BRDFシェーダ

最終更新:2016/09/06

BRDFは、Bidirectional Reflectance Distribution Functionの略で、日本語では双方向反射分布関数という。数学的なことはあまりよくわからないんだけど、LightWaveにおけるBRDFシェーダは簡単に言ってしまうと、特定の光源に対して反射する面のハイライトに変更を加えることができるもの。異方性反射に似たようなこともできる。

異方性反射に関する記事ではAnisotropicノードやAni-Reflectionsノードを使ってSpecular ShadingとReflection Shadingを実現し、Diffuse Shadingを使って金属表面のヘアライン加工の質感の再現を試みた。しかし、サーフェースや光源の色にレンダリング結果が影響を受けなくなるなどの制約もあることも書いた。BRDFシェーダは、厳密な意味での異方性反射を再現することはできないけど、ハイライトに色を着けることが可能で、光源に特殊な設定をすることなく比較的手軽な設定でハイライトの形状等を制御できる。

まず、次の画像のような球状のオブジェクトを用意する。もっとも単純な白色のスポットライトをひとつ配置しただけの簡単なシーンで、ハイライトは円形になる。これにBRDFシェーダを適用していく。

BRDF000

Regularモード

最初に、「Regular」モード。ハイライトの色(Color)、反射光(Specular)、光沢(Glossiness)を指定できるのみで、ハイライトの形状は通常と同様になる。

BRDF001

上の画像の設定でレンダリングすると次の画像のようになる。光源の色とは無関係に、ハイライトに黄色が適用され、光沢を弱めに設定したためぼんやりとした輪郭になる。ハイライトの位置が同じというところが重要で、BRDFシェーダは特定点における光の反射のみに適用されるものであることがわかる。

BRDF002

Anisotropicモード

次に、「Anisotropic」モード。ハイライトの色、反射光、光沢に加えて、「Anisotropy」と「Direction」を角度で指定できる。Anisotropyは異方性反射のことだけど、できることはかなり限定的で、放射状の異方性反射はある程度模擬できるものの、同心円状の異方性反射を模擬することまではできない。「Anisotropy」と「Direction」を設定するとハイライトの形状をずらすように互い違いに歪ませることができ、「Anisotropy」を「90°」、「Direction」を「0°」に設定するとハイライトの中心点で交差する扇状の反射になる。

BRDF003

上の画像の設定でレンダリングすると次の画像のようになる。ハイライトが緑色になり、異方性反射風の扇状の反射になっていることがわかる。「Anisotropic」モードでもハイライトの中心点は同じで、光を当てる方向やカメラの視点を変えなくてもBRDFシェーダの効果を得られる場所には変化がないことがわかる。

BRDF004

AnisotropicⅡモード

最後に、「AnisotropicⅡ」モード。「Anisotropic」モードの設定項目に加えて「Mapping」を指定できる。マッピングに「Cylindrical」を指定し、X、YまたはZのいずれかの軸を指定するとオブジェクトの軸に沿ったハイライトを生じる。「Anisotropy」と「Direction」の挙動は「Anisotropic」モードとは異なり、「Anisotropy」と「Direction」の両方を「90°」に設定するとハイライトの中心点で交差する扇状の反射になる。

BRDF005

上の画像の設定でレンダリングすると次の画像のようになる。ハイライトが赤色になり、異方性反射風の扇状になっているのは「Anisotropic」モードと同様だけど、ハイライトの中心点がオブジェクトのY軸に移動している。3つのモードのうち、動作としてはもっともAnisotropicノードに近いけど、同心円状の異方性反射の模擬が難しい(少なくとも、試した範囲では実現できなかった)上に、Anisotropicノードと異なり、異方性反射の中心点を任意の位置に移動させられないため制御が難しい。UVマップを指定することもできるけど、更に高度な設定になるので、そこまでする必要があるかどうかは判断の分かれるところ。

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ティーポットで実験

それぞれのモード単体でできることはそれほど大したことはないけど、ひとつのBRDFシェーダに3つまでのレイヤーを設定できるので、自動車の塗装のように何層かの塗装面におけるハイライトを制御したい時に有効。

例えば、何の変哲もないティーポットのモデルを配置したシーン(左の画像)にBRDFシェーダの「Anisotropic」モードを二層にわたって適用することで、ハイライトにヒステリシス曲線のような歪みを生じさせ、表情を持たせることができる(右の画像)。

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BRDFシェーダはその特性上、平面よりはハイライトが出やすい曲面のほうが効果がはっきりとわかるけど、光源の方向やモデルの角度などによって立体感が薄いと感じられる場合などに光源に依存しない反射を生じさせることで立体感を増すこともできる。

作品への応用

実験だけでは効果がわかりにくいと思うので、更に進めて実際の作品に反映したらどうなるか試してみた。次の画像はBRDFシェーダ適用前のもの。左右の白い斜線の入った青い部品は機首を中心にして山なりに角度がついているんだけど、光源の都合などで立体感がわかりにくい。

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次の画像はBRDFシェーダ適用後。白色と青色のサーフェースに全体的に水色のハイライトを入れた。機首や主翼前縁部のような曲面のほうがシェーダの効果がはっきり見えるけど、平面にもレイトレースではわかりにくかった部分にハイライトが出て立体感はやや増した。ただ、本来の光源方向がわかりにくくなって嘘っぽく見えてしまうという欠点もあるので、度を超さない程度に使うのが良いように思う。

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バグについて

最後に、BRDFシェーダにはLightWave3D 10.1の時点でバグがあり、サーフェースにBRDFシェーダを適用したままモデラーでオブジェクトのファイル間、レイヤー間のコピー&ペーストを行うとクラッシュする。モデラーではシェーダの効果を確認できないのでレイアウトで最後の仕上げに適用するようにしたほうがいい。この問題は、機能を一時的にオフにするだけでは解決できないため、シェーダ適用後にモデルを修正する必要が発生したら、シェーダをサーフェースから完全に除去する必要がある。その際に、パラメータが多いので設定を忘れてしまわないようにどこかにメモしておかなければならない。そういった意味では使い勝手が良くないシェーダではある。

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アンチエイリアス部分にアルファチャンネルを適用する

最終更新:2016/09/06

3DCGモデルのエッジ・ラインの抽出について書いた2013年5月14日の記事では、エッジ・ラインだけを残してそれ以外を透明にするためにGIMPの「色域を選択」機能で一括選択してざっくり削除していたけど、アンチエイリアシングで生じた暗い色のピクセルもそのまま残ってしまい、あまり綺麗にはできていなかった。

そこで、8ビット256階調のアルファ・チャンネルを利用してピクセルが暗くなるほど透明度が増すように設定し、背景に溶け込ませることができないだろうかと考えた。画像処理を得意とするソフトウェアを開発する企業の中には当然同様のことを考える人はいて、誰もが知っているAdobe Photoshopはもちろん、フリーライセンスのGIMPでも「レイヤーマスク」という機能で実現されている。モノクロ256階調のレイヤーマスクが黒に近いほどレイヤーの表示は透明に近づき、白に近いほど不透明度が増していく。

マスクを使うとなれば、グレースケールとしても使える画像のほうが何かと都合がいいので、前の記事では、背景色やサーフェース色を暗い青 RGB=(0,0,32) に指定していたけど、これを黒 RGB=(0,0,0) に設定しなおす。エッジ・ラインの色は白 RGB=(255,255,255) で同じ。前回はLightWaveの出力をアルファ・チャンネルとともに32ビットPNG形式で保存していたけど、あえてアルファ・チャンネル情報を破棄して24ビットPNG形式で保存する。

今回用意したのは次の画像(モデルは前回のものとは若干異なる)。

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Adobe Photoshopによる方法(Photoshop CC 2015)

Photoshopで対象となる画像を開き、レイヤーパネルの下に並んでいるアイコンの中の左から3つめの「レイヤーマスクを追加」ボタンをクリックする。メニューからでは、「レイヤー」-「レイヤーマスク」-「すべての領域を表示」を順に選択する。すると真っ白なレイヤーマスクのサムネイルが当該レイヤーの隣に追加される。

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次に、対象画像のレイヤー(カンバス)を全選択(Ctrl+A)し、コピー(Ctrl+C)しておく。レイヤーマスクのサムネイルをクリックして選択状態にして、更にAltキーを押しながらクリックすると、レイヤーマスクの編集画面になる(この辺はちょっとわかりにくかった)。コピーしておいたレイヤーをペースト(Ctrl+V)する。選択状態になっていてペーストできない場合は、いったんカンバスの外をクリックするなどして選択を解除しておく。

LightWaveでの画像保存でアルファ・チャンネルを破棄したのは、コピーしたレイヤーの余白に透明部分があると普通にペーストするだけでは同じ位置に貼り付けられないことがあるのと、透明だった部分のマスクは真っ白のままで変わらないので、あらかじめ黒で塗りつぶしておかなければならないから。位置については「編集」メニューから「特殊ペースト」、「同じ位置にペースト(Shift+Ctrl+V)」を順に選べばいいんだけど、1ピクセルでもズレると結果が大幅に変わってしまうので、余計な手間はないに越したことはない。

なお、今回は白い実線部分を残しておきたいので、「階調の反転」は行わない。

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再びレイヤーのサムネイルをクリックすると、元は黒かった部分が透明になっている。わかりにくければ、背面に何か色のついたレイヤーを一時的に差し入れてみる。エッジ・ラインに隣接するアンチエイリアスのピクセルもレイヤーマスクの階調に従って半透明状になっているので、これを「ファイル」メニューから「別名で保存」を選択してPNG形式で保存する。

GIMPによる方法

GIMPの場合はPhotoshopよりもシンプル。レイヤーなどが表示されているパネルで対象画像のレイヤーを右クリックすると、「レイヤーマスクの追加」というメニューがある。メニューからでも「レイヤー」-「レイヤーマスク」-「レイヤーマスクの追加」で実行できるけど、右クリックのほうが操作は直感的。

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クリックすると、どのようにレイヤーマスクを生成するのか「レイヤーマスク追加」ウィンドウで聞いてくるので、「レイヤーのグレースケールのコピー」を選択して「追加」ボタンをクリックする。これだけでいい。GIMPのインターフェースに慣れてさえいれば、レイヤーマスクの編集の手間がない分、Photoshopよりも手軽ではある。

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対象画像を「可視部分」と「不可視部分」に分けて重ねているだけで、特殊なアルゴリズムを用いているわけではないのでソフトウェア間の性能差は生じにくく、Photoshopでやっても、GIMPでやっても基本的に結果は変わらない(はず)。

レイヤーマスクを利用して加工したものが次の画像。白い実線以外の部分は透明になっているのがわかりやすいように、ウェブサイトの背景画像の上に表示されているもののスクリーンショットをとった。元の画像よりもエッジが細くなった印象はあるけど、従前の方法よりシャープさが増し、不自然な段差も少ない。エッジの太さについてはLightWave側でなんとでもできる。全体的には綺麗にできていると思うけどいかがだろうか。

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参考記事

タイトルロゴ改訂版

最終更新:2016/09/06

現在のロゴを拡大して改めて眺めていたら、当時は技術的に拙かったこともあってあちこち角がはみ出してたり、色彩がいまいちなのが気になってきた。そこで、Inkscape(0.48.1)を使ってSVG形式で作り直してみた。

Inkscapeはフリーライセンスのソフトウェアながら、座標の指定が厳密にできたり、マウスなどのポインティングデバイスでは指定しにくい細かいところはXMLエディタ編集機能で直接数値入力できるのが3DCG屋の私には性に合っている。CADのようなオブジェクトの整列機能も強化されて使いやすくなった。なお、現在安定版とされている0.48.4はGUIのライブラリに問題があるようで、メニューバーのフォントがおかしかったり、座標の指定に妙な挙動があってストレスがあるので、個人的には、0.48.1がおススメ。

以前のロゴは別のドローイング・ソフトウェアで作ったんだけど、古かったのもあって操作性が私には合わなかった(予備知識なしでいきなり作ったので、そもそも勉強不足だったっていう指摘は、まぁ、ごもっともなんだけど。細かいところを気にしていられるほどPCのパワーもなかった)。

VF_Logo_official_revised_compare

基本的なデザインは踏襲しているので、ほとんど自己満足の世界。

  • 前は縦の線と斜めの線の太さが同じになっていなかったので、三角関数を使って厳密に計算して太さを同じにしてみた。綺麗に揃ったようにも見えるし、太さに変化がなくて凡庸な感じになったような感じもする。サンセリフ(ゴシック体)風ってことで、これはこれでいいことにしよう。
  • 前はロゴの縁の処理が角張っていていかにも素人っぽかったので、角を少し丸めた。あまりやりすぎるとポップな感じになってしまうので、本当に「角を取った」くらい。「パス」ツール群にある「ダイナミックオフセット」機能はかなり使える。マウスでオフセット半径を大雑把に指定して、XMLエディタで丸め半径をキリのいい値に指定すれば綺麗に仕上がる。
  • 「VANGUARD FLIGHT」の語頭の「V」と「F」はもともと縦幅が大きかったけど、太さは他の字と同じで弱々しい感じがしたので太さを10%増しにした。あまり太くしすぎるとバランスが悪くなるので「測ってみたらわかるくらい」にしておいた。中学校の美術で習った、レタリングは「完全に太さや大きさを揃えてしまうと字によっては細く小さく見える」的なアレを思い出して参考にしてみた。
  • グラデーションがいまいちメタリックな感じになっていないので、もう一段深い色を追加した。全体が引き締まった。赤色の二つの「G」のグラデーションも見直して彩度を上げてみた。それから、下の行のグラデーションの位置がちゃんと中央になっていなかったので、中央にグラデーションの中心を揃えた。
  • 「R」のデザインがいまいちだったので見直してみたんだけど、やっぱりイマイチ。改善案が思いつかなかったので適当なところで妥協。「R」難しいよ、「R」。
  • 「Δ」はオマケ。ウェブサイトのトップページには採用しない予定。

エッジ・ラインの抽出

最終更新:2016/09/06

ウェブサイトの画像を作るのに必要になったので、オブジェクト(モデル)輪郭のエッジ・ラインを抽出してみた。LightWave Super Cel Shaderを使う方法と、自己発光を使う方法のふたつを紹介する。

レイアウトのレンダーオプションで「ワイヤーフレーム」を指定するだけでは、ポリゴンの表面が全部透明になってしまい、モデリング中のワイヤーフレームのような画像が出力されてしまう(ポイントは目立たないので大昔のワイヤーフレームのゲームのような感じ)。「ラインレンダー」を有効にしてもエッジ・ラインだけが出力されるわけではない。そこで、

『裏側が見えない、余計な線も見えないソリッドなワイヤーフレーム』

を目指してみた。

最初に、「リアリスティック」モードでいつものようにレンダリングした画像。ところどころ文字やマーキングなどのテクスチャが貼られているのがわかると思う。

Dragoon-Realistic_640

これを、次の画像のように出力させるのが目標。オブジェクト・モデルはまったく同じもの。

Dragoon-Wire_640

共通手順・サーフェースの統一

まず、モデラーにある「色・質感編集」の設定で、テクスチャ・マップなどを設定してあるサーフェースをすべて主要な色に統一する。今回の場合、テクスチャ・マップを指定してあるのは主に白色の部分と青色の部分なので、基本色の設定を見ながらその2色に振り分ける。

このとき、「ポリゴン選択モード(Ctrl+H)」で「ポリゴン状態(w)」ウィンドウから「Surf:」をクリックしてサーフェース単位で選択をすると楽にできる。

3DCGは、要は数学の世界なので出力はいつも同じ結果になる。ということは、出力に影響しない作業をいかに効率化するかで時間を稼ぐ。ひとつひとつポリゴンをマウスで選択してたり、なげなわ選択で大雑把に選択してからジリジリ選択ポリゴンを減らしているようではイカンのです。

そもそも、なんでサーフェースを振り分けるなんて面倒くさいことをするかというと、レイアウトにあるオブジェクトのアイテムプロパティの「輪郭」タブで指定するラインレンダーで「サーフェイス境界」を指定すると、テクスチャが設定してあるサーフェースと設定していないサーフェースの境界を、LightWaveは「色の境界」と判断してしまうから。このため、本来カラーリングの境界線も鋭角のエッジのないところに意図しないエッジがたくさん出力されてしまう。

私の場合はだいたい、テクスチャを割り当てるポリゴンの指定には色の境を意図していない。複数のテクスチャも画像編集ツールではなく、LightWaveサーフェース上のレイヤーでブレンドしたり位置を調整したりする。UVマップはサーフェースとは関連付けられるけど独立した概念なので、オブジェクト全体をくるむようなマッピングもメカの場合はあまりしない。

全部のポリゴンをひとつのサーフェースに統一してしまうのがもっとも簡単なんだけど、隣り合うふたつのポリゴンが、例えば平面のように続いていてエッジを共有している場合は、LightWaveのレンダーはそのエッジを省略してしまう。このため、カラーリングの境界に適切なエッジ・ラインが引かれず、ただ輪郭外形(シルエット)をなぞるだけの扁平な出力になってしまう。

主要な色に振り分け終わったら、必要なサーフェースをすべて同じ色に統一する。言うまでもないけど、サーフェースは非常にパラメータが多いので、サーフェース名を右クリックしてコピー & ペーストすると楽チン。今回は暗い青(RGB = 0,0,32)にした。

LightWave Super Cel Shaderを使う方法

Super Cel Shaderはほとんどの一般的なサーフェースの設定を無視するけど、念のため「反射光」や「光沢」、「鏡面反射率」、「透明度」の設定は「0%」にしておく。なお、「拡散レベル」を「100%」にしておかないとサーフェースが真っ黒になってしまうので注意。

Edge_Cel_000

主要な色のサーフェースの「シェーダ」タブにある「シェーダ追加」プルダウンメニューから「Super Cel Shader」を選択する。シェーダを右クリックすると出る「プロパティ」で4段階の明るさの階調の境界値を0~100%の範囲で指定するわけだけど、これをすべて「100%」に指定する。すると、まったくハイライトも影もない扁平な出力が得られる。

Edge_Cel_001

シェーダもプロパティごとコピー & ペーストできるので、ひとつのサーフェースを設定したら、あとはコピーして済ませておきたい。ただし、最低ひとつはシェーダを設定していないと右クリックできないので、シェーダを設定していない場合、「編集」ボタンをクリックして「貼付け」を選択して貼り付ける。このへんはちょっとインターフェースがいまいち。シェーダの設定とまとめてサーフェース全体をコピーしてしまうのも手だと思う。

最後に、別名で保存する。綺麗に色分けしたオブジェクトを壊しては何にもならないので、上書きに注意!

下記「共通手順・レイアウト」に進む。

自己発光を使う方法

自己発光を使うほうが実はLightWave Super Cel Shaderを使うより簡単なことに後で気付いた。

具体的には、モデラーの「色・質感編集」で、「自己発光度」を「100%」に設定し、「拡散レベル」を「0%」に設定する。Super Cel Shaderの場合とは逆に、「拡散レベル」が「100%」になっていると、自己発光していてもサーフェースに微妙な陰影が出てしまうのでソリッドなレンダリング結果を得られない。

Edge_Luminosity000

「高度な設定」タブを選択し、「グロウの明るさ」を「0%」に設定する。レイアウトの設定で無効にすることもできるけど、グロウエフェクトが効いてしまうとエッジ付近にぼんやりした輪郭が出力されてしまう。

Edge_Luminosity001

サーフェースの設定が終わったオブジェクトを別名で保存してレイアウトに配置するか、既存のシーンのオブジェクトを置き換える。元のオブジェクトを上書きしないように注意!

あとは、下記「共通手順・レイアウト」の手順で同じ設定をしていけば同様の結果を得られる。基本的な設定だけでシェーダをいちいち設定しなくて済むので、こちらのほうがオススメ。

共通手順・レイアウト

レイアウトのオブジェクト選択モードにしてから、「アイテムプロパティ」を選択する。「オブジェクトのアイテムプロパティ」ウィンドウが開いたら「輪郭」タブを選択。

「点/線の太さ」を2.0px(ミディアム)、「鋭角の折り目」、「共有しないエッジ」、「サーフェイス境界」をそれぞれ1.0px(スモール)に設定する。「シルエットエッジ」を2.0px(ミディアム)にしておくとオブジェクトの外縁がはっきりしてメリハリがつき、機械出力っぽさが少し減っていい感じになる。もっとカメラとの距離が近ければ「距離でエッジを縮小」オプションがうまく効くかもしれない。

Edge000

エッジの太さは用途と必要に応じて変更する。なお、「その他エッジ」は設定しない。

エッジ色はお好みで。今回はオーソドックスに白(RGB = 255,255,255)にした。

ちなみに、「その他エッジ」をオンにするとこうなる。極端な鈍角のある多角形を三角分割したポリゴンのエッジがそのまま出てしまう。これはちょっとカッコ悪い。

Dragoon-Wire_worth

「ウィンドウ」メニューから「背景オプション」を選択して「特殊効果ウィンドウ」を開く。背景色をオブジェクトの主要色と同じ(RGB = 0,0,32)にする。

Edge001

「プロセシング」タブにある「グロウ有効」はオフにしておく。

Edge002

レイトレースは今回の場合はむしろ問題になるので、ライトは平行光源などフォールオフしないものに変えておく。レンダリング時間も短くなる。

レンダリング時間を長くしてもいいことはないので、ラジオシティを指定していたら、「レンダーオプション」にある「大域照明」タブの「ラジオシティ有効」もオフにしておく。

Edge003

レイアウトのレンダーオプションでレンダーモードを「リアリスティック」に設定し、「ラインレンダー」のみを有効にしておく。

Edge004

他にオブジェクトを配置していなければ、レンダリングをかけると、背景部分にアルファ・チャンネルができる。有効に使いたいので、BMP形式よりはPNG形式や、使用できる環境であればPSD形式(Adobe Photoshop形式)にしておきたい。まだ加工するのであれば、少なくともJPG形式などの不可逆圧縮フォーマットは避けたい。

画像の加工

ここではレンダリング画像をいったんPNG形式で保存して他のソフトウェアに移す。今回は透過機能が使いやすいGIMP 2.6を使用した。主要な色に適当なしきい値(大きくすればするほどエッジ・ラインは細くなる)の色域で一括選択をかけてやるとエッジ・ラインの内側の部分もすべて選択できる。選択部分をDeleteキーで削除してやれば、エッジ・ライン以外はすべて透明になるので、透過GIF画像や透過PNG画像として使える。

色数が少ないので、PNGよりはGIFのほうがファイルサイズも小さくなって取り回しはいいかもしれないけど、用途に応じてお好みで。

ウェブページなどで使うときに背景色や背景画像から浮いて見えてしまうハロー現象を防ぐために二値化するのもいいけど、エッジが途切れてしまったり、アンチエイリアスがかからずジャギー(ピクセルドットの段差によるギザギザ)がくっきり出てしまったりするので「古臭いコンピュータっぽさ」を演出したい時でもない限り注意が必要。拡大縮小にも弱くなるので、画像サイズの調整は減色する前にやっておいたほうがいいと思う。

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LightWave Super Cel Shader 2.15

最終更新:2016/09/06

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Super Cel Shaderの使い方をド忘れして無駄な時間を食ってしまったので、備忘録。

「色・質感編集」から「シェーダ」タブを選択。「シェーダ追加」プルダウンメニューから「Super Cel Shader」を選択。必要なサーフェースすべてに関して同様の手順。

シェーダの設定はモデラーでもできるけど、出力結果がOpenGLでは確認しにくいので、レイアウトのVPRで出力具合を確認しながら設定して、後でシーンをオブジェクトごと保存してしまったほうが手軽。Super Cel Shaderを一時的に使うだけの場合は、サーフェースの設定を保存しておくか、専用のオブジェクトを用意する。

オブジェクト選択モードにしてから、「アイテムプロパティ」を選択。「オブジェクトのアイテムプロパティ」ウィンドウが開いたら「輪郭」タブを選択。「点/線の太さ」を2.0px(ミディアム)、「シルエットエッジ」、「鋭角の折り目」、「サーフェイス境界」をそれぞれ1.0px(スモール)に設定する。「共有しないエッジ」は必要に応じて。「その他エッジ」は設定しない(ワイヤーフレーム風にしたければ設定する)。

「レンダー」タブを選択して、「レンダーオプション」をクリック。「レンダーオプション」ウィンドウが開いたらさらに「レンダー」タブを選択。「ラインレンダー」オプションを設定。通常のシェーダを使っている時にラインレンダーを選択してしまうとサーフェースが透明になってポリゴンのエッジだけ色がつく透過ワイヤーフレームが出力されてしまうけど、セルシェードをする場合にラインレンダーを指定しておかないとエッジのラインが出ないので注意。

機首はサーフェース境界なのでやむを得ないけど、カナード翼後ろの部分のエッジはモデリングの手間を減らす都合上生じてしまったもの。真面目に消そうと思えば消せる。主翼端にちょこっと出てる不規則エッジも原因はわかってるけど、今回は実験なのでひとまず放置。