Canon EF50mm f/1.8 II

最終更新:2016/09/06

Canon EF 50mm f/1.8 II
f/1.8 1/2500秒 ISO-100

最近購入した単焦点50mm標準レンズ。私が持っているEOS 40DはセンサーがAPS-Cサイズなので、実効焦点距離80mm。

定価が12,000円で、首都圏のヨドバシカメラあたりで買うと9,280円(ポイントを割引として計算に入れると8,352円)くらい、Amazon.co.jpでは9,000円弱で、初めての追加レンズとしては大変コストパフォーマンスが高い。単焦点の明るいレンズを手軽に試してみたい人にお勧め。

USM(ウルトラソニックモーター)もSTM(ステッピングモーター)もついていないので、少し駆動音が大きくてオートフォーカスに若干時間がかかるけど、動かない物を撮るならあまり問題にならない。IS(イメージスタビライザー=手ぶれ補正)もついてないけど、明るいのでシャッタースピードを稼げるからそれも大きな問題にならない。

余計なものが何もついていないのでとにかく軽いという特徴もある。この辺は女性にとっては重要な部分だと思う。

f/1.8でシャッタースピードが速くなるから被写界深度がすごく浅いので、Avモード(絞り優先)でオート撮影するとピントがすぐズレたり、露出アンダーやオーバーになりやすいので、Mモード(マニュアル)がオススメ。

撮影した結果の成功・失敗がはっきりしているので、Avモード(絞り優先)やTvモード(シャッター速度優先)、P(プログラム)モードしか使ったことがなくて、マニュアルモードに慣れていない人の練習台に持って来い。写真なんてカメラ付き携帯電話(スマートフォン)で十分だと思っている人や、ボディのレンズキットに付属してくる標準ズームレンズでは絞りやシャッター速度の違いがあまり感じられない人には目から鱗かも。

ただし、ユニットを構成する6枚のレンズを含めてプラスチックを多用しているので傷つきやすく、52mmΦプロテクターが必須。高級なレンズでは普通はステンレスを使っているマウント側もプラスチックなので、取り扱いが悪かったり過酷な環境で使用し続けると簡単に壊れるかもしれない。その時は同じものを買い換えるか、比較的手頃なEF40mm F2.8 STMあたりに乗り換えるといいと思う。

それでも、f/1.8という明るさは魅力的。レンズに入射した外界の光がC-MOSセンサー(銀鉛写真カメラのフィルムにあたる部分)に当たるまでの減衰が、f/1.8の場合3.24分の1、f/2.8の場合7.84分の1になる。F値は平方根なので、二乗すると光の総量が求められる。つまり、光の総量が約2.42倍も異なるということ(あくまでも概算だけど)。これは大きい。

被写体は、近所にあるバーの屋外ディスプレイを撮影させてもらった。


EF50mm f/1.8 IIは残念ながら現在は生産が終了しており、後継のレンズとしてEF50mm F1.8 STMが2015年5月に発売された。定価は19,500円で、2016年3月現在の実勢価格は大体15,000円くらい。

自分のカメラで試してみたわけではないので満足のいく写真が撮影できるかどうかはちょっと判断しかねるけど、EF50mm f/1.8 IIの自重が130gだったのに対して160gとあまり変わっていないうえ、大きさはむしろ小型化されている。フォーカスリングの幅が広がり、非常に前後が薄いEF40mm f/2.8 STMや、前縁部にかなり幅の狭いフォーカスリングがあったEF50mm f/1.8 IIよりも操作しやすい。一杯まで開いてf/1.8で撮影する時に必要かどうかは微妙だけど、STMを搭載しているのでオートフォーカスの駆動音は静かになった。全体的に「中身が詰まった感」が増し、EF50mm f/1.8 IIよりも安定感というか安心感がある。

最短撮影距離も45cmから35cmまで短縮され、より接写が可能になった。また、構造的には絞り羽根が5枚から7枚に増え、日本人好みのボケがより綺麗にボケることが期待できる。

他にもf/1.8以下の明るい標準/広角の単焦点レンズもあるけど、定価からして5~6万円と高価なので気軽に試せる価格でもない。割高感はあるかもしれないけど、マウントがステンレス製になって耐久性は確実に上がっているので、買い換えの必要がなくなったと思えばコストパフォーマンスは良いには違いない。

生産が終了してしまったことでEF50mm f/1.8 IIの新品は希少になってしまい、価格は定価を超えるほど高騰している。今から買うならEF50mm F1.8 STMをお薦めしたい。7,500円の差額分は高性能化している。もっとも、カタログ・スペックだけではなんとも言えないのがレンズの難しいところなんだけど。

どうして応用の利かなそうな単焦点レンズをこうまでして推すかと言うと、当初は遠くの飛行機を撮影する目的で望遠ズームレンズにばかり目を奪われていた自分が知人のEF50mm f/1.8 IIで撮影した写真を見せてもらい、明るい単焦点レンズの魅力に気付いたから。カメラに付属してきたズームレンズを使っている人に単焦点レンズの魅力に気付いて欲しい。

一見、レンズは透明なようだけど、1枚通過するたびに光は徐々に減衰していく。下手なガラスよりもプラチックのレンズのほうが透明度が高いなんていうこともある。ズームレンズは近距離から遠距離まで対応するために10枚を超えるレンズを内蔵していることも珍しくない。その点、単焦点レンズはレンズの枚数を減らせるので光の減衰を少なくすることができ、絞りの調整がきくようになる。選択できる絞りの幅が広がるということは表現の幅も広がるということに直結するので、安いものでもいいから単焦点レンズをひとつ持っていても損はない。室内でテーブルの向こう側に座っている人を撮影する場合なんかは付属のズームレンズでは解放してもf/4にしかならなくてシャッター速度が上がらず、ブレブレの写真になってしまうなんていうこともよくある。