最終更新:2019/05/10
8インチくらいのタブレットPCの導入をかなり真面目に検討していて、iOSのデバイスにするか、Windowsのデバイスにするか悩んでいた。
iPhone 4Sを使っているので、iOSが携帯用デバイスに特化していて、動作も軽くてインターフェースが直感的なのはよく理解していた。でも、ファイルシステムありきのOS設計ではなく、データは常にアプリケーションに付随するものという点で、作成したデータの取り回しがあまりよくないのが欠点と言えば欠点だった。iCloudが使えればほとんど問題にならないんだけど、携帯電話回線とWi-Fiの両方の電波が弱い場合は外出先でデータを取り出せない。
現状、日本国内では、都心でもインフラストラクチャとしての公衆Wi-Fiがまったくアテにならないので、携帯電話回線に頼らざるをえない。同じ携帯キャリアで2回線以上持つと割引になるとはいえ、当然ながら通信料が増える。どうせ同時になんて使わないんだし、タブレットPCではデータ通信しかしないんだから、携帯電話回線なんてひとつでいい。そう常々思っている私にとっては、なんとしても回線を増やしたくない。となると、自動的にWi-Fiを利用することになるか、無線通信機能を備えない独立型のタブレットPCになる。
一方、WindowsのタブレットPCは、モバイル無線LANルーターを使う場合を除き、携帯電話回線に直接対応しているものはないと言っていい状態なので、Wi-Fiが前提ならばWindowsという選択肢もありえる。なんと言っても使い慣れたファイルシステムが使えるというのが最大のメリット。携帯電話回線やWi-Fiなんてつながっていなくても、デバイスの中でデータが完全にクローズしているので、周囲の環境にまったく影響を受けない。自宅のPCとのデータのやりとりも、USBケーブルで接続すればUSBメモリと同様に簡単に扱える。単純にノートPCを小型軽量にしたものという位置づけに近い。思考検討ではWindows優位に思われた。
そこで、最近(2013年12月頃)発売されたWindows 8.1搭載8インチ・タブレットPCを店頭で試してみた。価格は32GBストレージでiPad mini 16GBの1万円増しくらい。
ダメだった。まったく話にならなかった。
ひとつ前のiPad miniでさえ、タップすれば即座に反応してくれるのに、Windows 8.1を搭載したタブレットPCは恐ろしく反応が悪かった。
物理メモリが2GBとそもそも少ないところへ、普通にフルサイズのWindows 8.1をマルチタスクで動かしているので、全体的に動作がもったりしてる。試しにリソースモニターを起動してみたら、めちゃくちゃたくさんのプロセスが動いていて、使い方次第でどうにかなる問題のようには思えなかった。それに、タッチパネルのためにチューニングしてあるとはいえ、Windowsで右クリックやショートカットキーを使えないのがこんなに不便だと思ったことはない。
Windows 8.1とPCメーカーとIntelの名誉のために付け加えておくと、それぞれに問題はないんだと思う。Windowsが重いのなんて今に始まったことじゃない。でも、あえて世間の流れに逆らって出来合いのものに頼らず、それらのためだけにCPUとグラフィック・プロセッサとタッチパネル式高画質液晶ディスプレイとOSまで開発したアップルの徹底したコンセプトを持つiPadとiPhoneでは相手が悪すぎるだけなのだと思った。スティーブ・ジョブズが文字通り命を削って生み出したデバイスは伊達じゃなかった。
タブレットPCのために軽量化されたWindows RTは、まだMicrosoft SurfaceとASUSくらいにしか搭載されてないし、右クリックを使えないストレスは依然として残る。カバーを兼ねた薄型キーボードとの併用を前提としているためなんだろうけど、ソフトウェア・キーボードも呼び出しボタンをタップしないと出てこないので、入力可能になったら自動的にサッと出てくるiOSと比べて手間がかかる感じもする。
ということで、消去法でiPad mini RetinaディスプレイWi-Fi(のみ)モデルに決まった。前述のように公衆Wi-Fiはアテにならないので、iCloudが使えなくてもデータの作成が可能か検証してみる必要がある。
あくまでも実験で、あまりお金はかけたくないので、ソフトウェア・ルーターで動く超小型USB接続無線LANルーターを検討してみる。各社取り扱いがあるようだけど、バッファローのものが仕様が詳細に書いてあって使い勝手も良さそうだった。新しいのはWLI-UC-GNM2Tというモデルみたいだったけど、店頭にあったのはWLI-UC-GNM2というものだったので、とりあえずそれを購入。バッファローは似たような仕様で複数のモデルを出してるので、モデル間の違いがよくわからないというのが考えもの。
どこのメーカーのWEBサイトを見ても、ソフトウェア・ルーターを親機として使う時にはWindows 7/8はダメですよ、とか、ハードウェア・ルーターが必要ですよ、とか書いてある。バッファローはもうちょっと具体的に、インターネット接続がPPPoEの場合ははハードウェア・ルーターが必要です、と書いてあった。
自宅には、デスクトップPCの他にPS3を接続する目的でアイ・オー・データ機器のETX-Rというハードウェア・ルーターを設置してあったので、とりあえず問題はなさそう。このモデルは、今は生産を終了していて、ETX2-Rという製品が後継機種だそうだ。手頃な価格だし、おそらく一般家庭ではインターネットへの接続部がボトルネックになると思われるので、100BASE-TXでいい人にはこれで充分。WLI-UC-GNM2シリーズの規格値は150Mbpsなんて書いてあるけど、IEEE 802.11b/g/n規格の無線LANが、有線LANより速くなるなんてことはちょっとありえない。自宅内でLANを組んでいて、メインストレージを備えたサーバーへの接続を全面的に無線LANに移行している人は速ければ速いに越したことはないんだろうけど。
自分のPCやインターネット回線の接続の種類はプロバイダの仕様書などに書いてある。ちなみに、「スタート」ー「コンピューター」-「ネットワーク」で表示されるネットワークインフラストラクチャ・グループのルーター・デバイス・アイコンを右クリックして「デバイスのWebページの表示」というメニューがあれば、それをクリックするとブラウザに接続情報が表示される。コントロール・パネルでローカル・エリア・ネットワークのフルマップを表示させて「管理URL」をクリックしても同じ。ブラウザにハードウェア・ルーターのIPアドレスを入力しても同じ。
WLI-UC-GNM2本体をUSBに挿して付属のCDを光学ドライブに入れ、画面の指示どおりに作業するとあっけなく設定完了。iPhoneと接続するにはSSIDとパスワードが必要なんだけど、WLI-UC-GNM2は小型すぎて本体には書いてない。インジケータ領域に表示されているソフトウェア・ルーターの設定ツールから「オプション」を選択すると工場出荷時設定のSSIDとパスワードが出てくるので、iPhoneにそれを打ち込む。以後は自動的に認識するように設定。
携帯電話回線がないことを前提としているので、「Wi-Fi」と「モバイルデータ通信」をいったんオフにしてからEvernoteで適当に新しくテキストを打ってみる。保存するとネットワークとの同期待機のマークがつくけど、iPhoneだけで独立してデータを編集できることを確認。「Wi-Fi」をオンにすると、同期されてマークが消える。
Evernote、インストールはしてみたものの、あんまり使い道がないなぁ、と思ってたら、こんなに使える子だったとは。これなら、携帯電話回線につながらないiPad miniでもまったく問題なさそう。
[追記]
すっかり忘れてたんだけど、『au Wi-Fi接続ツール』というのがあった。PCとは手動で接続しちゃったので、auが提供しているWi-Fiスポットとの認識のために使う。所要で駅前に行ったので、近くのauショップに入って接続状況を見てみた。iPhone 4Sで表示されたSSIDは次のとおり。
- 「Wi2」(暗号化なし)
- 「Wi2premium」(暗号化なし)
- 「Wi2_club」(WPA)
- 「Wi2premium_club」(WPA)
速度は左のスクリーンショットを参照。ベンチマークソフトは『スピードチェッカー』を使用。5回計測してみたところ、かなり幅があったものの、良くて下り7Mbpsくらい(中央3行)。宅内無線LAN(下2行)が30Mbps以上出ていることを考えると遅いけど、3G回線の1~2Mbpsよりはマシなことがわかった。