旧メインPCのリフレッシュ (2)

最終更新:2020/05/19

2019年6月からパーツを集め始め、7月に組み換えたリフレッシュ済み旧PCも半年ほどが過ぎた。古くていつ壊れてもおかしくないような電源を交換し、グラフィックス・カードを追加した。

グラフィックス・カードはなくてもCPUの内蔵グラフィックスで画面は映るのでともかく、電源は不具合を起こした場所によっては過電流や過電圧を吐き出して主要パーツを巻き込んで故障がPC全体に波及してしまうため、交換は急務と言えた。

それほど大きく見た目は変わっていないけど、グラフィックス・カードを追加したのでケース内の密度が増した。グラフィックス・カードのバックプレートの裏側にデザインされた「ELSA」のロゴがLEDに照らされてぼんやり見えるのが格好いい。

電源

電源は自作PCユーザーの間では定評のあるSeasonicのラインナップから、セミモジュラー・プラグイン電源のFOCUS GOLDの650W(SSR-650FM)にした。日本国内の輸入代理店はオウルテック(Owltech)。

AntecのNeoECO Goldシリーズが実はSeasonicのOEMだというのは有名な話で、1万円前後で750W電源が買えるというお得さも手伝って大人気なのは知っていた。

でも、電源ユニット本体はSeasonicグレードなのかもしれないけど、安価なスリーブ・ベアリングのファンを使っていたり、プラグイン用のケーブルの出来があまり良くなかったり、SATA電源プラグの向きが反対だったり、安いのには安いなりの理由があるらしかった。電源にこだわりだすとキリがないんだけど、SSR-650FMはまだ安いほう。

Seasonic FOCUS GOLD 650W(SSR-650FM)の外箱。電源を撮影してもあまり面白くないので、中身の撮影まではしなかった。

電源を替えたところで何か変わるとは思えなかったんだけど、明確に変わった点がひとつあった。

旧電源を使っていた時はCPUクーラーのファンから時々擦れるような音がして結構耳障りだったんだけど、ファンのベアリングがぶれてるのかな、と簡単に考えていた。ところが、Seasonicの電源に交換してからはまったくその音がしなくなったのだ。

旧電源が作られた頃にはまだPWM制御のファンが一般的でなかったせいもあるかもしれないし、交流を整流して直流を出力する電源の電圧には少なくとも揺らぎがあり、やはり品質の差が出る。その辺はさすがSeasonicのGold電源といったところだろう。

次の画像は、取り外した今まで使っていた電源。OVP(Over Voltage Protection)、OCP(Over Current Protection)、OPP(Over Power Protection)、SCP(Short Circuit Protection)といった保護回路を備え、2020年現在も現役として使うには必要最低限の能力を持っている。古くて12Vが2系統ある電源の割には、Core i7-9700Kのオールコア5.0GHzオーバークロック(定格は4.6GHz)に耐えるなど、意外と優秀だった。

mouse computerのネズミの尻尾が出ている旧ロゴが入った500W電源。「Model: MCH500AT」と大きく書いてあるけど、それで通用するのはマウスの中だけ。実際の型式番号は左下に小さく「HEC-500TE-2WX」とちゃんと書いてある。製造会社は存在しているようだけど、日本ではHECの電源は聞かなくなった。一応、80PLUS(Standard)電源。
ATX12V ver2.3 電源供應器::HEC COMPUCASE Enterprise Co., Ltd

Fractal DesignのDEFINE R6は電源が底面配置でファンを上向きにするので気が付いたんだけど、移植当時からファンの回転が不安定だった。いつの間にか、ファンがまったく回らなくなり、さすがに寿命を迎えたと思い、旧メインPCにはあまり電源を入れないようにしていた。

80PLUS GOLD認証取得 高効率高耐久電源ユニット NE650 GOLD
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参考価格: ¥9,980 (2020-04-26)
Antec (2017-12-23)

グラフィックス・カード

グラフィックス・カードのメーカーにも色々あるけど、個人的にはELSAの製品が好きで、可能ならばELSAから選ぶことにしている。価格は安くないけど、品質管理が徹底しているため不良品が少なく、安定性に優れているからだ。Quadroで慣れていて信頼しているからというのもある。

他社製品は選別チップを使って最初からオーバークロックしてあるものも多いけど、トリプル・ファンでマザーボードの幅よりも長かったり、2.5スロット厚だったりと大型製品が多い。ELSAはオーバークロックは仕様に含まれていない代わりにファンはハイエンド・モデルでも基本的にデュアル・ファンで2スロット厚以下とコンパクトに設計されているのも自分好みの点だ。

ついでにELSAはLEDで光ったりしないのもありがたい。イルミネーションをつけると電飾が地味な割に点灯を制御できるマザーボードを選んでしまったり、あまり良いことがないのでGPUを光らせることにあまり魅力を感じない。グラフィックス・カードにイルミネーションをつけるなら、SAPPHIREくらいやって欲しいところだけど、ファンそのものが光るグラフィックス・カードというのは驚くほど少ない。

とはいえ、ELSAのGPUは少々価格が高めなのは事実なので、中古で良い物が出ていないか定期的に調べていた。中古というと、新しいものでも大抵GeForce GTX 1050からGeForce GTX 1080あたりのものが多いんだけど、根気よく待っていたらGeForce GTX 1660 Tiの中古が入荷したので他のユーザーが購入する前に注文した。価格的には無印のGeForce GTX 1660の新品よりも安く手に入ったので良い買い物ができた。

中古なので、外箱は少々くたびれている。比較的新しい製品のはずだけど、空き箱の保管方法があまり良くなかったのかもしれない。最近のグラフィックス・カードのドライバはダウンロードが前提で、メディアがついていないので基本的に本体だけあればよく、付属品が欠品していても問題ない。

日本人は中古品が嫌いな人もいるけれど、中古ということはまともに動いていたことは証明済みだとも言えるし、ショップでも動作確認をしているので、初期不良の心配が新品よりも少ないという利点がある。開封したら中古になってしまうので、新品の動作確認はしないのが普通だからだ。

次の画像は、グラフィックス・カード本体を取り出してみたところ。全面真っ黒で直角という潔さと渋さがいい。デザインは性能にあまり関係ないけど、他社製品のような突起の多いデザインは好きではない。見た感じは非常に綺麗で、中古でもまったく問題ないように思える。直角デザインというとあとはSAPPHIREくらいだけど、AMDのGPUしか採用していないのが非常に残念だ。

グラフィックス・カード本体。バックプレートには大きく斜めにはみ出すくらいに「ELSA」と書いてあり、それがなかなか格好良かったりする。ASUSの鋭い目や、MSIのドラゴンのデザインより自分好みだ。
ELSA エルザ GeForce GTX 1660 Ti S.A.C グラフィックスボード VD6979 GD1660-6GERTS
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参考価格: ¥37,609 (2020-04-24)
エルザ (2019-06-07)

HDD

ついでにHDDも交換した。DiskStation DS218j(NAS)を8TBまで増強した時に余ったWD Blue(WD40EZRZ)に変更。NASを経由してデータ・ドライブを同期する際に、従来のWD Blue 500GBだとさすがに心許ないので、DAIVに搭載されているHDDと同じ4TBまで増強しておいた。

日立の250GB HDDと、そのバックアップ用に使っていたIDE接続の250GB HDDはそのうち退役させようと思う。さすがに3.5インチにしては容量が少なすぎて他に転用しようがないし、中古で売りに出すには古すぎる。ビックカメラに持っていくとHDDを物理的に破壊してくれるらしい。

Western Digital HDD 4TB WD Blue PC 3.5インチ 内蔵HDD WD40EZRZ-RT2 【国内正規代理店品】
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参考価格: ¥8,310 (2020-04-25)
Western Digital (2018-01-01)

新構成

変更後、構成は次のとおりになった。若干古いパーツも混じっているけど、旧メインPCから格下げされたサブPCなので2.5″ SATA SSDでも特に困ってない。

新構成一覧
項目 メーカー 品名 仕様 備考
マザーボード ASRock Z390 Extreme4 Z390チップセット
Intel I219V GbE
Realtek ALC1220
NCT6791D
CPU Intel Core i7-9700K SRELT (P0)
CPUクーラー Scythe Mugen 5 TUF SCMG-5100TUF 無限五 Rev.B
RGB LED仕様
メモリ G.SKILL Trident Z RGB
F4-3600C19Q-32GTZRB
DDR4-3600 UDIMM
19-20-20-40
SK Hynix C-die (18 nm)
グラフィックス1 Intel Intel UHD Graphics 630 DisplayPort 1.2×1
HDMI 1.4×1
VGA×1
グラフィックス2 ELSA GeForce GTX 1660 Ti S.A.C
GD1660-6GERTS
DisplayPort 1.4a×3
HDMI 2.0b×1
新設
SSD crucial BX200
CT240BX200SSD1
2.5″ 240GB SATA3 旧PCから移設
HDD1 Western Digital WD40EZRZ-RT2 4TB SATA3 5,400rpm 交換
HDD2 HGST HDT725025VLA380 250GB SATA 3Gbps 7,200rpm 旧PCから移設
光学ドライブ LG HL-DT-ST GH24NS50 SATA
DVDスーパーマルチ
旧PCから移設
電源 Seasonic FOCUS 650W SSR-650FM 650W 80PLUS Gold
ATX Ver.2.4
EPS Ver.2.92
セミモジュラー
交換
PCケース Fractal Design DEFINE R6 USB-C BKO TG

性能

3DMark

もはや説明の必要もない3DMarkによるベンチマークのスコア。5954というネットに出回っている6000強というスコアより若干低い結果が出たけど、おそらく画面の解像度が1920×1200だったからか、ELSA製品は速度重視のオーバークロックではないからだと思われる。

PCでゲームはしないので、ベンチの結果は本当に参考程度。3DMarkは色々なベンチを計測できるけど、GeForce GTX 1660 Tiそのものが最新製品というわけでもないのであれこれとベンチを試して他製品と比較したりはしない。

仮想暗号通貨マイニング

3DCGをふんだんに使ったゲームを快適に遊べるかという尺度ではなく、ひたすら単調な計算を繰り返す単純な演算能力(いわゆるGPGPUの能力)を測るのであれば、仮想暗号通貨のマイニングをさせてみると3DMarkとは違った意味でシビアな結果を得られる。ここではイーサリウムで例示している。

MSI Afterburnerを使ってVRAMのメモリ・クロックを+750MHz(DDRなのでクロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送できるため、データレートは+1.5GHz)ほどオーバークロックし、13GHzにしたうえで消費電力を70%まで絞り、84W(定格120W)くらいでおおよそ28.5MH/sという速度を得られる。

これは1秒間にどのくらいのデータの塊を処理してハッシュ値を算出できるかの効率を示し、ハッシュレートと呼ばれる。「MH」は「メガハッシュ」と読み、暗号化や復号化の計算量のこと。データの塊の具体的な容量はアルゴリズムによって異なるため暗号通貨が異なると同じGPUでもハッシュレートの値は異なるし、同じ通貨でも演算の難易度は変動する。

Quadro P2000はオーバークロックできないので、75Wで15MH/sくらい。それと比較すれば、そこそこ速く、ワット・パフォーマンスも良い。

GeForce GTX1080が同様の設定をして126W(定格180W)くらいで36MH/sほどなので、GPUの数をいとわないマイニング・リグを組むならGTX 1660 Tiのほうがワット・パフォーマンスは良く、効率的に採掘できる。

ただし、日本国内では電気料金が安くなく、ワット・パフォーマンスの良いGPUを選んだとしても2020年現在ではマイニングをすればするほど赤字になるので、ベンチマーク程度に試すくらいにしたほうがいいと思う。

金銭が絡むと厄介事も多く、「あなたも簡単にマイニングできますよ」という甘い言葉で誘惑しておき、実際には演算能力の大半を盗み出し、自分は電気料金や器材に投資することなく仮想通貨だけを詐取するトロイの木馬が組み込まれたマイニング・ソフトウェアをインストールさせる悪質なユーザーもいるので注意が必要だ。

通貨というそれ自体に価値のあるものではなく、自分にも回り回って利益があるものとしては、治療法の確立していない病原体(ウィルス、細菌等)の遺伝子情報から薬剤の効果を分散コンピューティングでシミュレーションして新薬を開発することを目指したプロジェクトのほうが長い目で見ると有益だろう。

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DS218jをWD Elementsの内蔵HDDでRAID1化

最終更新:2021/03/25


Synology DiskStation DS218jにWD Blue 4TBを2基搭載して主にDiXiM Media Serverの母機として運用していた。容量をすべて活かすためにRAIDはあえて組まず、冗長性がないことは承知のうえでBasicモードで2基のHDDを独立させていた。

ところが、この運用方法にはひとつ問題があることに最近気付いた。この運用方法の場合、どちらかのHDDにDiskStationのOSであるDSM(DiskStation Manager)とDiXiM Media Serverのパッケージをインストールして使うことになる。もし、DSMが入っているほうのHDDが故障した場合、HDDを交換してDSMとDiXiM Media Serverを再インストールすると、DiXiM Media Serverの暗号化情報が書き換わってしまい、それまでNASにムーブさせてきた録画番組を再生できなくなる可能性が高い。もしかしたら、DS218j本体のシリアル番号等の情報が同じであればHDDを交換したとしても問題なく動作するのかもしれないけど、故障してから録画番組のデータがすべてまったく役に立たないものになってしまって復旧不能に陥った時の損害を考えるとあまりにリスクが高すぎる。

そこで、どちらのHDDが故障したとしてもDSMとDiXiM Media Serverの情報を維持するためにRAID1化することを計画した。

RAID1化は必須ではない

後で判ったことだけど、上記の認識には誤りがあって、2基のHDDを独立して運用していてもDSMは両方のHDDにミラー化されていて、データ領域のRAID1化は必須ではなかった。ユーザーが気が付くような初歩的な問題はメーカーはあらかじめよく承知していて、どちらのHDDが故障したとしても運用が止まらないように工夫されている。

DiXiM Media Serverはシステム・ボリュームではなく、データ領域のボリュームに格納されるけど、DSMさえ生き残っていれば、DiXiM Media Serverを再インストールしてもデータ領域のボリュームに残っている録画番組を再生できる。

ただし、すべてのHDDを交換してDSMを新たにインストールしてしまうとHyper BackupなどでUSB HDDに待避しておいた録画番組のデータを復元しても再生できないことが判明している。HDDを交換するにしても、それまで使っていたDSMが初期化されないように注意を払いながら1基ずつ順次交換していくようにしなければならない。

HDDの選定

RAID1化するにあたって、保存できる容量が減ってしまうのは避けたかったため、8TBのHDDの中から選定することにした。コンシューマ向け普及機であるWD Blueは6TBまでしかラインナップがなく、8TBのモデルがないためNAS用HDDであるWD Redが有力な候補となる。

ところが、WD Blueの4TBが8千円前後で買えるのに対し、WD Redの8TBは2.5万円前後で1TBあたりの単価が5~6割増しになってしまう。SeagateのBarracuda 8TBが1.5万円前後で買えることを考えると割高感が強い。そうかと言って、やむを得ない事情がない限り、安易にはSeagateは選びたくない。記録方式がSMR(瓦磁気記録方式)であることは技術の進歩であまり問題にはならないようだけど、ワークロードは55TB/年と一般的なデスクトップ用HDDのレベルに留まることと、メーカーの信頼性の問題だ。WD Blueの「WDxxEZAZ」シリーズもSMRだけど、信頼感という心理的な差は大きい。なお、同じWD Blueでも「WDxxEZRZ」シリーズはCMR。

WD HDD 内蔵ハードディスク 3.5インチ 8TB WD Red NAS用 WD80EFAX 5400rpm 3年保証
参考価格: ¥ 25,555 (2019-09-28)
Western Digital (2018-06-01)
Seagate BarraCuda 3.5
参考価格: ¥ 15,352 (2019-09-28)
SEAGATE (2018-01-13)

WD Elementsの内蔵HDDはUltrastar?

WDの8TB HDDをなんとかより安価に入手する方法はないかとあちこち調べた。すると、昨年2018年から話題になっているかなり有名な話として、WDの外付けHDD(USB 3.0接続)の「WD Elements」や「WD MyBook」の8TBモデルの中身が、WDに買収された日立のHDD部門「HGST(Hitachi Global Storage Technology)」のエンタープライズ・グレードHDD「Ultrastar」だとする噂があった。

WDではBlue、Red、Purple、Black、Goldなど色でグレード分けされたモデルの他に、データセンター向けのHDDとしてUltrastarシリーズを今でも製造・販売している。WD Elements 8TBはAmazonで2万円前後で販売されているけど、WD製のエンタープライズ・グレードのHDDをまともに買ったら、1世代前のUltrastar DC HC320の8TBモデルでも4万円くらいはする。この噂が本当ならば、ほぼ半額なうえ、WD Redよりも安価に8TB HDDを入手できることになる。

Amazonのユーザーレビューなどを調べると、内蔵されているHDDにはWD80EMAZという型番が与えられており、製造時期によって「WD80EMAZ-00M9AA0」と「WD80EMAZ-00WJTA0」の2種類あることが判明している。概ね、2018年第4四半期以降に製造されたものはWD80EMAZ-00WJTA0になっているようだ。

2020年7月現在、「WD80EZAZ-11TDBA0」という型番のHDDが追加されているようだ。ただ、R/NはUS7SAL080で変わっていないので、設計や仕様はほぼ同じと推測できる。ネットにアップロードされている筐体の写真を見る限り、ヘリウム充填型と見て間違いないようだ。

WD Elements(8TB)内蔵HDDの種類
型式番号 近似製品 R/N 回転速度 封入ガス
WD80EMAZ-00M9AA0 Ultrastar DC HC320 8TB US7SAN8T0 5,400rpm なし(空気)
WD80EDAZ-11TA3A0
WD80EMAZ-00WJTA0 Ultrastar DC HC510 8TB US7SAL080 5,400rpm ヘリウム
WD80EZAZ-11TDBA0

ただ、この情報は一部のマニアによってまことしやかに囁かれている噂レベルのものでしかなく、当然ながらWDは公式に肯定も否定もしていない。本来のUltrastarは7,200rpm仕様であるのに対して、噂のHDDは5,400rpm仕様になっており、まったく同じ物とは言えず、日本語の電子掲示板で交わされている断片的な情報だけでは根拠に乏しい。

そこで、画像検索を頼りに海外のサイトなども調べてみると詳細な検証がなされている記事があり、これらのHDDのR/NはUltrastarのものと一致しているという有力な情報が見つかった。「R/N」が何の略称なのかは調べがつかなかったけど、WDが製造しているHDDの設計番号のようなもので、これが一致しているHDDは、型式番号が異なっていたとしても、仕様が非常に似通っていることがよく知られている。

例えば、コンシューマ向けの現行WD BlueやWD Redの小容量モデル(WDxxEFRX)のR/Nは「800055」になっており、ファームウェアなどを除く機械的な設計はほぼ同じということになる。ちなみに、WD Elementsの4TBモデルに内蔵されているHDDにはWD40EMRX-82UZ0N0という型番のものが採用されているけど、これのR/Nも800055なので、機械設計としてはWD BlueかWD Redに近いものと考えられる。

DS218jとの互換性

Synologyの公式サイトの互換性情報を調べてみると、DS218jはエントリーモデルでありながら、エンタープライズ・グレードのUltrastarにも正式に対応しており、互換性には問題ない。たまたまAmazonで2019年9月20日頃にタイムセールがあり、WD Elementsの8TBモデル(WDBBKG0080HBK-JESN)が1.8万円弱で売られていた。6TBモデルとほぼ同価格だったので、これは買わない手はないと判断して3基購入した。

WD HDD 外付けハードディスク 8TB Elements Desktop USB3.0 WDBBKG0080HBK-JESN/2年保証
参考価格: ¥ 21,010 (2019-09-28)
購入価格: ¥ 17,680 (2019-09-22)
Western Digital (2018-07-09)

HDDの調査

型式番号(電子的調査)

届いたHDDを開梱し、Windows PCに接続してCrystalDiskInfoで調べてみると、3基すべてがWD80EMAZ-00WJTA0であることが判明した。ひとまず第一段階のハードルを越えるのは成功できたようだ。仮にWD80EMAZ-00M9AA0であったとしてもUltrastar DC HC320の近似品であることには変わらないため、それほど大きな問題にはならない。上でも書いたように、HC320は本来は4万円クラスの製品であるため、1.8万円で買えるのならそれでもかなりお得だということだ。

ただし、米AmazonではHC320の8TBは200ドル前後で販売されている。日本ではエンタープライズ・グレードのものを買い求めてまでHDDに信頼性を要求するという消費者心理がないため、HC320は単純に在庫が希少であるために流通価格が上がっているという側面があるのは否めない。

失敗があるとすれば、内蔵HDDのロットがいつの間にか切り替わってしまい、判明している2種類のどちらでもない仕様不明のHDDが入っていた時だ。もっとも、WD Blueに8TB以上のラインナップがないことを考えると、8TB HDDを2万円前後で入手できる手段があるというだけでも意義があるだろう。2021年1月現在のところ、WD Elementsの8TBモデルにはHC320又はHC510の近似品が内蔵されている。

一応、CrystalDiskMarkで転送速度の計測もしてみた。ReadよりもWriteのほうが速いというのはやや不可解だけど、SATAをUSB 3.0に変換していながら184~186MB/sという転送速度は5,400rpmであることを考えに入れてもなかなかの速度ではないかと思う。これだけではSMRなのかPMR(CMR)なのかは判断がつかないので、本来ならば様々な大きさのファイルを読み書きして計測する専用のソフトを使うべきなんだろうけど、さすがにそこまで気が回らなかった。

R/N、P/N(筐体ラベル)

WD80EMAZ-00WJTA0
WD80EMAZのラベル面。筐体の形状から言ってもヘリウム充填HDDだと判る。ただ、筐体の上端に擦ったような傷があり、HDD単体で出荷するための部品としての検品では不良品として弾かれたものの、使用には問題ないとされて内蔵HDDに転用されている可能性がある。初期不良などで返品されたHDDを整備して安く卸している再調整品(リファービッシュ品)の可能性もある。安いのには安いなりの理由があるということだろう。

1基はDS218jのバックアップに回すため、そのままUSB HDDとして使用するけど、残りの2基は外装を分解して内蔵されているHDDを取り出す。

外装は非常に簡素に作られていて、簡単に分解できる。ただし、外装の中にはむき出しのHDDがそのまま収納されているため、金属の工具を差し入れて分解しようとすると中のHDDを破損させかねない。要らなくなったプラスチック製のクレジットカードやポイントカードなどを使うとHDDを傷つけることなく分解できる。YouTubeにも分解動画がアップロードされているので、それを参考にするとよい。

ただし、分解してHDDを取り出してしまうと再度同じように組み立てるのは困難なため、USB HDDとしては二度と利用できなくなる可能性が高いことには留意しなければならない。また、2年間とされている保証も受けられなくなるので、分解した時点で自己責任になる。

取り出したHDDのラベルを調べてみると、CrystalDiskInfoで電子データとして調査するだけでは判らない情報が見えてくる。R/Nは「US7SAL080」となっていた。

P/Nは「2W10227」となっており、これを詳細に照合できれば、HDDコントローラの電子回路の設計、SATAインタフェースの仕様、ファームウェアの種類なども特定できるけど、メーカー側がP/Nの対応関係を明らかにしていないと照合は難しい。

HGST製HDDには、後述する「3.3V問題」というものがあり、同じR/Nでもそれの影響を受けるものと受けないものとを区別して出荷していることがある。それを見分ける手がかりになるのがP/Nなんだけど、ユーザーの運用次第でまったく起動しなくなることもある、といったクリティカルな影響を受けるような問題でない限りはP/Nの意味するところの構成が明らかにされていないことが多い。

仕様書

基本的な調査が終わったところで、「型式番号がWD80EMAZ-00WJTA0だったからヘリウム充填型の良いほうのHDDを首尾良く入手できた」と判断してしまうのでは、噂を鵜呑みにして早合点しているのと大差ない。

そこで、WDが正式に公開している仕様書を調査して噂が本当だったのかの証拠固めをする。

Product Manual: Ultrastar DC HC510 (He10) OEM Specification – SATA models ©Western Digital

仕様書冒頭の概要の節に、HDDの容量とR/N(Type)とモデル番号の対応表がある。8TBの行を見ると、Typeは「US7SAL080」となっており、ラベルのR/Nと一致する。Ultrastar DC HC510 8TBと同程度の設計のものであることが確認できた。

Product Manual: Ultrastar DC HC510 (He10) OEM Specification – SATA models ©Western Digital

ただし、HGSTのヘリウム充填技術である「HelioSeal」も含め、すべての技術は既にWDのものであるため、最近は、US7SAL080というR/NはUltrastar DC HC510固有のものではなくなっている。2019年3月頃に製造されたヘリウムガス封入型のWD Red 8TB(WD80EFAX-68LHPN0)にも使われている。

同時期に製造された、封入ガスのないWD Red 8TB(WD80EFAX-68KNBN0)のR/Nは「US7SAN8T0」であり、Ultrastar DC HC320の設計に近いものになっている。同じWD80EFAXでも仕様の異なるものが混在しているというのは非常に紛らわしいけど、ロット単位で常に改良が続けられているということでもあり、ヘリウム充填型など最新技術に敏感でありたいなら、ユーザーも賢くならなければならないということなんだろう。

Product Manual: Ultrastar DC HC320 SATA OEM Specification ©Western Digital

なお、2016年3月頃に製造されたWD Red 8TB(WD80EFZX-68UW8N0)のR/Nは「US7SAJ800」となっており、HGST Ultrastar He8の設計に近い。He8の仕様書は既に削除されているため、現物を閲覧するのは難しいけど、R/Nとの対応関係はネットに残っている断片的な情報からも明らかだ。このR/Nは、同時期のヘリウムガス封入型のWD GoldやWD Purpleの筐体設計にも流用されている。さらに、同時期にWDの外付けHDDとして販売されていたWD easystoreの内蔵HDDに採用されていたWD80EMZZという型番のHDDのR/Nも「US7SAJ800」だった。

R/Nと各モデルの対応
R/N 型式番号 P/N F/W キャッシュ 分類
US7SAL080 Ultrastar DC HC510 (He10)        
WD8003FRYZ-01JPDB1 2W10216 01.01H02 256MB WD Gold
WD82PURZ-85TEUY0 2W10455 82.00A82 256MB WD Purple
WD80EFAX-68LHPN0 2W10209 83.H0A83 256MB WD Red
WD80EMAZ-00WJTA0 2W10227 83.H0A83 256MB?  
WD80EZAZ-11TDBA0 2W10207 83.H0A83 256MB?  
US7SAN8T0 Ultrastar DC HC320        
WD81PURZ-85LWMY0 2W10451 80.00A80 256MB WD Purple
WD8003FFBX-68B9AN0 2W10444 83.00A83 256MB WD Red Pro
WD80EFAX-68KNBN0 2W10443 81.00A81 256MB WD Red
WD80EDAZ-11TA3A0 2W10445 81.00A81 256MB?  
WD80EMAZ-00M9AA0 2W10448 81.00A81 256MB?  
US7SAJ800 Ultrastar He8        
WD8002FRYZ-01FF280 2W10104 01.01H01 128MB WD Gold
WD80PURZ-85YNPY0 2W10114 80.H0A80 128MB WD Purple
WD80PUZX-64NEAY0 2W10103 80.H0A80 128MB WD Purple
WD8001FFWX-68J1UN0 2W10107 83.H0A03 128MB WD Red Pro
WD80EFZX-68UW8N0 2W10102 83.H0A83 128MB WD Red
WD80EMZZ-00TBGA0 2W10101 83.H0A03 128MB  

3.3V問題

次に、仕様書の信号定義のページを見る。信号コネクタの定義は普通のSATA接続のHDDと同じだけど、電源コネクタの定義が普通のものとは異なる。従来は1番から3番ピンには3.3V電源が割り当てられていたけど、この表では1番と2番ピンが「Reserved(予約)」、3番ピンが「Reserved or PWDIS」となっている。これについて、かなり長い注釈がつけられている。注釈を翻訳すると、次のようなことが書いてある。

SATA 3.1仕様及びそれ以前のリビジョンでは、P1、P2及びP3ピンに3.3Vが割り当てられていた。さらに、デバイス・プラグのP1、P2及びP3ピンを一緒にバス接続する必要があった。この製品(Ultrastar DC HC510)のスタンダード構成では、P3はP1及びP2に接続され、この製品はSATA 3.3機能をサポートしないSATA 3.2システム用に設計されたシステムでSATA 3.1又はそれ以前のバージョンの製品として動作する。オプション構成のSATA 3.3 POWER DISABLE機能がサポートされている製品では、P3がPOWER DISABLE CONTROL PINとして割り当てられている。P3をHIGH(2.1~3.6V最大)で駆動すると、駆動回路への電力供給は無効になる。このオプション機能を備えたドライブは、SATA 3.1仕様以前に設計されたシステムではパワーアップしない。これは、P3をHIGHで駆動するとドライブがパワーアップしないためである。

つまり、Ultrastar DC HC510にはスタンダード構成とオプション構成の2種類があり、スタンダード構成のHC510には3.3V電源を供給しても問題なく動作するけど、オプション構成のHC510に3.3V電源を供給してしまうとHDDが起動しないということ。

では、今回使用するWD80EMAZ-00WJTA0はどちらの構成かというと、オプション構成の製品で、一般的なATX電源に接続してしまうと起動しない。試しに古いATX電源を搭載している、先日リフレッシュした旧メインPCに接続したところ、HDDに電源が入らず、システムにドライブとして認識されなかった。もちろん、ケーブルやコネクタに問題がある可能性もあるので、念のためWD Blueを接続してみたところ正常に認識したため、WD80EMAZ-00WJTA0はオプション構成であることが確定した。また、オプション構成であることをもって、SATA 3.3仕様対応品であるHC510の近似品であることも確定した。

もし、DS218jが従来式のSATA電源を供給しているとHDDをセットしても起動しないという問題が起こる可能性があったけど、Synologyの公式サイトを信じる限り、構成に関わらずHC510も使えるため、3.3V電源は供給していないと予測できる。あくまでも予測なので、検証するまではここが第二段階のハードルになるけど、結論から先に書いてしまうと、DS218jはエントリーモデルでありながら、SATA 3.3仕様のHDDにも対応している。

Product Manual: Ultrastar DC HC510 (He10) OEM Specification – SATA models ©Western Digital

現行のSATA接続の3.5インチHDDは、電源として5Vと12Vしか使用していない。2.5インチHDD/SSDは5Vだけで動作する。SATA電源ケーブルには3.3V電源のラインもあるけど、今は使われていないというのが実情だ。唯一の例外として、1.8インチHDDだけが3.3Vを使用しているけど、一般的な用途のPCやNASで1.8インチHDDを使うことはまずない。

そこで、SATA 3.2仕様では3.3V電源を廃止し、1番から3番ピンを予約とした。更にSATA 3.3仕様では1番及び2番ピンを予約とし、3番ピンに「POWER DISABLE」という機能に割り当てることにした。3番ピンに3.6V以下の電圧を印加している間は、HDDの駆動部の電源入力を遮断してパワーアップを抑制するというもので、システム全体の電源を切らなくてもHDDをハードウェア・リセットできるようにするものだという。Ultrastar DC HC510はこのSATA 3.3仕様にいち早く対応しているため、SATA 3.1以前の仕様のATX電源を使用していると3番ピンに3.3V電源が供給されてしまうため、HDDが起動しないという問題が起こった。これを「HGST製HDDの3.3V問題」、一般には略して「3.3V問題」という。

新型番について追記

2020年4月現在、レビュー投稿などを見る限り、WD Elementsの8TBは WD80EMAZ-00WJTA0 で変わっていないようだ。WDは予告なく内蔵HDDを切り換えるので、いつまで製造が続くかはまったく見通しが立たないんだけど。R/Nががらっと変わってしまうような新製品発表の情報もないので、しばらくは今の仕様のHDDを作り続けると思われる。

2020年7月現在、レビュー投稿などの記事を見ると、WD Elementsの8TBは WD80EZAZ-11TDBA0 に変わっているようだ。R/Nが「US7SAL080」で同じであることと、ファームウェアのバージョンが「83.H0A83」でこれも同じであることから、HDDの設計や仕様はほぼ同じ物と推測できる。ヘリウム充填型と見て間違いないだろう。生産拠点の変更とか、単にロットが変わったとか、外部の人間には知りえない事情による型番変更の可能性が高い。ただし、一時は市場に出回らなくなったと思っていたWD80EMAZ-00M9AA0も出荷されているようで、ヘリウム充填型が当たるかどうかは再び運任せになった。

本記事を書いてから1年近く経ち、正真正銘のWD Redや、CMRであることが明言されているWD Red Plusの8TBが2万円を切るようになったので、無理にWD Elementsの内蔵HDDでヘリウム充填型を狙わなくても良くなったとも言える。WD Elementsの8TBが1.6万円で売られているので価格的優位はまだあるけど、運を天に任せて外付けHDDの分解に手を出さなければならないほどの割高感はなくなったように思える。

2021年1月現在、2020年12月~2021年1月頃に日本のAmazonから購入したWD Elementsの8TBは WD80EDAZ-11TA3A0 という新たな型番のものに変わっているとの情報をお寄せ頂いた。調べたところ、HDD本体の製造は2020年2月頃には始まっていたもののようで、R/N は「US7SAN8T0」だった。ファームウェアのバージョンも「81.00A81」であったことから、設計はWD80EMAZ-00M9AA0と同等のものと言える。内蔵HDDが封入ガスがないものに戻ったことで、ヘリウム充填型のHDDを首尾良く手に入れるのは難しくなったようだ。

Western Digital HDD 8TB WD Red NAS RAID 3.5インチ 内蔵HDD WD80EFAX 【国内正規代理店品】
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参考価格: ¥19,750 (2020-08-22)
Western Digital (2018-06-01)

DS218jのRAID1化

USB HDDへのバックアップ

まず、NASにセットされているHDDのフル・バックアップをとる。Synology純正の「Hyper Backup」パッケージを使うのが手っ取り早いけど、目的のデータを欠損なくバックアップできるのなら手段はなんでも良い。DiXiM Media Serverで記録したDTCP-IP対応データがどう取り扱われているのかよくわからなかったので、素直にHyper Backupを使うことにする。

ここでは、WD Elements 8TBのうちの1基をUSB 3.0コネクタに接続し、ファイルシステムを出荷時のNTFSのまま再フォーマットをせず、更に世代管理もせずにバックアップする。データが5TBくらいあったので、バックアップに30時間くらいかかった。イメージ・バックアップを使えば細かいファイルが圧縮されるので、たぶんもう少し速くなる。

差分バックアップで世代管理をすると好きな時点のバージョンに戻せるという利点がある一方、Synology NASでしか解読できないバックアップ・イメージを作ってしまうため、NASが故障した時にデータを復元できなくなる。そのため、NASが故障した時でもWindows PCにUSB HDDを直結してデータにアクセスできるようにNTFSのまま使用する。クライアントとしてWindowsしか想定していないのでNTFSでいいんだけど、Macとの連携も想定する場合はファイルシステムをexFATにしてフォーマットし直すなどの工夫が必要になる。

ボリュームの解放

バックアップが終わったら、ドライブ2に相当するボリュームを解放する。これをあらかじめやっておかないと、DSMはドライブ2のボリュームがまだ存在していると判断してしまうため、HDD2を単純に取り外しただけではボリュームの認識ができなくなり、NASの起動が完了しない。「STATUS」LEDがいつまで経っても点灯せず、使える状態にならないということ。

ドライブ2に相当するボリュームを削除したら、いったんNASをシャットダウンし、HDD2をWD80EMAZ-00WJTA0に交換して起動する。ここで、「DISK 2」のステータスLEDが緑色に点灯すれば、WD80EMAZに正しく電源が供給され、DS218jで使用可能であることが判明する。第二段階のハードルを越えることに成功した。SATA 3.3仕様のHDDでも問題なく使えるとは、SynologyのNASは本当によくできている。

RAID1への変更

ストレージ・マネージャで「RAIDタイプの変更」を選択し、RAID1への変更を指定すると、追加のドライブを指定するように指示される。

追加のドライブにWD80EMAZを指定すると、RAID1への変更と同時に、ミラーリングが開始される。ミラーリングが完了すると、RAIDタイプが「Basic」から「RAID1」に変更される。ただし、RAID1の場合はミラーリングできるサイズは最小容量のドライブに揃えられるため、ストレージ・プールの使用可能容量は3.63TBのまま変わらない。「SHR(Synology Hybrid RAID)」なら、すべての容量を使うことができるけど、Basicボリュームからの変更はできない仕様になっている。

搭載されているHDDを確認すると、ドライブ2に「WD80EMAZ-00WJTA0」が追加されているのがわかる。

ドライブ2の内容はドライブ1の内容と完全に一致している状態になったため、再びNASをシャットダウンし、今度はHDD1を取り外して、WD80EMAZに交換する。この時は、4TBのHDDをストレージ・プールから削除したり、解放したりする必要はない。つまり、わざとRAID1を崩壊させる。

DS218jに装填したHDD
番号 型式番号 R/N 製造日 備考
HDD1 WD80EMAZ-00WJTA0 US7SAL080 2019年6月8日
HDD2 2019年6月27日

2基ともHDDを交換し終わった状態が次の画像。

この状態でNASを起動すると、かなり派手なビープ音が鳴ってRAIDが劣化していると警告される。

劣化ボリュームのリビルド

ストレージ・マネージャを確認すると、ボリューム1及びストレージ・プール1が「劣化」していると表示される。「使用済みドライブ」は1基で、「未使用のドライブ」も1基であることを確認したら、劣化したRAIDボリュームを修復する。

劣化したRAIDストレージ・プールを修復する。リビルドが開始され、RAID1の劣化状態を解消する。

ドライブ1とドライブ2の双方が「WD80EMAZ-00WJTA0」に変更されていることを確認する。

リビルドが完了すると、次の画像のようになる。「ドライブサイズ」は7.28TBになっているけど、ストレージ・プールの容量は3.63TBのまま変わっていない。

「概要」を確認すると、4TBだったドライブ1のデータを損ねずにそのまま移行できていることがわかる。ただし、ストレージ・プールは3.6TBしかないので、使用率は87%と高いままになっている。

RAID1ボリュームの拡張

RAIDに関する一般的な解説を読むと、「RAID1は容量の大きいHDDに交換してもボリュームを拡張できない」といった説明がなされていることが多い。基本的にはそれで正しいんだけど、最近のNASは進歩していて、RAID1であってもHDDの物理容量に余裕があればボリュームを拡張できるようになっている。

アイ・オー・データ機器のNASでは「拡張ボリューム」という独自方式をRAIDを採用していて、RAID1相当の機能を持ちながら大容量のHDDへの拡張ができるということを売りにしているけど、Synology NASでは特殊なRAIDシステムを使うことなく、RAID1ボリュームを拡張できる。

ストレージ・マネージャでボリュームの「構成」を選択すると、ボリュームをHDDの最大容量まで拡張できる。

ボリュームの拡張はほんのわずかな時間で終わり、ストレージ・プールの容量が徐々に増えていって7.3TBまで拡張される。ボリュームの使用率はほぼ半分になり、44%になった。これで、8TBのRAID1システムへの移行が完了した。

USB HDDにバックアップしておいた、ドライブ2に入っていたデータをHyper Backupで書き戻し、RAID1に変更する前の状態と同じになるように復元する。DTCP-IPに対応した他社製NASの場合、録画番組をUSB HDDにバックアップできなかったりすることもあるけど、DS218jの場合は、録画番組をUSB HDDにバックアップし、それを復元しても正常に再生できる。ただし、USB HDDにバックアップされている録画番組を直接再生することはできない。

静音性は悪化

WD BlueをDS218jに装填して使っていた時は、本体正面のアクセス・ランプを見ていないとHDDが動いているのかどうかすらわからないくらい静かだったけれど、WD80EMAZに交換した後はアクセス中の騒音はかなり悪化した。RAID1にしているため、2基のHDDに同時に書き込むことで単純に騒音も倍になる。また、アクセスしていない時でもスピンドルが回っている間は唸っているような音が継続的に出る。スペック上は5,400rpmということになっているけど、騒音だけで言えば7,200rpmクラスのHDDと同等。

エンタープライズ・グレードのHDDといえば、サーバーで使用することを前提としていて、シャーシからの排熱に用いるファンや、サーバー室を冷やすための空調が相当な轟音を出すため、HDDの騒音程度は問題にならないことが多い。

保証期間が2年に限定されるため、WD80EMAZがエンタープライズ・グレードと同等の信頼性を有しているとは考えにくいけど、同じ筐体設計がWD Redの大容量モデルにも使われていることを考えると、コンシューマ向けのHDDも大容量モデルに関しては静音性を一時棚上げにしているとも言える。

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