タブでアイテム色を「レッド」に設定しておくとレイアウトでも赤いボーンとして表示されるので視覚的に識別しやすくなる。

HandFK006

GENOMA2を使っている場合は、コンストレイン用のボーンに一括でコントローラを指定できる。上の画像で赤色のボーンを選択し、「GENOMA編集」のセットのドロップダウンメニューから「コントローラ」を選択する。

HandFK007

次の画像は5本指のもっとも手のひらに近いボーンのコントローラ設定。握ったり開いたりする他に、指を揃えたりジャンケンのパーのように開いた状態を実現するためにピッチもコンストレインしている。

HandFK008

次の画像はその他の指の関節に相当するボーンのコントローラ設定。指の途中からピッチ方向に旋回してしまうと骨折したようになってしまうので、ヘディング方向だけコンストレインしている。

HandFK009

GENOMA2を利用している場合は、モデラーでボーンの親子関係を変更しておく。これまで使っていたボーンをコンストレイン用のボーンの子になるように設定し、コンストレイン用のボーンをその前の節のボーンの子になるようにする。GENOMAは親子関係を特に指定してある場合はスケルゴンツリーを無視するので、従来のスケルゴンの接続を切り離す必要はない。

途中で頭が混乱してくるかもしれないけど、最悪レイアウトでGENOMAリグを組ませてみて確認してもいいので、地道に作業する。この親子関係を言葉で説明するとわかりにくいので、次のスケマティックビューを見てもらったほうが理解しやすいだろう。

HandFK027

右手への複製

右手は基本的に鏡面X(Mirror X)で左手を複製するんだけど、GENOMAスケルゴンの場合は内部的に様々な設定が入っているので、ただ複製してリネームしただけだと何かの設定が競合又は衝突するようで、レイアウトでGENOMAリグを編成する際にLightWaveがクラッシュする。

そこで、次の画像のようにいったんGENOMAのタグを消去して通常のスケルゴンに戻した。まさかクラッシュするとまでは思っていなかったので右手のボーンを全部削除してしまったんだけど、よくよく考えてみたらボーン・ウェイトの設定も消してしまったことになるので、従来のボーンは活かしておいて、コンストレイン用のボーンだけ鏡面複製するほうが賢明。もし、原因不明のクラッシュが頻発する場合はGENOMAタグの消去を試してみると改善するかもしれない。

HandFK010

右手のセットアップをほとんどやり直す羽目になったけど、右手も左手と同様に設定した状態が次の画像。

HandFK011

コンストレイン用のボーンにはボーン・ウェイトを設定してなくても大丈夫だとは思うんだけど、左手と重複するウェイトが設定してあるのはさすがに問題なので、スケルゴンツリーで確認しておく。

左手を右手に複製した時にポイントを共有するボーンがすべて結合されてしまったので、ツリーとしてはかなり不可解な状態になっている。GENOMA2を使わない場合は、このままレイアウトにもっていって、親子関係をSceneEditorなどで修正することになる。

HandFK012

スケルゴンツリーの「ウェイトマップ」欄をダブルクリックするとボーン・ウェイトの設定を変更できるので、左手のウェイトが割り当たっている場合は右手のものに変更する。

HandFK013

コンストレインの設定

手を握ったり開いたりする動作は人差し指から小指まで同じヘディングで制御するので設定は同様でいいんだけど、指を水平に開いたり閉じたりする動作はピッチ制御で行うので、中指を基準(0倍)にして外側に行くほど大きくなるように倍率を変えて設定する。次に例示する各設定はGENOMA2を利用した場合のもの。

中指

自分の手を動かしてみればわかると思うけど、指を水平方向に開いたり閉じたりしても中指はほとんど動かない。これを利用してピッチの基準にする。コントローラ・オブジェクトのピッチに影響を受けないように、「x / +」の「x」側を「0.0」にする。

なお、GENOMA2で「回転アイテム」を指定しておくこともできるけど、モデラー上に存在しないアイテム名を指定するとレイアウトでGENOMAリグの作成に失敗する。今回はレイアウトで後付けでコントローラを追加するので「NONE」のままにしている。

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GENOMA2を使わない場合は、レイアウトで次の画像のように設定する。「回転アイテム」に指の制御用のNullオブジェクトを指定してある。他の設定は同様なので、中指だけ例示しておく。

HandFK028

薬指

薬指はコントローラのピッチの影響を通常通り受けるので、「x / +」の「x」側を「1.0」のままにしておく。水平方向に開く方をピッチのプラスにしているけど、マイナス方向にしたい場合は「-1.0」にすればいい。

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小指

小指は薬指よりも更に外側に開くので、「x / +」の「x」側を「2.0」にし、コントローラのピッチの影響を2倍にする。

HandFK016

人差し指

人差し指は薬指とは反対方向に開くので、正負を反転させる。「x / +」の「x」側を「-1.0」にし、コントローラのピッチの影響を逆にする。

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親指

親指が結構難問で、次の画像の設定でもうまくいっているかどうかは今のところなんとも言えない。親指は他の指とは異なり、握り方向がピッチに寄っているので、少なくとも追跡するコントローラの成分を入れ換える必要がある。ヘディングはコントローラのピッチを、ピッチはコントローラのヘディングを追跡するようになっている。右手の場合は更に正負を逆転させる必要が出てくることもあるので、予想しきれなくなったらレイアウトでテストしてみて影響量を判断する。

HandFK018

リグのテスト

レイアウトでGENOMAリグを作成した後、コントローラ用のNullオブジェクトを作成し、コンストレイン用のボーンに参照させる。コントローラの指定はSceneEditorで複数のボーンを一度に選択して右クリック、「操作」-「モーションオプション」でまとめて設定できるので、GENOMAの使用に関わらず片手ごとに1回で済むはず。

なお、コントローラ用のNullオブジェクトは手首のIK用のNullオブジェクトの位置にコンストレインしてある。コントローラはできれば手に近い場所にあったほうがいい。

次の画像はGENOMAリグを作成した直後のニュートラルの状態。赤く見えるのがコンストレイン用のボーン。

HandFK019

次の画像はコントローラのピッチを「10°」に設定した状態。水平方向に指が開いているのがわかる。

HandFK020

次の画像はコントローラのピッチを「-10°」に設定した状態。水平方向に指が揃えられているのがわかる。

HandFK021

次の画像はコントローラのヘディングを「30°」に設定した状態。5本の指が一斉に握る方向に曲がっているのがわかる。

HandFK022

次の画像はコントローラのヘディングを「30°」、ピッチを「-10°」に設定した状態。5本の指が揃えられた状態で握る方向に曲がっているのがわかる。これでコンストレインのテストは終了。

HandFK023

次に、コントローラのヘディングを「80°」、ピッチを「-10°」に設定し、ジャンケンのグーの状態にした上で、コンストレインで拘束されていない青いボーンを選択し、ヘディングを「-80°」にすることで人差し指と親指を伸ばしている。コンストレインで拘束されている赤いボーンは下を向いているけど、強制的に前を向かせているのがわかる。

HandFK024

GENOMA2での親子関係の設定が正しくできていれば、SceneEditorにおけるボーンの階層構造は次の画像のような形になっている。GENOMAを使わない場合は、このようなツリーになるように親子関係を設定する。親子関係を変更することでオブジェクトの形状が崩れてしまう場合はコンストレイン用のボーンのボーン・ウェイトを削除するか、「中心点回転記録」を有効にすると改善することがある。

HandFK025

途中経過

レイアウトでの操作を簡単にするためとは言え、リグを結構本気でやろうとすると非常に手間がかかることがよくわかった。CGアニメーションの制作会社にはリグを専門に担当する技術者がいるというのも納得できる。

ただ、手間はかかるものの、このようなリギング作業を済ませておくと、コントローラ・オブジェクトをひとつ回転させるだけで手の握り具合を簡単に制御できるようになり、指の制御を億劫に感じなくなる。一度この感覚を覚えてしまうと、指を1本ずつ操作するのが非常に面倒に思えてくる。

LightWaveの欠点ともされるボーンとモデルの変更がレイアウトに即座に同期しないという特徴も、考えようによってはボーンやNullオブジェクトの設定をまったく変更しないでモデルのレイヤーだけ入れ換えることで別の人物モデルにリグをすべて移行できるということでもあるため、大変な思いをするのは一度だけでいいという長所にもなる。

HandFK026

指の関節の長さを見直してみたけど、苦労した割にはあまり変わっていない気もする。たぶん、太さや曲がり始める箇所のウェイトの見直しも同時に必要なのだろう。

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参考記事

LightWaveで二次元キャラ系人物モデリング奮闘記 ―GENOMA2編―

最終更新:2016/09/06

本記事はボーン下半身IK上半身IKの設定が済んでいることを前提としたものです。設定の詳細は各記事をご覧ください。


ボーンやIKの設定を済ませてしまってから、よくよく測ってみたら腕が短かった、胴体のバランスが悪かった、脚が長かったといった事態は常に起こりうる。全体のバランスを調整すると関節の位置も変動するので当然ながらボーンの位置や長さが変わる。

LightWaveの場合、モデラーとレイアウトが独立しているため、モデラーでスケルゴンを編集するだけではレイアウトには反映されないばかりか、スケルゴン変換やSkelegon Readerを使ってオブジェクトに組み込まれたスケルゴンからボーンを生成するとIKなどの設定はすべて消えてしまい、最初からやり直すことになる。できればそういった二度手間は避けたい。

そこで、LightWave 2015から実装されたGENOMA2を利用して極力レイアウトでのリグの組み直しの手間を減らす方法を考えた。

GENOMA「2」と言うからにはGENOMA「1」に相当するものがあったわけなんだけど、GENOMA2は厳密にはGENOMA1の単なるバージョンアップ版ではない。LightWave 11.5で実装されたGENOMAはプリセットとしてコンポーネント化されたリグパーツを組み合わせることで本来は熟練が必要な高度なリグを簡単な手順で導入できるようにしたもの。それに対し、GENOMA2はそういったリグパーツを根本から開発するためのプラットフォームという位置づけになっている。

最初からリグにGENOMAを使うことを前提としてモデリングしていた場合はいいけれど、既に従来のスケルゴンでリグを組んでしまったモデルには即座に応用できないという問題があった。GENOMAのプリセットには適当なスケルゴン名が付けられているため、それらに名前をつけ、ボーン・ウェイトを割り当てるところから始めなければならず、大幅に戻り作業が発生してしまう。何より、せっかく組んだリグを破棄しなければならないというのは精神的につらい。

GENOMA2を利用すれば、従来のスケルゴンを活かしつつボーン・ウェイトの再設定も発生させることなくリグを新しいものに入れ換えることができる。本来はこういった目的で使うものではないけど、リグを更新するための手段と割り切って使うことにする。

GENOMA2セットアップ

最初はモデラーで操作する。まず、モデルに組み込んであるスケルゴンを抽出し、別のレイヤーに移す。モデルにはスケルゴンを残さない。ポリゴン状態ウィンドウ(Wキー)を利用すると簡単に取り出すことができる。

GENOMA000

スケルゴンだけ取り出した状態が次の画像。これをGENOMA2用のスケルゴン(以下、GENOMAスケルゴン)に変換する。変換後は全部を元に戻すのは困難なので、どこか別のレイヤーにバックアップをとっておくといいだろう。

GENOMA001

すべてのスケルゴンを選択し、「セットアップ」メニューグループにある「GENOMA編集」サブグループの「セット」のドロップダウンメニューから「デフォルトタグ」を選択する。

GENOMA002

しばらく待ち時間があり、計算が終わると次の画像のような、いつものスケルゴンより太めのスケルゴンが生成される。

GENOMA003

従来はレイアウトで実施していたボーンに対する設定をここで行う。対象のスケルゴンを選択し、「プロパティ」を選択すると設定ウィンドウが表示される。一部の設定を除き、一度にひとつのスケルゴンしか設定できない。レイアウトで行える設定はすべて実施できると考えていい。

各所のボーンに上半身IKや下半身IKで行った設定とまったく同じ設定を施す。ここだけはどうしても二度手間が発生してしまうけど、これが最後と思えば少しはやる気にもなるだろう。

「アイテム」タブではアイテム種別(Item Type)の他、ボーンの色や見え方を設定できる。「モデラー形状を無処理(Leave Modeler Shape Intact)」という設定は標準タイプのくさび形のボーンではなく、特殊な形状のボーンとして表示させたい場合に使用する。

GENOMA004

「ギズモチャンネル有効(Active Gizmo Channels)」はレイアウトでアイテムを選択した時に当たり前のように出る移動を示す矢印、回転を示す円といった3軸のGUIコントローラを表示し有効にするかどうかの設定。ゴールオブジェクトをはじめとするコントローラ系のオブジェクトには設定しておかないと直接数値を入力することでしか制御できなくなる。逆に言えば、従来のNullオブジェクトを使ったリグで邪魔だったギズモを表示されないように制限することができるということ。

GENOMA026
位置用ギズモチャンネルの例。特定の軸だけ表示することもできる。

表示にあるとおり、Nullオブジェクトもモデラーで作ってしまえるんだけど、レイアウトでのNullオブジェクトが1点だけの方向のない座標なのに対し、2点を指定するスケルゴンとして作成する必要があり、三次元的なベクトルができる。詳しく調べていないのでなんとも言えないけど、レイアウトに移した時にXYZの3軸が入れ替わってしまうローカルな座標系になってしまい、プラス方向が上なのか下なのかわからなくなってしまってコントローラやゴールオブジェクトとして役に立たないという事態が起きた。

次の画像の「形状」タブではレイアウトでのボーンの表示のされ方を設定する。通常のボーンの場合は変更する必要はない。レイアウトで見やすいようにラベルをつけたり、特別な色を着けたりすることもできるけど、リグに熟達してから使うようにしても遅くない。

なお、上の「アイテム」タブで「モデラー形状を無処理」を選択した場合か、Nullオブジェクトを選択した場合に限り「アイテム形状」で指定した形で表示される。ボーンの場合はレイアウトでのみ形状が変わるというちょっとクセのある仕様。

GENOMA005

次の画像の「ボーン」タブでは、レイアウトでのボーンの「アイテムプロパティ」とほぼ同じ設定ができる。うっかりすると忘れてしまいそうになるウェイト関連の設定をあらかじめしておけるのは助かる。

GENOMA006

次の画像の「IK」タブではレイアウトの「モーションオプション」の「IKとモディファイヤ」タブに相当する設定ができる。ゴールオブジェクトも設定できるんだけど、上でも書いたとおりNullオブジェクトの座標系がいまひとつわかりにくく、レイアウトとは感覚が異なるので、慣れないうちはここで設定してしまわないほうがいい。存在しないゴールオブジェクトを指定するとリグ作成の際にエラーになるので、「NONE」のままにしておく。

GENOMA007

次の3つの画像の「位置」、「回転」、「スケール」タブではレイアウトの「モーションオプション」の「制御と制限」タブに相当する設定ができる。

GENOMA008

次の画像の「回転」タブは重要。IKに関係するボーンの場合は必要に応じてピッチ制御とヘディング制御に「インバースキネマティクス」を忘れずに設定しておく。

GENOMA009

シンプルな人物モデルの場合は次の画像の「スケール」タブで設定することはほとんどないだろう。

GENOMA010

次の画像の「エクスプレッション」タブでは特殊な制御を数式として登録したい場合に使用する。構文が決まっていて、ほぼプログラムと言ってもいいレベルなので、よほど難しいリグを組む場合でない限り使うことはないだろうけど、参考までに。

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次の画像の「スクリプト」タブではGENOMAを利用してリグを編成する際に実行させたいスクリプトを指定できる。これも高度なので利用する機会は少ないと思うけど、GENOMAが実行されている間だけ存在していて、編成が完了したら当該スケルゴンを自己消滅させてレイアウトには表示されないようにするスクリプトなんかを置いておくことができる。

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GENOMAスケルゴンの設定が済んだら、それをコピーしてモデルのあるレイヤーにペーストして組み込む。その後、オブジェクトを保存(Sキー)し、レイアウトに移る。

GENOMAリグの作成

「アイテム」タブの「置き換え」を利用して既存のモデルをGENOMAスケルゴンを組み込んだモデルと入れ換える。既存のボーンを綺麗に削除しておかないとGENOMAでリグを編成する際にエラーの元になる。SceneEditorを開き、Rootボーンの配下に子オブジェクトがないか確認する。

GENOMA013

Rootボーンの配下にオブジェクトがある場合はモーションオプションでモデルの直下に移動させる。上の画像の場合はスカートのオブジェクトがそれにあたる。スカートは物理演算で自然な形になるように設定してあるため、人物モデル本体とは独立している。

GENOMA014

Rootボーンの配下にボーン以外のアイテムがないことが確認できたら、Rootボーンを選択して「選択アイテム消去(-キー)」を実行する。

GENOMA015

次の画像のように確認ダイアログが表示されるので、「はい」を選択する。

GENOMA016

子階層のアイテムをどうするか更に尋ねられるので、同様に「はい」を選択し、Rootボーン以下のすべてのボーンを削除する。

GENOMA017

準備が整ったら、シーンを別名で保存しておく。GENOMAを一度走らせてしまうと不可逆的な変更が加えられてしまい、最悪手がつけられなくなる事態になることもあるため。

ボーンを作成したいオブジェクトを選択し、「リグ作成」をクリックする。ボーンがそれほど多くなくても結構計算に時間がかかる。次の画像のように「GENOMAリグが正常に作成されました」と表示されればひとまず問題なく処理が終了したことになる。

GENOMA018

GENOMAでリグの編成中にエラーが出ると、GENOMAは途中で処理を終了してしまう。次の画像は、存在していないオブジェクトを指定したために出たエラー。仮にシーン内に同名のオブジェクトがあったとしてもGENOMAはそれを識別してくれない。あくまでもGENOMAスケルゴンとして組んだものしか処理の対象にならないという点に注意しなければならない。ゴールオブジェクトをGENOMAスケルゴンにあえて組み込まなかったのはシーンに既に存在するNullオブジェクトを利用したかったから。

GENOMA019

GENOMAの処理が途中で終わってしまうと、ボーンの階層化まで処理が進まずにモデルの配下に同一階層のボーンが並んでしまうこともある。他にもありとあらゆる物が中途半端な状態になるため、手のつけようがなくなる。モデラーに戻ってエラーの原因になった設定を見直す。

GENOMA020

無事にGENOMAリグの作成が済むと、次の画像のようにスケルゴンの階層どおりの整然とした親子関係が築かれる。MASTERオブジェクトというNullオブジェクトが原点位置に必ずできてしまうので、それに相当するオブジェクトが既にあって必要なければ削除しても構わない。

GENOMA021

元のリグに戻すため、モデルをTOP_Nullオブジェクトの配下に配置し直す。

GENOMA022

同様にリグの復元のため、RootボーンをWaist_Nullオブジェクトに追従するように設定する。詳しくは下半身IKの記事を参照のこと。

GENOMA023

次の画像はRootボーンにフォロワーモディファイヤを追加した状態。

GENOMA024

最後に、IKで使用する各ボーンにゴールオブジェクトを指定して完了。IKで屈伸する関節などその他の設定はモデラーで済んでしまっているので、そんなに大した作業ではないはず。

GENOMAリグの更新

モデラーでリグの設定のほとんどを済ましてしまえるのだから、動的にリグを更新できるようになった、と言いたいところなんだけど、実はそれほど簡単でもない。

モデラーでスケルゴンを編集してリグを変更したら、レイアウトにある、その名もズバリの「リグ更新」で変更箇所を反映させられるんだろうかと思うのが人情なんだけど、リグ更新ツールを使うとリグとはまったく関係なくても「オブジェクト」と名のつく物はすべて消去されて最初から構築し直されてしまう(ライトやカメラは残る)。つまり、当該ツールはモデルに組み込んだリグを何もないシーンでテストする時にしか使えないということ。リファレンス・マニュアルにもそのように書いてあり、LightWaveの仕様なのでこればかりはどうしようもない。

そうかと言って、既に組んでしまったシーンに存在するモデルのリグこそ更新したいと思うのは自然な欲求。そういう場合は、リグ更新ツールを使うのではなく、モデルを新しいものに入れ換え、再度「リグ作成」を実施する。その際に、ボーンはもちろんのこと、MASTERオブジェクトも削除しておかなければならないし、GENOMAを使用すると自動的に追加される次のような名前のオブジェクトも削除しておく必要がある。実態は把握していないけど、おそらくコントローラやエクスプレッションに関する設定が入っているか、他のソフトウェアとの互換を図るためにあるものだと思う。

  • Anima_Data_Counter_FK@0
  • Anima_Data_Counter_SaIControl@0
  • Animation_Data_Counter

GENOMAが自動的に作成したものをすべて削除してしまえば、再度リグ作成を実行できる。頻繁にリグを見直す可能性がある場合は、素直に新規シーンで個別にテストしたほうが無難。

途中経過

この画像だけではわかりにくいと思うけど、腕を少し長くした。本文ではまったく触れなかったけど、GENOMAプリセットに用意されている人物用のリグは構造があまりにも複雑でちょっと使う気にならなかった。本気でアニメーション完全対応のリグを組むとこうなるよ、という教材としては参考になりそうなんだけど。

GENOMA025

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