MediaWikiのインストール手順

最終更新:2016/09/06

現在、このWordPressのブログも含めて、さくらのレンタルサーバを使っているけど、せっかく最大容量が増えて30GBから100GBになったのに、1GBにも満たないほどしか使っていない。月額500円とは言っても少々もったいない気もする。

WordPressには数えきれないほどのプラグインやテーマがあってカスタマイズに自由度があるのが長所。ブログやCMSとしては十分なんだけど、HTMLの文法に制限されるためリンクや段落わけが気軽にできず、ひとつの題材を持った作品やデータベースを少しずつ育てていくという使い方にはあまり向いていないような気がする(あくまでも個人的な感想)。ついつい備忘録的なブログ記事を書いてしまっているのが現状。

そこで、少々敷居は高いけど、ウィキ文法が確立していて記事を編集しやすいウィキペディアで使用されているMediaWikiを導入してみることにした。MicrosoftのWebMatrix3を使用してローカルホストで実験してみた限りではそれほど難しくはなさそうだった。もちろん、ここにわざわざ備忘録を残すくらいなので、設定を半自動的にやってくれるWebMatrix3とは異なり、いくつかハードルにぶかったことは言うまでもない。

インストール要件

MediaWikiは、WordPressと同様に、ホスト側にPHPとSQLデータベースが動作する環境がなければならない。MediaWiki 1.20からPHP 5.3.2以上が必要となったため、WordPressの要件に合わせてPHP 5.2.17を使っている場合は注意が必要。さくらのサーバコントロールパネルの「PHPのバージョン選択」で簡単に変更できる。今回は、PHP 5.4.26に変更した。なお、同じサーバに同居しているWordPressには影響なかった。

データベース作成

いつも使っているウェブブラウザでさくらのサーバコントロールパネルにログインし、「データベースの設定」からデータベースを新規作成する。

既にデータベースを使用している場合は、データベース名を入力して文字コードを選択するだけで設定は終わる。まだデータベースをひとつも作っていない場合は、データベースユーザー名(普通は初期アカウント名)とデータベース接続パスワードを設定する。サーバコントロールパネルにログインするパスワードとは独立しているので、忘れないように記録しておく。文字コードは必ず「UTF-8」を選択する。MediaWikiの初期設定時に使うため、ホスト名も記録しておく。

MediaWikiソフトウェアのアップロード

MediaWikiの公式サイトからmediawiki-1.22.4.tar.gz(2014年3月26日現在)をダウンロードし、ローカルPCの適当なフォルダに解凍する。一般に普及しているFTPクライアント・ソフトウェアで/home/[user-name]/www/以下に作ったMediaWiki用のディレクトリにアップロードする。ディレクトリ名はなんでもいいけど、初期設定が済んでしまうと容易に変更できなくなるので、後で変更するつもりなら今のうちに。ここでは、ディレクトリ名を仮に[wiki-directory]とする。

ちなみに、ついつい使ってしまいそうな/wikiという名前のディレクトリはショートURLのために予約されているので、ショートURLを使うつもりであれば、使ってはいけない。なお、さくらのレンタルサーバーではショートURLを利用できる。詳しくは、MediaWikiでショートURLを使うを参照。

ここで一点だけ注意。それは、FTPクライアントの「アップロード時にファイル名をすべて小文字(大文字)にする」という設定をオフにするということ。MediaWikiのファイルには大文字・小文字を併用しているものがかなりある。MediaWikiの公式サイトのインストールガイドにも太字で Make sure the “Change file names to lowercase” option for upload is disabled. と書いてあるんだけど、リネームするのが面倒で普段は自分のWEBページを更新する時には小文字にしてアップロードするのが当たり前になっていたため、すっかり忘れていた。そのために初期設定からいきなり動かず、2700個くらいあるファイルのアップロードをやり直す羽目に。気をつけましょう。

MediaWikiの初期設定

ブラウザからhttp://[domain]/[wiki-directory]/index.phpにアクセス。インストール要件を満たしているかチェックされ、主にPHPのバージョンが要件に達していない場合は設定を見直して再度アクセスするように促される。要件を満たしていれば、次の図のように「set up the wiki」と表示されるので、それをクリックし、あとは画面の指示に従って入力する。あくまでも例示なので、設定の細部はお好みで。
MediaWiki-1.22.4

言語

あなたの言語 日本語
ウィキの言語 日本語
MediaWikiのインターフェースに使用する言語。

データベースに接続

データベースの種類 MySQL
データベースのホスト 記録しておいたデータベースのホスト名。
データベース名 記録しておいたデータベース名。
データベーステーブルの接頭辞 他のデータベースと識別するためのプリフィックス。MediaWiki専用にデータベースを作った場合は未入力でもいいけど、後で変更するのは手間なので、できればそういうものだと思って入力しておいたほうが無難。後でわかったことだけど、さくらのレンタルサーバーでは独立したデータベースを複数作ることができるので、プリフィックスを入力しなくてもまったく問題ない。
データベースのユーザー名 記録しておいたデータベースユーザー名。
データベースのパスワード 記録しておいたデータベースパスワード。

データベースの設定

ウェブアクセスのためのデータベースアカウント チェックボックスにチェック☑しておく。
ストレージエンジン InnoDB
データベースの文字セット バイナリ
データベースの文字セットをUTF-8にしたのだからUTF-8なのかと思ったら説明書きを読むとバイナリのほうが良さそう。

名前

ウィキ名 これから作成するWikiの名前($wgSitename)。
プロジェクト名前空間 標準記事名前空間と区別してプロジェクト上のメタな事柄を書くための名前空間の接頭辞($wgMetaNamespace)。ウィキペディアなら「Wikipedia:~」がそれにあたる。例えば、Wikipedia:著作権はウィキペディア上での著作権の取り扱いなどを書き、標準名前空間の著作権は「著作権とは何か」を書くための記事。
管理アカウント名前 Wikiにログインして管理するためのアカウント名。最初のユーザーでもある。
パスワード 上記アカウントのパスワード。

以上で、基本的な設定は終了。「私にもっと質問してください。」をチェックして続行すると、引き続き閲覧や編集が可能なユーザーグループを設定したり、著作権などの詳細な設定ができる(機会があれば追加する)。

初期設定が完了すると、LocalSettings.phpというPHPファイルのダウンロードが自動的に始まるので、一回ローカルPCに保存して、[wiki-directory]の直下にアップロードする。

LocalSettings.phpは、DefaultSettings.php(これは変更禁止)を元に、これまで設定した基本データを反映した設定ファイル。暗号化されていないパスワードなどがそのまま書かれているので、他のユーザーに見られてしまうと困る。FTPクライアントの属性変更コマンド(chmodコマンド)で必ず属性(パーミッション)を「700」か「600」に設定して不特定多数が閲覧できないようにしておく。

ちなみに、LocalSettings.phpはいつでも変更できるため、初期設定を変更したくなった場合はUTF-8を編集できるエディタで変更して再アップロードしてブラウザをリロードすると反映される(とは言ってもデータベース関連はいじらないほうが無難だし、いじる必要はそうそう発生しない)。

起動

LocalSettings.php[wiki-directory]に存在している状態で、再び http://[domain]/[wiki-directory]/index.phpにアクセスすると普通ならばおなじみのMediaWikiのメインページが表示されるわけだけど、私はこんなエラーメッセージに阻まれた。

Fatal exception of type MWException Error

どうやら、拡張機能で適当に追加したLocalisationUpdate.phpというファイルが悪さをしているらしい(MediaWiki:当該トラブルシュートスレッド)。そこで、何をするファイルなのかはよくわからないので、ひとまず次のようにコメントアウトして、ようやく起動した。

# Enabled Extensions. Most extensions are enabled by including the base extension file here
# but check specific extension documentation for more details
# The following extensions were automatically enabled:
require_once "$IP/extensions/Cite/Cite.php";
require_once "$IP/extensions/Gadgets/Gadgets.php";
# require_once "$IP/extensions/LocalisationUpdate/LocalisationUpdate.php";
require_once "$IP/extensions/Nuke/Nuke.php";
require_once "$IP/extensions/ParserFunctions/ParserFunctions.php";
require_once "$IP/extensions/Renameuser/Renameuser.php";
require_once "$IP/extensions/SyntaxHighlight_GeSHi/SyntaxHighlight_GeSHi.php";
require_once "$IP/extensions/WikiEditor/WikiEditor.php";

サイドバー

MediaWikiには主要なリンクやツールをまとめたサイドバーというものがある。WordPressのウィジェットとは比べるべくもない簡素な見た目のツール群だけど、これが一定の規則に基づいたキーワードを元にJavaScriptで自動的に生成されているらしく、/[wiki-directory]/skins/common/に格納されているすべてのスキンの根本のCSSであるcommonElements.cssを変更してもリンクの色が変わらない。生成されたソースを見てもよくわからない。

とても人力で解析できそうには思えなかったので、FireFoxの要素解析ツールを使って構造を調べてみた。<a>タグのエレメントに直に割り当ててあったリンク色も上書きしていて複雑なIDとクラスの構造になっていた。その結果を反映したものが次のCSS。これをMediaWikiのサイト上からMediaWiki:Common.cssに反映する。色はお好みで。

div#mw-panel
div.portal
div.body ul li a { color: #003BC8; }

div#mw-panel
div.portal
div.body ul li a:visited { color: #003BC8; }

名前空間

現在、日本語版の名前空間接頭辞はカタカナや漢字に訳されている。一般的にはこのほうがわかりやすいんだろうし、多言語に対応するために英語版の接頭辞も使えるようになっているけど、UTF-8のマルチバイト文字をURLにするとどこの名前空間なのかわかりにくいので私はあまり好きではない。そこで、システムメッセージは日本語のまま($wgLanguageCode = "ja";)にしておいて、名前空間の接頭辞だけを英語版仕様に戻すというワガママ仕様にすることにした。

具体的には、/[wiki-directory]/languages/messages/MessagesJa.phpというファイルを変更し、同じディレクトリにあるMessagesEn.phpから$namespaceNamesをコピーして移入する(システムに直接影響するので、下手に手動入力しないほうが無難)。日本語化されていた接頭辞も念のためエイリアス(別名)として残しておいた。

$namespaceNames = array(
	NS_MEDIA            => 'Media',
	NS_SPECIAL          => 'Special',
	NS_MAIN             => '',
	NS_TALK             => 'Talk',
	NS_USER             => 'User',
	NS_USER_TALK        => 'User_talk',
	# NS_PROJECT set by $wgMetaNamespace
	NS_PROJECT_TALK     => '$1_talk',
	NS_FILE             => 'File',
	NS_FILE_TALK        => 'File_talk',
	NS_MEDIAWIKI        => 'MediaWiki',
	NS_MEDIAWIKI_TALK   => 'MediaWiki_talk',
	NS_TEMPLATE         => 'Template',
	NS_TEMPLATE_TALK    => 'Template_talk',
	NS_HELP             => 'Help',
	NS_HELP_TALK        => 'Help_talk',
	NS_CATEGORY         => 'Category',
	NS_CATEGORY_TALK    => 'Category_talk',
);

$namespaceAliases = array(
	'ノート'               => NS_TALK,
	'利用者‐会話'         => NS_USER_TALK,
	'$1‐ノート'           => NS_PROJECT_TALK,
	'画像'                 => NS_FILE,
	'画像‐ノート'         => NS_FILE_TALK,
	'ファイル‐ノート'     => NS_FILE_TALK,
	'MediaWiki‐ノート'    => NS_MEDIAWIKI_TALK,
	'Template‐ノート'     => NS_TEMPLATE_TALK,
	'Help‐ノート'         => NS_HELP_TALK,
	'Category‐ノート'     => NS_CATEGORY_TALK,
	'メディア'             => NS_MEDIA,
	'特別'                 => NS_SPECIAL,
	'トーク'               => NS_TALK,
	'利用者'               => NS_USER,
	'利用者・トーク'       => NS_USER_TALK,
	'$1・トーク'           => NS_PROJECT_TALK,
	'ファイル'             => NS_FILE,
	'ファイル・トーク'     => NS_FILE_TALK,
	'MediaWiki'            => NS_MEDIAWIKI,
	'MediaWiki・トーク'    => NS_MEDIAWIKI_TALK,
	'テンプレート'         => NS_TEMPLATE,
	'テンプレート・トーク' => NS_TEMPLATE_TALK,
	'ヘルプ'               => NS_HELP,
	'ヘルプ・トーク'       => NS_HELP_TALK,
	'カテゴリ'             => NS_CATEGORY,
	'カテゴリ・トーク'     => NS_CATEGORY_TALK
);

参考記事

ウェブフォント

最終更新:2017/01/13

ものすごく今更な感じもするけど、ウェブフォントを導入してみた。

Google Fontsを利用すると非常に簡単に導入できる。

GoogleFont

実装するには、CSSを記述したファイルに次の一行を追加するだけ。今回は、AudiowideとOxygenというフォントを実装してみることにした。

@import url(http://fonts.googleapis.com/css?family=Audiowide|Oxygen);

有名なサイトのようだけど、Font Squirrelというところで、使用フリーライセンス(パブリック・ドメインと異なり、著作権は放棄していないのでライセンス条項をよく読もう)のフォントが大量に得られる。選ぶのが大変なくらい大量にある。本当に(笑)。

FontSquirrel

ただ、こちらの場合は、TrueTypeやOpenTypeのフォントファイルをダウンロードした後にウェブブラウザに合わせてEOT形式(IE9より前のIE用)やWOFF形式(比較的最近のブラウザ用)への変換をする必要がある。それらをアップロードしたうえで、CSSへブラウザごとの記述が必要になるので、Google Fontsに使いたいフォントがない場合は本気で取り組む必要がある。


[追記]
たまたま、IE8を使える機会があったので表示を試してみたら、Google FontsはIE8以前のブラウザには対応していないようだった。ウェブフォントに対応していないというよりも、CSS3に対応していない。IEを最新にアップデートしていない人は、FireFoxやChromeやSafariを使っていると思うので、それほど問題ではないんだけど。

ちなみに、WordPressではWP Google Fontsというプラグインをインストールすれば、簡単に導入できる。

BUFFALO WLI-UC-GNM2

最終更新:2019/05/10

8インチくらいのタブレットPCの導入をかなり真面目に検討していて、iOSのデバイスにするか、Windowsのデバイスにするか悩んでいた。

iPhone 4Sを使っているので、iOSが携帯用デバイスに特化していて、動作も軽くてインターフェースが直感的なのはよく理解していた。でも、ファイルシステムありきのOS設計ではなく、データは常にアプリケーションに付随するものという点で、作成したデータの取り回しがあまりよくないのが欠点と言えば欠点だった。iCloudが使えればほとんど問題にならないんだけど、携帯電話回線とWi-Fiの両方の電波が弱い場合は外出先でデータを取り出せない。

現状、日本国内では、都心でもインフラストラクチャとしての公衆Wi-Fiがまったくアテにならないので、携帯電話回線に頼らざるをえない。同じ携帯キャリアで2回線以上持つと割引になるとはいえ、当然ながら通信料が増える。どうせ同時になんて使わないんだし、タブレットPCではデータ通信しかしないんだから、携帯電話回線なんてひとつでいい。そう常々思っている私にとっては、なんとしても回線を増やしたくない。となると、自動的にWi-Fiを利用することになるか、無線通信機能を備えない独立型のタブレットPCになる。

一方、WindowsのタブレットPCは、モバイル無線LANルーターを使う場合を除き、携帯電話回線に直接対応しているものはないと言っていい状態なので、Wi-Fiが前提ならばWindowsという選択肢もありえる。なんと言っても使い慣れたファイルシステムが使えるというのが最大のメリット。携帯電話回線やWi-Fiなんてつながっていなくても、デバイスの中でデータが完全にクローズしているので、周囲の環境にまったく影響を受けない。自宅のPCとのデータのやりとりも、USBケーブルで接続すればUSBメモリと同様に簡単に扱える。単純にノートPCを小型軽量にしたものという位置づけに近い。思考検討ではWindows優位に思われた。

そこで、最近(2013年12月頃)発売されたWindows 8.1搭載8インチ・タブレットPCを店頭で試してみた。価格は32GBストレージでiPad mini 16GBの1万円増しくらい。

ダメだった。まったく話にならなかった。

ひとつ前のiPad miniでさえ、タップすれば即座に反応してくれるのに、Windows 8.1を搭載したタブレットPCは恐ろしく反応が悪かった。

物理メモリが2GBとそもそも少ないところへ、普通にフルサイズのWindows 8.1をマルチタスクで動かしているので、全体的に動作がもったりしてる。試しにリソースモニターを起動してみたら、めちゃくちゃたくさんのプロセスが動いていて、使い方次第でどうにかなる問題のようには思えなかった。それに、タッチパネルのためにチューニングしてあるとはいえ、Windowsで右クリックやショートカットキーを使えないのがこんなに不便だと思ったことはない。

Windows 8.1とPCメーカーとIntelの名誉のために付け加えておくと、それぞれに問題はないんだと思う。Windowsが重いのなんて今に始まったことじゃない。でも、あえて世間の流れに逆らって出来合いのものに頼らず、それらのためだけにCPUとグラフィック・プロセッサとタッチパネル式高画質液晶ディスプレイとOSまで開発したアップルの徹底したコンセプトを持つiPadとiPhoneでは相手が悪すぎるだけなのだと思った。スティーブ・ジョブズが文字通り命を削って生み出したデバイスは伊達じゃなかった。

タブレットPCのために軽量化されたWindows RTは、まだMicrosoft SurfaceとASUSくらいにしか搭載されてないし、右クリックを使えないストレスは依然として残る。カバーを兼ねた薄型キーボードとの併用を前提としているためなんだろうけど、ソフトウェア・キーボードも呼び出しボタンをタップしないと出てこないので、入力可能になったら自動的にサッと出てくるiOSと比べて手間がかかる感じもする。

ということで、消去法でiPad mini RetinaディスプレイWi-Fi(のみ)モデルに決まった。前述のように公衆Wi-Fiはアテにならないので、iCloudが使えなくてもデータの作成が可能か検証してみる必要がある。

あくまでも実験で、あまりお金はかけたくないので、ソフトウェア・ルーターで動く超小型USB接続無線LANルーターを検討してみる。各社取り扱いがあるようだけど、バッファローのものが仕様が詳細に書いてあって使い勝手も良さそうだった。新しいのはWLI-UC-GNM2Tというモデルみたいだったけど、店頭にあったのはWLI-UC-GNM2というものだったので、とりあえずそれを購入。バッファローは似たような仕様で複数のモデルを出してるので、モデル間の違いがよくわからないというのが考えもの。

どこのメーカーのWEBサイトを見ても、ソフトウェア・ルーターを親機として使う時にはWindows 7/8はダメですよ、とか、ハードウェア・ルーターが必要ですよ、とか書いてある。バッファローはもうちょっと具体的に、インターネット接続がPPPoEの場合ははハードウェア・ルーターが必要です、と書いてあった。

自宅には、デスクトップPCの他にPS3を接続する目的でアイ・オー・データ機器のETX-Rというハードウェア・ルーターを設置してあったので、とりあえず問題はなさそう。このモデルは、今は生産を終了していて、ETX2-Rという製品が後継機種だそうだ。手頃な価格だし、おそらく一般家庭ではインターネットへの接続部がボトルネックになると思われるので、100BASE-TXでいい人にはこれで充分。WLI-UC-GNM2シリーズの規格値は150Mbpsなんて書いてあるけど、IEEE 802.11b/g/n規格の無線LANが、有線LANより速くなるなんてことはちょっとありえない。自宅内でLANを組んでいて、メインストレージを備えたサーバーへの接続を全面的に無線LANに移行している人は速ければ速いに越したことはないんだろうけど。

自分のPCやインターネット回線の接続の種類はプロバイダの仕様書などに書いてある。ちなみに、「スタート」ー「コンピューター」-「ネットワーク」で表示されるネットワークインフラストラクチャ・グループのルーター・デバイス・アイコンを右クリックして「デバイスのWebページの表示」というメニューがあれば、それをクリックするとブラウザに接続情報が表示される。コントロール・パネルでローカル・エリア・ネットワークのフルマップを表示させて「管理URL」をクリックしても同じ。ブラウザにハードウェア・ルーターのIPアドレスを入力しても同じ。

ETX-R

WLI-UC-GNM2本体をUSBに挿して付属のCDを光学ドライブに入れ、画面の指示どおりに作業するとあっけなく設定完了。iPhoneと接続するにはSSIDとパスワードが必要なんだけど、WLI-UC-GNM2は小型すぎて本体には書いてない。インジケータ領域に表示されているソフトウェア・ルーターの設定ツールから「オプション」を選択すると工場出荷時設定のSSIDとパスワードが出てくるので、iPhoneにそれを打ち込む。以後は自動的に認識するように設定。

携帯電話回線がないことを前提としているので、「Wi-Fi」と「モバイルデータ通信」をいったんオフにしてからEvernoteで適当に新しくテキストを打ってみる。保存するとネットワークとの同期待機のマークがつくけど、iPhoneだけで独立してデータを編集できることを確認。「Wi-Fi」をオンにすると、同期されてマークが消える。

Evernote、インストールはしてみたものの、あんまり使い道がないなぁ、と思ってたら、こんなに使える子だったとは。これなら、携帯電話回線につながらないiPad miniでもまったく問題なさそう。


[追記]
すっかり忘れてたんだけど、『au Wi-Fi接続ツール』というのがあった。PCとは手動で接続しちゃったので、auが提供しているWi-Fiスポットとの認識のために使う。所要で駅前に行ったので、近くのauショップに入って接続状況を見てみた。iPhone 4Sで表示されたSSIDは次のとおり。

  • 「Wi2」(暗号化なし)
  • 「Wi2premium」(暗号化なし)
  • 「Wi2_club」(WPA)
  • 「Wi2premium_club」(WPA)

Wi-Fi speed速度は左のスクリーンショットを参照。ベンチマークソフトは『スピードチェッカー』を使用。5回計測してみたところ、かなり幅があったものの、良くて下り7Mbpsくらい(中央3行)。宅内無線LAN(下2行)が30Mbps以上出ていることを考えると遅いけど、3G回線の1~2Mbpsよりはマシなことがわかった。

EPUB3.0

最終更新:2017/01/13

これから電子書籍の主流になっていくであろうと言われるEPUBフォーマット。

せっかくInDesign CCを導入してみたので、簡単な文書を作ってEPUB形式で書き出してみた。ところが、InDesignではEPUBファイルを作れても開けないし、ほかにEPUB形式のファイルを開けるソフトウェアが手元にない。

そもそも、EPUB形式とはなんだったけかな、と復習のつもりで調べてみたら、だいぶ前に少し調べていた痕跡が見つかった。

電子書籍フォーマットの本命、「EPUB」をいまのうちに理解しておく

メタデータと文書本体、CSSなどが含まれているZIPアーカイブだということを思い出した。

しかし、どうも普通のZIPフォーマットではないようだ。解凍はZIP形式を扱えるソフトなら大抵大丈夫なようだけど、CSSなどを編集して再びEPUB形式に戻すのは簡単ではないらしい。ZIPなのに圧縮率0%とか、意外な設定もある。

zip解凍したepubファイルの再パッケージング

コマンドラインから設定すればできるようだけれども、ちょっと修正してプレビューする度にコマンドを打つのでは面倒くさい。そもそも、EPUB形式のファイルがどのように表示されるのかプレビューする方法がない。

そこで、さらに調べてみたところ、InDesignと同じAdobeがAdobe Digital EditionsとしてEPUBリーダーを出していた。どうせなら、InDesignの補助機能として加えておいてくれれば良かったのに。

第5回:InDesignをコアとしたePub制作(1)必要なツールとePubの閲覧方法

ほかにも、FireFoxのアドインで、その名もずばりEPUBReaderというのがあって、Adobe Digital Editionsよりも文字修飾の再現性が高いということだった。EPUBを編集できるsigilなど、EPUB3.0形式自体は2011年と結構前からあるものなので無料のツールも充実しているようだ。


[追記]
EPUB形式について調べているうちに、「固有ID」というものに行き当たった。固有IDは、UUID(汎用一意識別子)から成るURNということだった。(ウィキペディアのUUIDの記事URNの記事)実装としてはマイクロソフトのGUIDというものがあって、GUIDを生成するサイトもある。InDesignでは自動的に生成されるようなので、特に心配する必要もなかったんだけど。

なくしたと思っていたラペルピン

最終更新:2017/01/13

Lapel pins

アメリカからの帰国のどさくさに紛れて、なくしたとばかり思っていたラペルピンが出てきた。

どこから出てきたかというと、カメラバッグの底から。どうやら「絶対になくさないところ」ということで、私がアメリカに持って行った所持品の中で最も高価な一眼レフカメラと一緒に入れておいたようなのだ。くしゃくしゃになった紙袋から出てきた。いわゆる「しまいなくし」というやつ。

ラペルピンというのは、レディースファッションで言うところのブローチにあたるもの。ブローチはモチーフが大きく重いものが多いので安全ピンで留めるものが大半だけど、最近は針で刺し、裏側からクラッチ(キャッチ)で留める比較的小さなものを「ピン」と呼んで区別しているようだ。

最近はすっかりメンズスーツのアクセサリーとしてファッションの定番になってしまった感もあるラペルピンだけど、競合するメーカーが増えたせいもあってか、凝ったデザインのものが増え、逆にシンプルなデザインのものが減ってしまった。心なしか、楽譜の音符や楽器をモチーフにしたデザインが多いように思える。

私がなくしたと思っていたものは、まだラペルピンが「男のささやかなオシャレ」だった頃のもので、実にシンプルなデザイン。今こういうものを探してもなかなか見つからない。タイタックまで範囲を広げればないことはないけれど、主にタイを留めることを目的としたものなので、簡単に抜けないようにクラッチの形がそもそも異なるし、主張しないデザインが多く、石が小さいのでラペルにつけるとあまり目立たないのが欠点と言えば欠点。ガラス玉ではなく本物の宝石や貴石、真珠、金やプラチナを使っているものも多く、ラペルピンに比べて価格が高めなのも特徴。

一緒に出てきたのが、シアトルのミリタリーショップで買ったアメリカ陸軍の兵科徽章。紙袋にはこれしか入っていないと思い込んでいたのだ。紙袋はそれらを買った時に入れて渡されたものだった。レシートも一緒に入っていた。懐かしい。

金色の右上のものがアメリカ陸軍輸送科(トランスポーテーション・コープス)、右下のものがアメリカ陸軍需品科(クォーターマスター・コープス)、左下がアメリカ陸軍武器科(オーディナンス・コープス)のもの。いずれも補給部隊。マニアックなことに、私は補給部隊が好き。

いずれも左右の襟にひとつずつ、必ず一組で身に着けるものなので、お店の人に「ふたつずつにするかい?」と聞かれたけど、コスプレをするわけでもないので「ひとつでいいよ」とひとつずつにしてもらった。

実物のタービンブレードで作ったピン

最終更新:2017/01/13

turbine blade pin

ネクタイピンだったタービンブレードをラペルピンに改修してみた。

元はボーイング747(通称「ジャンボジェット」。今では中型以上のジェット旅客機をまとめて「ジャンボ」と呼んでしまう傾向にあるけど、元ネタはコレ)に取り付けられていたジェットエンジンの一部だったもの。1万時間以上空を飛んでいたものを定期交換し、あとは捨てるだけだったものだけど、タービンブレードは特殊鋼でできていて、およそ20cmほどの長さの1枚が10万~20万円もするそう。

壊れているわけではないし、それをただ捨ててしまうのは忍びない、と全日空の整備士のみなさんが業務外の時間を利用してブレードをネクタイピンとして生まれ変わらせた。上でも書いたように、特殊鋼でできているので輪切りにするだけでもかなりの手間がかかったに違いない。それを手売りで売り出してみたところテレビでも紹介され、当時大変な人気を博した。「このタービンブレードは全日空所属のJAxxxx番機の一部として一万何千時間空を飛んでいました」という証明書までついているニクい演出もされている。ひと目で気に入ってしまい、当時貧乏な学生だった私が5千円ほどを払ってまで、手に入れたいものだった。

後にデザインも洗練されてANAの機内販売(通販)の正式商品に採用された。メッキもかなり厚くされ、新品じゃないかと思うくらい綺麗に作り替えられていた。ネクタイピンひとつが確か1万円以上もする高額な商品だったが、これまた在庫切れがかなり長く続くほどの人気商品だった。原材料が廃品だけに、入荷が一定ではなかったのだ。今はもうラインナップに残っていないレアアイテム。私も通販で購入してひとつ持っていたが、「これさえあれば絶対に落ちませんから」と、友人の門出に縁起物としてプレゼントしてしまった。

手元に残っているタービンブレードのタイピンは手作りだけあってメッキも薄く、切断面以外のジェットエンジンの高熱にさらされていた部分は焦げたか沸騰したかのような傷跡がたくさん残っている。それがまた味があって、そのタービンブレードが「良い仕事」をした証であることを主張しているかのようだ。

だいぶ前にネクタイピンの根元の溶接部分が折れてしまい、ペンケースの中にずっとしまっていたのだけど、昨日ふと「ピンバッジの金具(針の部分とバタフライクラッチ)を裏に接着したらラペルピンとして使えないだろうか」と思い立って手芸・クラフト専門店のユザワヤさんに行ってみた。

同じようなことを考える人は結構いるようで、金色、銀色、黒色の3色(針が極細のものもあった)が揃っていてオリジナルのピンを作れるようになっていた。

ついでに金属用の接着剤も買ってきた。最初は瞬間接着剤にしようかと思ったのだけど、過去の経験からメッキ部分が曇る可能性があった。そのため、硬化するのに時間がかかってもメッキが曇りにくいもの、ガッチリ固まるものを選んだ。ピンの根元は不意にテンションがかかることがあるので、瞬間接着剤特有の衝撃への弱さも問題になりえたからだ。最初の数分は動かせるので位置調整もしやすい。ピン側の接着面に多めにつけ、はみ出した接着剤は固まる前にカッターナイフで切り取ってやれば綺麗に仕上がる。

で、出来上がったピンが冒頭の写真。溶接したかのようにガッチリ固まっている。

取り付けられてから取り外されるまで一万時間以上も事故がなかったということから、就職活動の時も「落ちないお守り」として身に付けていたし、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの直後に仕事で飛行機に搭乗して日本の裏側まで行かなければならなかった友人にもお守りとして持たせた。友人も無事に帰国して、今も私の手元にある。これからも私の「正念場」のお守りとして大事にしたい宝物のひとつである。

Canon EF50mm f/1.8 II

最終更新:2016/09/06

Canon EF 50mm f/1.8 II
f/1.8 1/2500秒 ISO-100

最近購入した単焦点50mm標準レンズ。私が持っているEOS 40DはセンサーがAPS-Cサイズなので、実効焦点距離80mm。

定価が12,000円で、首都圏のヨドバシカメラあたりで買うと9,280円(ポイントを割引として計算に入れると8,352円)くらい、Amazon.co.jpでは9,000円弱で、初めての追加レンズとしては大変コストパフォーマンスが高い。単焦点の明るいレンズを手軽に試してみたい人にお勧め。

USM(ウルトラソニックモーター)もSTM(ステッピングモーター)もついていないので、少し駆動音が大きくてオートフォーカスに若干時間がかかるけど、動かない物を撮るならあまり問題にならない。IS(イメージスタビライザー=手ぶれ補正)もついてないけど、明るいのでシャッタースピードを稼げるからそれも大きな問題にならない。

余計なものが何もついていないのでとにかく軽いという特徴もある。この辺は女性にとっては重要な部分だと思う。

f/1.8でシャッタースピードが速くなるから被写界深度がすごく浅いので、Avモード(絞り優先)でオート撮影するとピントがすぐズレたり、露出アンダーやオーバーになりやすいので、Mモード(マニュアル)がオススメ。

撮影した結果の成功・失敗がはっきりしているので、Avモード(絞り優先)やTvモード(シャッター速度優先)、P(プログラム)モードしか使ったことがなくて、マニュアルモードに慣れていない人の練習台に持って来い。写真なんてカメラ付き携帯電話(スマートフォン)で十分だと思っている人や、ボディのレンズキットに付属してくる標準ズームレンズでは絞りやシャッター速度の違いがあまり感じられない人には目から鱗かも。

ただし、ユニットを構成する6枚のレンズを含めてプラスチックを多用しているので傷つきやすく、52mmΦプロテクターが必須。高級なレンズでは普通はステンレスを使っているマウント側もプラスチックなので、取り扱いが悪かったり過酷な環境で使用し続けると簡単に壊れるかもしれない。その時は同じものを買い換えるか、比較的手頃なEF40mm F2.8 STMあたりに乗り換えるといいと思う。

それでも、f/1.8という明るさは魅力的。レンズに入射した外界の光がC-MOSセンサー(銀鉛写真カメラのフィルムにあたる部分)に当たるまでの減衰が、f/1.8の場合3.24分の1、f/2.8の場合7.84分の1になる。F値は平方根なので、二乗すると光の総量が求められる。つまり、光の総量が約2.42倍も異なるということ(あくまでも概算だけど)。これは大きい。

被写体は、近所にあるバーの屋外ディスプレイを撮影させてもらった。


EF50mm f/1.8 IIは残念ながら現在は生産が終了しており、後継のレンズとしてEF50mm F1.8 STMが2015年5月に発売された。定価は19,500円で、2016年3月現在の実勢価格は大体15,000円くらい。

自分のカメラで試してみたわけではないので満足のいく写真が撮影できるかどうかはちょっと判断しかねるけど、EF50mm f/1.8 IIの自重が130gだったのに対して160gとあまり変わっていないうえ、大きさはむしろ小型化されている。フォーカスリングの幅が広がり、非常に前後が薄いEF40mm f/2.8 STMや、前縁部にかなり幅の狭いフォーカスリングがあったEF50mm f/1.8 IIよりも操作しやすい。一杯まで開いてf/1.8で撮影する時に必要かどうかは微妙だけど、STMを搭載しているのでオートフォーカスの駆動音は静かになった。全体的に「中身が詰まった感」が増し、EF50mm f/1.8 IIよりも安定感というか安心感がある。

最短撮影距離も45cmから35cmまで短縮され、より接写が可能になった。また、構造的には絞り羽根が5枚から7枚に増え、日本人好みのボケがより綺麗にボケることが期待できる。

他にもf/1.8以下の明るい標準/広角の単焦点レンズもあるけど、定価からして5~6万円と高価なので気軽に試せる価格でもない。割高感はあるかもしれないけど、マウントがステンレス製になって耐久性は確実に上がっているので、買い換えの必要がなくなったと思えばコストパフォーマンスは良いには違いない。

生産が終了してしまったことでEF50mm f/1.8 IIの新品は希少になってしまい、価格は定価を超えるほど高騰している。今から買うならEF50mm F1.8 STMをお薦めしたい。7,500円の差額分は高性能化している。もっとも、カタログ・スペックだけではなんとも言えないのがレンズの難しいところなんだけど。

どうして応用の利かなそうな単焦点レンズをこうまでして推すかと言うと、当初は遠くの飛行機を撮影する目的で望遠ズームレンズにばかり目を奪われていた自分が知人のEF50mm f/1.8 IIで撮影した写真を見せてもらい、明るい単焦点レンズの魅力に気付いたから。カメラに付属してきたズームレンズを使っている人に単焦点レンズの魅力に気付いて欲しい。

一見、レンズは透明なようだけど、1枚通過するたびに光は徐々に減衰していく。下手なガラスよりもプラチックのレンズのほうが透明度が高いなんていうこともある。ズームレンズは近距離から遠距離まで対応するために10枚を超えるレンズを内蔵していることも珍しくない。その点、単焦点レンズはレンズの枚数を減らせるので光の減衰を少なくすることができ、絞りの調整がきくようになる。選択できる絞りの幅が広がるということは表現の幅も広がるということに直結するので、安いものでもいいから単焦点レンズをひとつ持っていても損はない。室内でテーブルの向こう側に座っている人を撮影する場合なんかは付属のズームレンズでは解放してもf/4にしかならなくてシャッター速度が上がらず、ブレブレの写真になってしまうなんていうこともよくある。

タイトルロゴ改訂版

最終更新:2016/09/06

現在のロゴを拡大して改めて眺めていたら、当時は技術的に拙かったこともあってあちこち角がはみ出してたり、色彩がいまいちなのが気になってきた。そこで、Inkscape(0.48.1)を使ってSVG形式で作り直してみた。

Inkscapeはフリーライセンスのソフトウェアながら、座標の指定が厳密にできたり、マウスなどのポインティングデバイスでは指定しにくい細かいところはXMLエディタ編集機能で直接数値入力できるのが3DCG屋の私には性に合っている。CADのようなオブジェクトの整列機能も強化されて使いやすくなった。なお、現在安定版とされている0.48.4はGUIのライブラリに問題があるようで、メニューバーのフォントがおかしかったり、座標の指定に妙な挙動があってストレスがあるので、個人的には、0.48.1がおススメ。

以前のロゴは別のドローイング・ソフトウェアで作ったんだけど、古かったのもあって操作性が私には合わなかった(予備知識なしでいきなり作ったので、そもそも勉強不足だったっていう指摘は、まぁ、ごもっともなんだけど。細かいところを気にしていられるほどPCのパワーもなかった)。

VF_Logo_official_revised_compare

基本的なデザインは踏襲しているので、ほとんど自己満足の世界。

  • 前は縦の線と斜めの線の太さが同じになっていなかったので、三角関数を使って厳密に計算して太さを同じにしてみた。綺麗に揃ったようにも見えるし、太さに変化がなくて凡庸な感じになったような感じもする。サンセリフ(ゴシック体)風ってことで、これはこれでいいことにしよう。
  • 前はロゴの縁の処理が角張っていていかにも素人っぽかったので、角を少し丸めた。あまりやりすぎるとポップな感じになってしまうので、本当に「角を取った」くらい。「パス」ツール群にある「ダイナミックオフセット」機能はかなり使える。マウスでオフセット半径を大雑把に指定して、XMLエディタで丸め半径をキリのいい値に指定すれば綺麗に仕上がる。
  • 「VANGUARD FLIGHT」の語頭の「V」と「F」はもともと縦幅が大きかったけど、太さは他の字と同じで弱々しい感じがしたので太さを10%増しにした。あまり太くしすぎるとバランスが悪くなるので「測ってみたらわかるくらい」にしておいた。中学校の美術で習った、レタリングは「完全に太さや大きさを揃えてしまうと字によっては細く小さく見える」的なアレを思い出して参考にしてみた。
  • グラデーションがいまいちメタリックな感じになっていないので、もう一段深い色を追加した。全体が引き締まった。赤色の二つの「G」のグラデーションも見直して彩度を上げてみた。それから、下の行のグラデーションの位置がちゃんと中央になっていなかったので、中央にグラデーションの中心を揃えた。
  • 「R」のデザインがいまいちだったので見直してみたんだけど、やっぱりイマイチ。改善案が思いつかなかったので適当なところで妥協。「R」難しいよ、「R」。
  • 「Δ」はオマケ。ウェブサイトのトップページには採用しない予定。

エッジ・ラインの抽出

最終更新:2016/09/06

ウェブサイトの画像を作るのに必要になったので、オブジェクト(モデル)輪郭のエッジ・ラインを抽出してみた。LightWave Super Cel Shaderを使う方法と、自己発光を使う方法のふたつを紹介する。

レイアウトのレンダーオプションで「ワイヤーフレーム」を指定するだけでは、ポリゴンの表面が全部透明になってしまい、モデリング中のワイヤーフレームのような画像が出力されてしまう(ポイントは目立たないので大昔のワイヤーフレームのゲームのような感じ)。「ラインレンダー」を有効にしてもエッジ・ラインだけが出力されるわけではない。そこで、

『裏側が見えない、余計な線も見えないソリッドなワイヤーフレーム』

を目指してみた。

最初に、「リアリスティック」モードでいつものようにレンダリングした画像。ところどころ文字やマーキングなどのテクスチャが貼られているのがわかると思う。

Dragoon-Realistic_640

これを、次の画像のように出力させるのが目標。オブジェクト・モデルはまったく同じもの。

Dragoon-Wire_640

共通手順・サーフェースの統一

まず、モデラーにある「色・質感編集」の設定で、テクスチャ・マップなどを設定してあるサーフェースをすべて主要な色に統一する。今回の場合、テクスチャ・マップを指定してあるのは主に白色の部分と青色の部分なので、基本色の設定を見ながらその2色に振り分ける。

このとき、「ポリゴン選択モード(Ctrl+H)」で「ポリゴン状態(w)」ウィンドウから「Surf:」をクリックしてサーフェース単位で選択をすると楽にできる。

3DCGは、要は数学の世界なので出力はいつも同じ結果になる。ということは、出力に影響しない作業をいかに効率化するかで時間を稼ぐ。ひとつひとつポリゴンをマウスで選択してたり、なげなわ選択で大雑把に選択してからジリジリ選択ポリゴンを減らしているようではイカンのです。

そもそも、なんでサーフェースを振り分けるなんて面倒くさいことをするかというと、レイアウトにあるオブジェクトのアイテムプロパティの「輪郭」タブで指定するラインレンダーで「サーフェイス境界」を指定すると、テクスチャが設定してあるサーフェースと設定していないサーフェースの境界を、LightWaveは「色の境界」と判断してしまうから。このため、本来カラーリングの境界線も鋭角のエッジのないところに意図しないエッジがたくさん出力されてしまう。

私の場合はだいたい、テクスチャを割り当てるポリゴンの指定には色の境を意図していない。複数のテクスチャも画像編集ツールではなく、LightWaveサーフェース上のレイヤーでブレンドしたり位置を調整したりする。UVマップはサーフェースとは関連付けられるけど独立した概念なので、オブジェクト全体をくるむようなマッピングもメカの場合はあまりしない。

全部のポリゴンをひとつのサーフェースに統一してしまうのがもっとも簡単なんだけど、隣り合うふたつのポリゴンが、例えば平面のように続いていてエッジを共有している場合は、LightWaveのレンダーはそのエッジを省略してしまう。このため、カラーリングの境界に適切なエッジ・ラインが引かれず、ただ輪郭外形(シルエット)をなぞるだけの扁平な出力になってしまう。

主要な色に振り分け終わったら、必要なサーフェースをすべて同じ色に統一する。言うまでもないけど、サーフェースは非常にパラメータが多いので、サーフェース名を右クリックしてコピー & ペーストすると楽チン。今回は暗い青(RGB = 0,0,32)にした。

LightWave Super Cel Shaderを使う方法

Super Cel Shaderはほとんどの一般的なサーフェースの設定を無視するけど、念のため「反射光」や「光沢」、「鏡面反射率」、「透明度」の設定は「0%」にしておく。なお、「拡散レベル」を「100%」にしておかないとサーフェースが真っ黒になってしまうので注意。

Edge_Cel_000

主要な色のサーフェースの「シェーダ」タブにある「シェーダ追加」プルダウンメニューから「Super Cel Shader」を選択する。シェーダを右クリックすると出る「プロパティ」で4段階の明るさの階調の境界値を0~100%の範囲で指定するわけだけど、これをすべて「100%」に指定する。すると、まったくハイライトも影もない扁平な出力が得られる。

Edge_Cel_001

シェーダもプロパティごとコピー & ペーストできるので、ひとつのサーフェースを設定したら、あとはコピーして済ませておきたい。ただし、最低ひとつはシェーダを設定していないと右クリックできないので、シェーダを設定していない場合、「編集」ボタンをクリックして「貼付け」を選択して貼り付ける。このへんはちょっとインターフェースがいまいち。シェーダの設定とまとめてサーフェース全体をコピーしてしまうのも手だと思う。

最後に、別名で保存する。綺麗に色分けしたオブジェクトを壊しては何にもならないので、上書きに注意!

下記「共通手順・レイアウト」に進む。

自己発光を使う方法

自己発光を使うほうが実はLightWave Super Cel Shaderを使うより簡単なことに後で気付いた。

具体的には、モデラーの「色・質感編集」で、「自己発光度」を「100%」に設定し、「拡散レベル」を「0%」に設定する。Super Cel Shaderの場合とは逆に、「拡散レベル」が「100%」になっていると、自己発光していてもサーフェースに微妙な陰影が出てしまうのでソリッドなレンダリング結果を得られない。

Edge_Luminosity000

「高度な設定」タブを選択し、「グロウの明るさ」を「0%」に設定する。レイアウトの設定で無効にすることもできるけど、グロウエフェクトが効いてしまうとエッジ付近にぼんやりした輪郭が出力されてしまう。

Edge_Luminosity001

サーフェースの設定が終わったオブジェクトを別名で保存してレイアウトに配置するか、既存のシーンのオブジェクトを置き換える。元のオブジェクトを上書きしないように注意!

あとは、下記「共通手順・レイアウト」の手順で同じ設定をしていけば同様の結果を得られる。基本的な設定だけでシェーダをいちいち設定しなくて済むので、こちらのほうがオススメ。

共通手順・レイアウト

レイアウトのオブジェクト選択モードにしてから、「アイテムプロパティ」を選択する。「オブジェクトのアイテムプロパティ」ウィンドウが開いたら「輪郭」タブを選択。

「点/線の太さ」を2.0px(ミディアム)、「鋭角の折り目」、「共有しないエッジ」、「サーフェイス境界」をそれぞれ1.0px(スモール)に設定する。「シルエットエッジ」を2.0px(ミディアム)にしておくとオブジェクトの外縁がはっきりしてメリハリがつき、機械出力っぽさが少し減っていい感じになる。もっとカメラとの距離が近ければ「距離でエッジを縮小」オプションがうまく効くかもしれない。

Edge000

エッジの太さは用途と必要に応じて変更する。なお、「その他エッジ」は設定しない。

エッジ色はお好みで。今回はオーソドックスに白(RGB = 255,255,255)にした。

ちなみに、「その他エッジ」をオンにするとこうなる。極端な鈍角のある多角形を三角分割したポリゴンのエッジがそのまま出てしまう。これはちょっとカッコ悪い。

Dragoon-Wire_worth

「ウィンドウ」メニューから「背景オプション」を選択して「特殊効果ウィンドウ」を開く。背景色をオブジェクトの主要色と同じ(RGB = 0,0,32)にする。

Edge001

「プロセシング」タブにある「グロウ有効」はオフにしておく。

Edge002

レイトレースは今回の場合はむしろ問題になるので、ライトは平行光源などフォールオフしないものに変えておく。レンダリング時間も短くなる。

レンダリング時間を長くしてもいいことはないので、ラジオシティを指定していたら、「レンダーオプション」にある「大域照明」タブの「ラジオシティ有効」もオフにしておく。

Edge003

レイアウトのレンダーオプションでレンダーモードを「リアリスティック」に設定し、「ラインレンダー」のみを有効にしておく。

Edge004

他にオブジェクトを配置していなければ、レンダリングをかけると、背景部分にアルファ・チャンネルができる。有効に使いたいので、BMP形式よりはPNG形式や、使用できる環境であればPSD形式(Adobe Photoshop形式)にしておきたい。まだ加工するのであれば、少なくともJPG形式などの不可逆圧縮フォーマットは避けたい。

画像の加工

ここではレンダリング画像をいったんPNG形式で保存して他のソフトウェアに移す。今回は透過機能が使いやすいGIMP 2.6を使用した。主要な色に適当なしきい値(大きくすればするほどエッジ・ラインは細くなる)の色域で一括選択をかけてやるとエッジ・ラインの内側の部分もすべて選択できる。選択部分をDeleteキーで削除してやれば、エッジ・ライン以外はすべて透明になるので、透過GIF画像や透過PNG画像として使える。

色数が少ないので、PNGよりはGIFのほうがファイルサイズも小さくなって取り回しはいいかもしれないけど、用途に応じてお好みで。

ウェブページなどで使うときに背景色や背景画像から浮いて見えてしまうハロー現象を防ぐために二値化するのもいいけど、エッジが途切れてしまったり、アンチエイリアスがかからずジャギー(ピクセルドットの段差によるギザギザ)がくっきり出てしまったりするので「古臭いコンピュータっぽさ」を演出したい時でもない限り注意が必要。拡大縮小にも弱くなるので、画像サイズの調整は減色する前にやっておいたほうがいいと思う。

関連記事

LightWave Super Cel Shader 2.15

最終更新:2016/09/06

NightBlade002f

Super Cel Shaderの使い方をド忘れして無駄な時間を食ってしまったので、備忘録。

「色・質感編集」から「シェーダ」タブを選択。「シェーダ追加」プルダウンメニューから「Super Cel Shader」を選択。必要なサーフェースすべてに関して同様の手順。

シェーダの設定はモデラーでもできるけど、出力結果がOpenGLでは確認しにくいので、レイアウトのVPRで出力具合を確認しながら設定して、後でシーンをオブジェクトごと保存してしまったほうが手軽。Super Cel Shaderを一時的に使うだけの場合は、サーフェースの設定を保存しておくか、専用のオブジェクトを用意する。

オブジェクト選択モードにしてから、「アイテムプロパティ」を選択。「オブジェクトのアイテムプロパティ」ウィンドウが開いたら「輪郭」タブを選択。「点/線の太さ」を2.0px(ミディアム)、「シルエットエッジ」、「鋭角の折り目」、「サーフェイス境界」をそれぞれ1.0px(スモール)に設定する。「共有しないエッジ」は必要に応じて。「その他エッジ」は設定しない(ワイヤーフレーム風にしたければ設定する)。

「レンダー」タブを選択して、「レンダーオプション」をクリック。「レンダーオプション」ウィンドウが開いたらさらに「レンダー」タブを選択。「ラインレンダー」オプションを設定。通常のシェーダを使っている時にラインレンダーを選択してしまうとサーフェースが透明になってポリゴンのエッジだけ色がつく透過ワイヤーフレームが出力されてしまうけど、セルシェードをする場合にラインレンダーを指定しておかないとエッジのラインが出ないので注意。

機首はサーフェース境界なのでやむを得ないけど、カナード翼後ろの部分のエッジはモデリングの手間を減らす都合上生じてしまったもの。真面目に消そうと思えば消せる。主翼端にちょこっと出てる不規則エッジも原因はわかってるけど、今回は実験なのでひとまず放置。