LightWaveで二次元キャラ系人物モデリング奮闘記 ―上半身IK編―

最終更新:2016/09/06

上半身のIKを設定する。上半身系のボーン構造は次のとおりになっていることを前提とする。手首から下のボーンは今回のIKには関係ないけど、すべて記載した。

  •  Root
    • Spine
      • Breast
        • Chest_L
          • ChestIK_L(IK用)
            • Upper_Arm_L
              • Lower_Arm_L
                • Wrist_L(IK用)
                  • Hand1_L
                    • Finger11_L
                      • Finger12_L
                  • Hand2_L
                    • Finger21_L
                      • Finger22_L
                        • Finger23_L
                  • Hand3_L
                    • Finger31_L
                      • Finger32_L
                        • Finger33_L
                  • Hand4_L
                    • Finger41_L
                      • Finger42_L
                        • Finger43_L
                  • Hand5_L
                    • Finger51_L
                      • Finger52_L
                        • Finger53_L
        •  Chest_R
          • ChestIK_R(IK用)
            • Upper_Arm_R
              • Lower_Arm_R
                • Wrist_R(IK用)
                  • Hand1_R
                    • Finger11_R
                      • Finger12_R
                  • Hand2_R
                    • Finger21_R
                      • Finger22_R
                        • Finger23_R
                  • Hand3_R
                    • Finger31_R
                      • Finger32_R
                        • Finger33_R
                  • Hand4_R
                    • Finger41_R
                      • Finger42_R
                        • Finger43_R
                  • Hand5_R
                    • Finger51_R
                      • Finger52_R
                        • Finger53_R
        • Neck
          • Head

以下、特に断りがない限り、0フレームで操作する。

左腕IKの設定

腕のIK設定のおおまかな流れは足とほぼ同様で、ゴールオブジェクトになるNullオブジェクトの作成、IK用のボーンからゴールオブジェクトを参照する設定、IKで動くボーンの指定、及びIKが及ぶ範囲の限定という4つの手順からなる。

まず、胸の位置に新しいNullオブジェクト「Breast_Null」を作成する。

IK046

Breast_Nullを下半身IKで作成したWaist_Nullの子オブジェクトにする。

IK047

Altキーを押しながらBreast_Nullを移動させ、Neckボーンの根元にスナップさせる。位置が決まったら、モーションキーを作成しておく。

IK048

左腕ゴールオブジェクト

次に、左肩コントロール用のNullオブジェクトを作成する。名称は「ChestIK_Null_L」とした。腕はX軸方向に伸びているので、向きがわかりやすいように「Axis」を「X」にした。

IK049

ChestIK_Null_LをChestIK_Lボーンの根元にスナップさせ、モーションキーを作成する。

IK050

ChestIK_Lボーンを選択する。IK用のボーンでモデルのボーン・ウェイトに極力影響を与えないように短くしているため少しわかりにくいけど、次の画像の位置にある。

IK051

モーションオプション(Mキー)を開き、「ゴールオブジェクト」をChestIK_Null_Lに指定する。

IK052

「Wrist_Null_L」オブジェクトを作成し、Wrist_Lボーンの根元にスナップさせる。

IK053

Wrist_Lボーンを選択し、モーションオプション(Mキー)で、「ゴールオブジェクト」をWrist_Null_Lに指定する。

IK054

左腕IKの屈伸設定

IKで自動的に屈伸するボーンを指定する。左上腕にあたるUpper_Arm_Lボーンを選択する。

IK055

モーションオプション(Mキー)で「制御と制限」タブを選択し、「ヘディング制御」と「ピッチ制御」を「インバースキネマティクス」に指定する。バンク制御は変更しない。肩関節にあたる部分の設定で、腕の垂直方向に上げ下ろしする方向と、水平方向に広げる方向の両方についてIKを有効にする。

IK056

続けて左下腕にあたるLower_Arm_Lボーンを選択する。

IK057

モーションオプション(Mキー)の「制御と制限」タブで「ピッチ制御」のみを「インバースキネマティクス」に指定する。ヘディング制御及びバンク制御は変更しない。肘は曲がる方向が決まっているので、前後に曲げる方向だけに制限する。

IK058

最後に左肩に相当するChest_Lボーンを選択する。

IK059

モーションオプション(Mキー)で「制御と制限」タブを選択し、「ヘディング制御」と「ピッチ制御」を「インバースキネマティクス」に指定する。バンク制御は変更しない。鎖骨にあたる部分の設定で、腕に連動して肩を動かすことができるようになる他、肩で息をするような肩だけ上下させるような動作が可能になる。

IK060

左腕IKの停止設定

再びChestIK_Lボーンを選択し、モーションオプション(Mキー)で「子孫のIK効果を及ぼさない」にチェックする。これでWrist_Null_Lの移動によるIKの影響範囲は肩までに限定される。

IK061

親子関係の設定

作成したNullオブジェクトに親子関係を結ばせる。次の画像をとおり、Waist_Nullの配下にBreast_Nullを配置し、Breast_Nullの子にChestIK_Null_LとWrist_Null_Lを配置する。

IK062

足と異なるのは、肩と手首のNullオブジェクトに親子関係を結ばせないという点。足の場合は足首に必ず爪先が追随してくることを前提としているけど、手首が必ずしも肩に追随しない設定になっている。

右腕IKの設定

左腕の設定を右腕にも設定する。ChestIK_Null_LとWrist_Null_Lをそれぞれひとつずつ複製(Ctrl+C)し、X座標を反転させて右腕のゴールオブジェクトを作成する。名称をそれぞれChestIK_Null_RとWrist_Null_Rに変更し、モーションキーを作成しておく。

IK063

右腕ゴールオブジェクト

右腕のゴールオブジェクトは未設定なので、ChestIK_LボーンとWrist_Lボーンを選択し、それぞれ次の画像のように複製したNullオブジェクトをゴールオブジェクトに設定する。

IK064
ChestIK_Rボーン
IK065
Wrist_Rボーン

右腕IKの屈伸設定

左腕と同様に右腕の各ボーンにIKで自動的に屈伸する設定をする。

IK066
Upper_Arm_Rボーン
IK067
Lower_Arm_Rボーン
IK068
Chest_Rボーン

右腕IKの停止設定

左腕と同様に、肩関節のボーンにIKの及ぶ範囲を設定する。

IK069
ChestIK_Rボーン

上半身IKのチェック

すべての設定が終わったら、シーンを保存する。Wrist_Null_L又はWrist_Null_Rを選択し、XZ平面方向に動かしてみる。肩を軸にして肘が曲がってくれたら成功。手首のNullオブジェクトの移動につられて肩のボーンも動いてしまう場合は肩のIK停止設定を忘れている可能性が高い。

IK070

チェックが終わったら、フレームを0から1に移し、再び0に戻すとWrist_Null_L/Rは初期位置に戻っている。モーションキー自動作成モードにしていると移動したNullオブジェクトの位置に0フレームのキーが作成されてしまうので、別のフレームでチェックする。

スケマティックビューの整理

オブジェクト本体から読み込まれたボーン構造は、最初はスケマティックビューで一列の直線状に並んでいるので、左右にわけて階層構造がわかりやすいように並べ替えておくと後でモデルに動きをつけたい時にボーンやオブジェクトを視覚的に探すのが容易になる。

IK071

ウェイトの正規化

チェックが済んだら一時退場させていたオブジェクト本体を表示し、0フレーム以外の任意のフレームに移動する。一連の操作で作成した各ゴールオブジェクトを動かすとモデルに様々なポーズをとらせることができるようになっているはずだ。

ただ、肩関節など大きく動く箇所でモデラーのVertex Paintで設定したボーン・ウェイトのとおりに変形してくれないことがある。そういう場合は、対象のボーンのアイテムプロパティを開き、次の画像のように「フォールオフ種」が「反比例 ^ 32」になっているか確認し、「ウェイトのみ使用」と「ウェイト正規化」にチェックを入れると大抵の場合改善する。

IK072

回避方法はあるとしても、レイアウトの独立という特徴を持ちながら、モデラーの設定と同期できていないという難点がある。また、標準機能のボーンを使用していると、リグを途中で変更したくなった時に一度すべてのボーンを入れ換えてから再設定しなければならないという問題もある。これらの問題がLightWaveをアニメーション制作用のツールとしての第一線から遠ざけている要因にもなっている。これらの問題を解決するリグ用ツールとしてLightWave 11からGENOMA/GENOMA2が追加されたけど、実用例が少ない上に、詳細に解説した書籍がないため、一般に広く知られた機能とまでは言い難い。

途中経過

IKの効果を端的に示しているかどうかは微妙だけど、背骨にもIKを組み込み、胸を反らした姿勢ができるようになった。また、腰コントロールにより足にポーズをつけても地面との距離の調整が容易になった。今までは何もない空白の空間に立たせていたけど、地面と背景に相当するオブジェクトを追加してみた。足下に影が落ちてようやくCGらしくなってきた。

IK073

補足

今回のIKでは指に関する設定をしていない。指は関節が集中する箇所なので、5本の指にそれぞれIKを設定すれば指先のゴールオブジェクトを動かすだけで良くなり、キーフレームの操作が楽になるだろうと考えるのが人情というもの。しかし、指の関節は他の指の動きによっても動きを制限されたり、力の入れ具合によってはすべての関節が均等に曲がるとは限らないため、IKに適さないことが多い。もちろん、目的によりけりの部分も大いにあるため、アニメーションを作る上で指の動きが大きなウェイトを占めるのであれば、指のモーションの効率化が課題になるので指のIK設定に挑戦してみてもいいかもしれない。

それから、背骨に関するIKの設定もしていない。Breast_Nullオブジェクトはゴールオブジェクトに指定されていないため、上半身をWaist_Nullに追従させることと両肩をリンクさせて同時に動かすためだけにしか使われていない。背骨にもIKを設定すればBreast_Nullをゴールオブジェクトとして胸を反らしたり前屈みの姿勢をとらせることもできるようになる。

手順は多いけど、ボーン単位でテクニカルに設定できるので、一度慣れてしまえばボーン・ウェイトをポリゴン単位で緻密に設定するよりは精神的疲労は少ない。惜しむらくは片側の設定を反対に対称コピーする方法がLightWave標準機能にはないことくらいか。各関節の可動角度の制限も特にしていないので、あまり極端なポーズをとらせると関節が逆に曲がることもあり、これでも必要最小限。

もちろん、IKにも欠点はある。FKは特に何も設定しなくてもモデルをとりあえず動かすことができるのに対し、あらかじめIKを使う設定を一定の手続きに従って済ませておかなければならないし、上位階層の構造が制作者の思ったように動いてくれないケースもある。

IKを設定したからといって万全というわけでもなく、膝を外に向けて歩く「がに股」歩行やバトルシーンのような大胆なアクションには対応できないこともある。爪先のゴールオブジェクトが邪魔に思えることもあるだろう。リギングのみを専門に担当するエンジニアがいると言われるくらいなので、目的に応じたIKの設定が必要になるわけだけど、基礎さえおさえておけば工夫のしようもある。LightWaveではIKで実現できない部分にFKをブレンドすることもできるけど、高度なのでここでは割愛する。

そういった短所があるとしても、部分的にでもIKを取り入れると後の作業効率は劇的に改善する。

関連記事


LightWaveで二次元キャラ系人物モデリング奮闘記 ―下半身IK編―

最終更新:2016/09/12

次はレイアウトに移っていよいよIKを設定する。一般には略してIKと呼ばれるけど、正式にはインバース・キネマティクス(Inverse Kinematics)と言い、関節等によって多重階層構造を持つモデルの末端部分の位置を先に決めることによってその上位階層の要素の位置を逆算的に求める技法。

普通、階層構造を持っているモデルの場合は上位の要素から順に位置を決めていかないと末端要素の位置は決まらないものなんだけど、例えば人間の足のように全長が決まっていて基本的に伸び縮みしないものである場合、目測を誤ると足が宙に浮いてしまったり、逆に地面に埋まってしまったりといった事態が起こる。すると、上位階層に戻って調整をやり直すことになり、単に歩くだけの動作ひとつにも非常に手間がかかる。

上位階層から順に位置を決めていく方法をIKに対してFK(Forward Kinematics)と言う。FKはアクション・フィギュアのような人形や人型ロボットのプラモデルにポーズをとらせる時に手足の関節を上から順に曲げていく感覚に近い。ただし、CGの世界には物理演算を使わない限り重力がないため、重心の位置や左右の荷重バランスをとらなくても立ってしまい、作品として捉えた時に違和感のないポーズをとらせるのが逆に難しい。

一方、実際の人間は自分の手を差しだそうとした場合や、足を一歩踏み出そうとした場合に、手や足の未来位置を意識することはあっても、その時に肩、肘、股や膝の関節をどのくらい曲げようかということまでは通常意識しない。IKは「足を持ち上げて50cm前へ進ませる」といった人間にとっては当たり前の動作を上位階層を必要以上に意識せずに実現するものだと思ってもらえれば一番わかりやすい。動画などで反復運動が多い作品を作る際に非常に役立つものだけど、静止画の場合でも有用なことが多い。

準備と前提

IK000前置きはこのくらいにして、レイアウトを起動する。まず最初に、「その場でペアレント(Parent in Place)」がオンになっているかどうかを確認する。オフになっている場合はボタンをクリックし、トグルしてオンにしておく。

これがオンになっていないと、2つのオブジェクトに親子関係を結ばせた時に親オブジェクトの座標を基準とした相対座標が計算されず、子オブジェクトの絶対座標がそのまま相対座標に代入されるため、子オブジェクトの位置が動いて定まらなくなってしまう。親子双方のオブジェクトが原点から離れている場合、子オブジェクトが画面外へ飛んでいってしまうこともあるので、親子関係を設定したと同時にオブジェクトの挙動がおかしくなったらまずこの設定を疑う。

また、普段からモーションキーを手動で作成するのを習慣にしているため、新しいオブジェクトを配置するたびにモーションキーを作成している。自動作成モードにすればモーションキーを作成する煩わしさから解放されるけど、常に自動にしているとモーションキーのことを意識しなくなることがあるので要注意。不自然な動きをする時はキーを手動で作成し直すとオブジェクトの挙動が改善することがある。

なお、記述が煩雑になるのを防ぐため、下半身系のボーン構造は次のとおりになっていることを前提とする。

  • Root
    • Hip
      • Coxa_L
        • Upper_Leg_L
          • Lower_Leg_L
            • Ankle_L(IK用)
              • Foot_L
                • Toe_L
                  • FootIK_L(IK用)
      • Coxa_R
        • Upper_Leg_R
          • Lower_Leg_R
            • Ankle_R(IK用)
              • Foot_R
                • Toe_R
                  • FootIK_R(IK用)

以下、特に断りがない限り、0フレームで操作する。

スケルゴンからボーンへの変換

モデラーでスケルゴンとしてボーンを組み込み、ボーン・ウェイトを設定したオブジェクト本体を呼び出す。体や髪の毛はもちろん、服装も含むオブジェクトのすべての構成要素がひとつのレイヤーにまとめられていて、更にボーンも同一レイヤーに組み込まれていることが前提。

IK001

オブジェクト本体のプロパティを開き、「表示サブパッチレベル」を「1」又は「0」にする。マシンパワーに余裕のあるPCの場合は「3」のままでも問題ないけど、ボーンの旋回などの結果が反映されるまでに時間がかかるので、表示品質は落ちるけど表示サブパッチレベルは下げておいたほうが能率は良くなる。「サブディビジョン手順」は「一番終り」に設定する。サブディビジョン手順をボーンによる変形などの後にすることによって、まっすぐなストローを無理に折り曲げた時のような関節の潰れを防止できる。

IK002

オブジェクトを選択した状態で、「ユーティリティ」メニューグループからプラグインを選択し、「SkelegonReader」を選択する。普通は「スケルゴン変換」を使うんだけど、ボーンを組んだ時にスケルゴンエディターでバンクをZ軸方向に揃えた操作が反映されないため、SkelegonReaderを使う。

IK003

次の画像のようなダイアログが表示されるけど、「Yes」で問題ない。

IK004

ボーンがオブジェクト本体に完全に埋まっている場合は見た目にはわかりにくいかもしれないけど、組み込まれたボーンはモデラーで組んだ階層構造のとおりにすべてオブジェクト本体の配下に設定されている。

IK005

ボーンが読み込まれたら、オブジェクト本体は一時的に必要なくなるので、Scene Editorを使ってオブジェクト本体を「Hidden」に設定して、レイアウト画面に表示されないようにする。

腰コントロールの設定

次に、すべてのオブジェクトの頂点に位置する最初のNullオブジェクトを作成する。「アイテム」メニューグループの「追加」から「Null」を選択する。名称はなんでもいいけど、「TOP_Null」とした。「Shape」は「Ring」、「Axis」は「Y」に設定する。「Scale」はモデルの大きさに対して見やすい大きさにしておく。後でアイテムプロパティの「ジオメトリ」で変更することもできるので、間違ってデフォルト設定で作成してしまっても削除してやり直す必要はない。

IK007

次の画像のように足下にNullオブジェクトが作られた。

IK006

作成したNullオブジェクトをひとつ複製(Ctrl+C)し、名称を変更する。腰の高さに設定するものなので、「Waist_Null」とした。

IK008

Rootボーンを選択し、Y座標をコピーする。コピーした座標をWaist_NullのY座標にペーストする。次の画像はRootボーンを横から見た図。

IK009

Waist_NullがRootボーンと同じ高さになったら、Enterキーを何回か押し、モーションキーを作成する。更に、RootボーンのZ座標をコピーし、同様にWaist_NullのZ座標に貼り付ける。再度モーションキーを作成するのを忘れずに。

IK010

モーションキーを自動作成モードにしている場合は逐一キーを作成する必要はないけど、何か操作する度に勝手にキーが作られてしまうので、操作すべきフレームを間違えた時にキーを削除しなければならず、どちらが便利とは一概には言い難い。

Waist_Nullの座標が決まると、次の画像のようになっている。

IK011

再びRootボーンを選択し、モーションオプション(Mキー)を開く。「モディファイヤ追加」をクリックし、ドロップダウンメニューから「Follower」を選択する。追加できたら、名称欄を右クリックして「プロパティ」を選択する。

IK012

Followerコントロールを開くと、次の画像のように表示される。

IK013

「After IK」のチェックを外し、「Item to Follow」に「Waist_Null」を指定する。また、Z PositionにRootボーンのZ座標を入力する。左下に表示されているので、それをそのまま入力すればいい。メートル単位なので、600mmならば「0.6」と入力する。回転角度やスケールの設定は三角をクリックし、「(none)」を選択して無効にしておく。

IK014

「続行」をクリックすると、RootボーンはWaist_Nullの動きに追随するようになる。

左足IKの設定

足のIK設定のおおまかな流れは、ゴールオブジェクトになるNullオブジェクトの作成、IK用のボーンからゴールオブジェクトを参照する設定、IKで動くボーンの指定、及びIKが及ぶ範囲の限定という4つの手順からなる。

左足ゴールオブジェクト

まず、ゴールオブジェクトになるNullオブジェクトを追加する。くるぶしに当たる箇所に使うので、名称は「AnkleIK_Null_L」とした。形状は「Ball」にしたけど、好みで変更して構わない。後で選択しやすいように大きさは足の幅よりも大きくなるようにする。

IK015

原点に作成されたAnkleIK_Null_LをAnkle_Lボーンの根元に配置する。矢印を掴むとひとつの軸方向にしか動かせなくなってしまうので、中間の円弧あたりをAltキーを押しながら掴み、ボーンの根元にスナップさせる。Ankle_Lボーンは短いので、根元にスナップできているかわかりづらい時は拡大して確認する。位置が決まったらモーションキーを作成する。

IK016

同様にして「FootIK_Null_L」オブジェクトを作成し、Altキーを押しながらFootIK_Lボーンの根元にスナップさせる。しつこいようだけど、モーションキーも忘れずに作成する。

IK017

Ankle_Lボーンを選択し、モーションオプション(Mキー)を開く。「ゴールオブジェクト」に先ほど作成したAnkleIK_Null_Lを指定する。

IK018

同様にFootIK_Lボーンを選択し、モーションオプション(Mキー)で「ゴールオブジェクト」をFootIK_Null_Lに指定する。

IK019

左足IKの屈伸設定

次に、IKで自動的に屈伸するボーンを指定する。太ももにあたるUpper_Leg_Lボーンを選択する。

IK021

モーションオプション(Mキー)で「制御と制限」タブを選択し、「ヘディング制御」と「ピッチ制御」を「インバースキネマティクス」に指定する。バンク制御は変更しない。股関節にあたる部分の設定で、足を前後に持ち上げる方向と、足を左右に広げる方向の両方についてIKを有効にする。

IK020

続けてふくらはぎ又は脛にあたるLower_Leg_Lボーンを選択する。

IK023

モーションオプション(Mキー)の「制御と制限」タブで「ピッチ制御」のみを「インバースキネマティクス」に指定する。ヘディング制御及びバンク制御は変更しない。膝は曲がる方向が決まっているので、前後に曲げる方向だけに制限する。

IK022

足首から下にもIKを設定する。足首から下の足にあたるFoot_Lボーンを選択する。

IK025

モーションオプション(Mキー)の「制御と制限」タブで「ピッチ制御」のみを「インバースキネマティクス」に指定する。ヘディング制御及びバンク制御は変更しないけど、ピッチ制御だけだと足首は曲げ伸ばしの方向にだけしかIKが効かないことになるため、足を大きく投げ出すようなダイナミックなポーズをとらせたい場合などはヘディング制御にもIKを有効にしておく。

IK024

爪先にあたるToe_Lボーンを選択する。

IK027

モーションオプション(Mキー)の「制御と制限」タブで「ピッチ制御」のみを「インバースキネマティクス」に指定する。ヘディング制御及びバンク制御は変更しない。

IK026

左足IKの停止設定

太もものUpper_Leg_Lボーンの更に上位に位置する、腰骨にあたるCoxa_Lボーンを選択する。モーションオプション(Mキー)で「子孫のIK効果を及ぼさない」にチェックする。これは、IKによる足の屈伸が腰から上のボーンに影響を及ぼさないようにするための設定。IKでは「IKによる自動変形をどこで止めるか」という情報が必要になる。言い換えると、IKの固定軸をどこにするかの指定ということになる。

IK028

再びAnkle_Lボーンを選択し、モーションオプション(Mキー)で「子孫のIK効果を及ぼさない」にチェックする。

IK029

親子関係の設定

作成したNullオブジェクトに親子関係を結ばせる。TOP_Nullの配下にWaist_Null、ボーンを含むオブジェクト本体、AnkleIK_Null_Lを配置し、AnkleIK_Null_Lの子にFootIK_Null_Lを配置する。次の画像を見てもらったほうが早いだろう。

IK030

オブジェクトの親子関係の設定にはScene Editorを使うと簡単だけど、うっかり既存の親子関係を壊してしまうと修復に苦労することにもなりかねないため一長一短。モーションオプションの「親アイテム」でも設定できるので、数が少ない場合はこちらを利用したほうが間違いが少なく、結果的に早い場合もある。

IK031

これまでは各Nullオブジェクトが独立していたので何の効果もなかったけど、親子関係を結ばせることにより、TOP_Nullを動かせば全体が移動するし、Waist_Nullを動かせばTOP_Nullに重心は拘束されるもののAnkleIK_Null_Lによって足を地面方向に拘束させて胴体を動かせるようになる。

右足IKの設定

左足の設定を右足にも設定する。AnkleIK_Null_Lを選択し、「階層の複製(Clone Hierarchy)」でFootIK_Null_Lと一緒に複製する。

IK032

TOP_Nullとの親子関係は維持されるので、Scene Editorで確認するだけでいい。

IK033

「AnkleIK_Null_L (2)」と「FootIK_Null_L (2)」をそれぞれ「AnkleIK_Null_R」と「FootIK_Null_R」に名称を変更し、AnkleIK_Null_RのX座標を正負反転させると右足のボーンの上に配置されるので、モーションキーを作成しておく。

IK034

右足ゴールオブジェクト

右足のゴールオブジェクトは未設定なので、複製したNullオブジェクトをゴールオブジェクトに設定する。

IK035
Ankle_Rボーン
IK036
FootIK_Rボーン

右足IKの屈伸設定

左足と同様に右足の各ボーンにIKで自動的に屈伸する設定をする。

IK037
Upper_Leg_Rボーン
IK038
Lower_Leg_Rボーン
IK039
Foot_Rボーン
IK040
Toe_Rボーン

右足IKの停止設定

左足と同様に、股関節と足首のボーンにIKの及ぶ範囲を設定する。

IK041
Coxa_Rボーン
IK042
Ankle_Rボーン

下半身IKのチェック

すべての設定が終わったら、シーンを保存する。Waist_Nullを選択し、Y軸方向に動かしてみる。マイナス方向に動かすと足首の位置はほぼそのままに腰を落とし、膝を曲げてしゃがむような姿勢になる。この時点で足を構成するボーン群の動きが左右で食い違っていたり、膝が逆に曲がったり、爪先の方向がおかしかったりした場合はIKの設定をどこか忘れている可能性が高い。

IK043

Waist_NullをY軸プラス方向に動かすと足を伸ばし、爪先を下に向けてジャンプする。足首と爪先のボーンはゴールオブジェクトのほうを常に向いているけど接着はしていないので、ゴールオブジェクトを離れることができる。MMDで人物オブジェクトが基幹ボーンをY軸方向に動かすだけでジャンプできたりするのもこれと原理は同じ。

IK044

チェックが終わったら、フレームを0から1に移し、再び0に戻すとWaist_Nullは初期位置に戻っている。モーションキー自動作成モードにしていると移動したWaist_Nullの位置に0フレームのキーが作成されてしまうので、別のフレームでチェックする。

途中経過

下半身IK設定完了。下半身のIKが設定されているだけでもポーズはとりやすくなるし、歩行アニメーションを作る時に足が地面から離れないように腰の高さを調節することもできるようになる。

IK045

関連記事