LightWaveで二次元キャラ系人物モデリング奮闘記 ―UV編―

最終更新:2016/10/09

ボーン・ウェイトの設定が終わったので、次はIKの設定なんだけど、レイアウトに移る前にLightWaveにおけるUV展開について簡単にまとめておこうと思う。普通はUV展開後、テクスチャを用意してからリギングをするものなんだろうけど、動くかどうかわからないモデルに一生懸命テクスチャを塗っても意味がないのでIK以外のリギングを先に済ませておいた。

UV展開

LightWave標準機能にもUV展開用のツールが備えられているんだけど、平面状、円柱状、球状、アトラスの4種類からしか選べなくて、人物モデルのような複雑な形状のUV展開には向いていない。もっと言ってしまうと、その4種類しかないのであれば、UVマップである意義はあまりない。ただ、平面状であってもUVを使用するとバンプ・マップやノーマル・マップの凹凸がはっきり出るようになるので無意味とまでは言わないけど、必要性はかなり薄い。

そこで、フリーソフトウェアのLightWaveモデラー用プラグインplg_Make_UV_Editを使用する。LightWave関連書籍には大抵使い方が載っているLWユーザー必携のプラグインのひとつ。WEBサイトからプラグインのZIPファイルをダウンロードして解凍し、適当なプラグインフォルダにコピーしてモデラーに読み込ませる。x64ベースのWindowsでは動作を確認していないそうだけど、64bit版のLightWave 10で特に問題なく動作している。

本当はモデル全体のUVを展開する必要があるんだけど、ひとまず例として次の画像のジャケットのUVを展開してみる。

UV000

UVを分割する境界線をエッジで選択していくので、サブパッチはいったん解除しておいたほうが作業しやすい。図解のためにワイヤーフレームにしているけど、エッジの位置が確認しやすいものであればビューモードはなんでもいい。

UV001

plg_Make_UV_Editを起動し、次の画像の数値入力ウィンドウでUVマップ名を決めたらマップを分割するエッジを選択していく。Ctrlキーを押しながら選択すると最後に選択したエッジから最短距離の連続したエッジが選ばれるので、ポリゴン数が多い場合は幾分省力化できる。

UV003

どのように区切ったらテクスチャを塗りやすいかを考えながらエッジを選択していく必要があるんだけど、できるだけUVの分割線を目立たないところに設定しておくとテクスチャを描くときに継ぎ目の調整に苦労しなくて済む。テクスチャ・ペイント(3Dペイントとかポリペイントとか呼び方は様々)ができるソフトウェアを持っている場合は継ぎ目のことはあまり考えなくてもいいんだけど、UV展開をソフトウェア任せにしていると必要以上に細切れにされてしまい、テクスチャのどの部分がモデルのどこに相当するのかわからなくなり、画像編集ソフトウェアでの微調整ができなくなる恐れがあるので、一度は自分で工夫しながらUV展開する経験をしておくのをおすすめする。

UV分割があまりに大雑把すぎても、逆に細分化しすぎてもテクスチャを塗りにくくなるので、どんなテクスチャが必要なのか事前にイメージしておくことが重要になる。最初は加減がわからないと思うので、ざっくり前後に区切ってどのようにUV展開されるのか確認しながら分割するエッジを変更したり増やしたりしていってもいいと思う。展開時に無理があるところはプラグインが適当に補間してくれるので、すべての分割エッジが一筆書きのように連続している必要はないけど、エッジ選択をひとつ増減しただけでUV展開図が大きく変わることもある。

UV002

何かの拍子に選択したエッジがすべて解除されてしまうことがあるので、選択したエッジが複雑になってきたら適当なところで「Save Edge」でエッジ・データを保存しておく。

LightWave 11.5からようやく標準でもUVアンラップ機能が追加されたけど、ポリゴンの「パーツ」やポイントの「ポイントセット(選択セット)」のように過去に選択したエッジをまとめて保存しておく方法がなく、どこのエッジでUVを切り分けたのかを記憶しておいてくれないので、LightWave 7.5の時代に作られたplg_Make_UV_Editのほうがまだアドバンテージがある。

モデリング中のエッジ選択の方法とは異なり、選択判定が結構シビアでエッジの中央付近を正確にクリックしないと選択されないので、選択しにくい場合は、数値入力ウィンドウの「Hide Handle」のチェックを外してハンドルを表示させるとどこをクリックすればいいのかわかりやすくなる。次の画像のような静止画だと表示がゴチャゴチャしてかえってわかりづらくなっているように見えるかもしれないけど、プレビューを回しながら見てみるとハンドルがあるのとないのとでは相当違う。

UV004

また、「Ignore Backface」のチェックを外すと表側に見えていないエッジも選択できるようになるので、裏手に回り込んでいて選択しにくいエッジを選択したい場合などその都度使い分ける。

UV005

エッジの選択が終わったら、念のためエッジ・データを保存し、「Make UV」をクリックすると次の画像のようにUVが展開される。塗り分けテストのためにジャケットの本体部分と肩の部分を別のサーフェースにしていて、「Divide by Surface」を選択していたので、次の画像のようにジャケット本体から肩と襟がバラバラに展開されてしまった。

UV006

これではテクスチャを塗る時に都合が悪いので、肩のサーフェースをジャケット本体のサーフェースに統一し、再度「Make UV」すると次の画像のように展開された。肩とジャケット本体がつながっているのがわかる。「Divide by Surface」のチェックを外してもいいんだけど、それはそれで別の問題が起きることがあるので、モデルの都合で判断する。

UV007

このように、展開図が気に入らなかった時に何度でもUV展開をやり直すことができるので、plg_Make_UV_Editは非常に便利。エッジ・データさえ残っていれば、テクスチャを描いていて不具合に気付いた時にUV展開からやり直すこともできる。

現状ではUVマップに余白が多い。この余白を有効利用したい場合は、plg_Make_UV_Editと制作者が同じplg_Pack_UV_Chartプラグインで再パッキングできる。UVマップはモデルのジオメトリをUV平面に投影したものだけど、三次元空間とは独立した概念なので、UVマップ内にあるポイントを動かしてもモデルの形状には影響しない。最初は理解に苦しむかもしれないけど、色々試してみて少しずつ体感として理解していってもらうより他にない。

また、テクスチャを塗る時にポリゴンが左右対称、上下対称や直線状に並んでいたほうが何かと都合がいいので、あらかじめUVマップを整然と整列させておくという作成スタイルもある。ただ、テクスチャ作成が楽になる代わりに最終的にポリゴンに貼り付けた時に実際のジオメトリに合わせてテクスチャの伸縮が起こるので、文字や記号など模様に意味のあるものについては判読できなくなる可能性がある。

文字や記号の可読性とテクスチャ作成の簡略化を両立させることもできるけど、UVの特性を把握した上で、市松模様や水玉模様の歪み調整用のテクスチャを別に用意してテクスチャの歪みを丹念に修正しなければならないため、技術的にはむしろ高度になる。

今回はそれほど難しいテクスチャを作成する予定がないので、パッキングとUV編集は省略する。所望のUVマップが得られたら、Enterキーを押すか、plg_Make_UV_Editを割り当てたメニューボタンをクリックして編集モードを終了してUVマップを確定し、オブジェクトファイルを保存する。

テクスチャを描く

UVマップができあがったら、画像データに出力して画像編集ツールでテクスチャを描くんだけど、その画像出力でつまづき、結構悩んだ。LightWave 10からUVマップ(厳密には三面図のワイヤーフレームも含めて全部)をEPS形式で出力できるようになっている。「ファイル」メニューから「出力」を選ぶとEPSファイルにエクスポートできる。

UV008

次の画像のようなEPS出力ダイアログの「View」を目的のUVマップに設定し、ページサイズを選択する。インチスケールなので面食らうかもしれないけど、300dpi固定の解像度で出力されるので、デフォルトの6インチ四方だと1800×1800ピクセルの画像になって出力される。「Draw Grid」はグリッドを出力画像に埋め込むためのもので、必要に応じて指定する。「Draw Points」はよほど特殊な用途でない限り使う機会がない。

UV009

EPS形式はポストスクリプトに基づく画像形式なんだけど、ポストスクリプトの権利をアドビシステムズが保有していることもあり、対応している画像編集ソフトウェアが限られていて、メジャーなところではAdobe PhotoshopかIllustratorくらいしかない。GIMP2も一応ファイル形式の名前だけは表示されるけど、どういうわけか、正しく読み込まれない。

Illustratorの場合はUVマップがベクター画像として解釈されるので拡大縮小に強くなるという利点があるけど、ページのサイズは考慮されないので、上のダイアログでグリッドを出力しておかないと余白も含めたUVマップにピッタリ合う正方形の画像に形成するのでさえ負担になる。

ここでは、オーソドックスにPhotoshopでの編集方法を書いていく。PhotoshopでEPS形式ファイルを開こうとすると、次の画像のようなダイアログが表示される。6インチ四方、300dpiなので1800×1800pxのサイズになっている。これで特に問題なければ、「OK」を押すとラスタライズされる。アンチエイリアスはお好みで。マスクなどに自動選択ツールを使いたい場合はアンチエイリアスしないほうがいい場合もある。

UV010

ラスタライズが完了すると次の画像のようにUVマップがPhotoshopに表示される。これにレイヤーを重ねてUVマップをアタリにしてテクスチャを塗っていく。UVマップがラスタライズされたレイヤーは誤って編集してしまわないようにロックしておくのが無難。

Photoshopの場合はページサイズの設定や画像の位置調整が必要なく、すぐに描き始められるのが長所なんだけど、ラスター画像なのでPhotoshopをそれなりに使いこなす二次元作画スキルが必要になる。もっとも、最近のPhotoshopはスマートオブジェクト化が進んでいるので、幾何学的模様を任意の時点でパスによって変形・編集でき、さながらベクター画像のように作画することもできるようになっていて、Illustratorとの境目が曖昧になりつつある。

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ひとまず、何も塗らずにPNG画像に出力してジャケットに合わせてみる。色・質感編集(Surface Editor)からジャケットのサーフェースを選択し、「色」設定の「T」ボタンをクリックしてテクスチャ設定画面を開く(テクスチャを完全に削除したい場合はShiftキーを押しながら「T」ボタンをクリックする)。

レイヤー種に「画像マップ」を選択し、投影は「UV」、UVマップは作成したUVマップ名、画像はPhotoshopで出力したPNG画像を指定する。なお、透過PNGを指定することもできるので、透明ピクセルに相当する箇所はサーフェース色か直下に位置するレイヤーが透けて見える。

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「テクスチャ使用」をクリックするとモデルにテクスチャが貼り付けられる。次の画像のとおり位置はピッタリ合っているのは確認できた。ただ、サブパッチの都合で肩の部分が歪んでいるので、UVマップのポリゴン境界のとおりにテクスチャを塗ったとしても肩の塗り分けは綺麗にできないことが予想される。

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とは言え、サブパッチによる歪みを計算に入れてテクスチャを描くのは困難なので、Photoshopでは素直にUVマップのポリゴン境界に沿ってテクスチャを作成していく。主に肩の塗り分けと、前に垂れている襟の輪郭の塗り分け、ジャケットの合わせ部分の装飾と裾の塗り分けをしている。ほとんどベタ塗りだし、テクスチャの描き方はそれこそ千差万別なので細かい描き方は省略する。

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UVマップの境界線から余白にはみ出している箇所は無視され、モデルの表面には反映されないので境界線ギリギリに塗って継ぎ目にサーフェース色が一部残ってしまったりするよりは若干はみ出すくらいがちょうどいい。必要最低限の塗り分けが終わったら、UVマップのレイヤーを非表示にし、PNG画像に出力する。

LightWaveに戻り、着色前のテクスチャを着色済みのテクスチャに差し替える。前の画像に上書き出力して「画像編集」から再読み込みしてもいい。

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歪みの修正

UVマップのポリゴン境界線に沿って色を塗ったので、サブパッチの影響により次の画像のように色の境目が歪んでいる。着色前のマップで予想できていたし、ある程度はやむを得ないんだけど、このままではさすがに目立つし格好悪いので、放置するわけにもいかない。良い方法か悪い方法かは別にして、テクスチャではなくUVマップを編集して歪みを修正する。

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UVマップにテクスチャ画像を重ね、ポイントを選択して青色に塗られている方へ移動させる。ポイントの移動に従って色の境界が前方に動いていくのがわかるはず。

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近傍のポイントも移動させて青色の面積をやや拡大させながら色の境目の歪みが許容できるくらいになるまで調整する。左肩が終わったら、右肩も同様に修正する。こういう時にUVマップを左右(上下)対称に整列させてあるとポイントの移動量は単純に正負を反転するだけでいいので、どちらへ移動させればいいのか悩まなくて済む。今回は対象が片側4ポイント程度だったので軽微な調整で済んだけど、事前のUVの整理にかける労力と天秤にかけてどちらが気楽かその都度判断する。

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UVマップによるテクスチャの貼り付けが終わり、歪みの修正も済んだのが次の画像。ようやくジャケットらしくなってきた。

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古典的なテクスチャ画像作成法

EPS形式の画像ファイルを読み込めるソフトウェアを持っていない場合や、どうしてもベクター画像で幾何学的にテクスチャを描きたいことがある。そういう場合は、LightWave 9.6以前から使われてきた古典的な方法でUVマップからテクスチャ画像を作成する。

まず、UVマップを表示しているビューの右上の最大化ボタン(虫眼鏡ボタンの右隣り)をクリックし、UVマップをディスプレイの解像度の許す限り大きく表示させる。

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Alt+PrintScreenキー(F12キーの隣り)でウィンドウ全体のスクリーン・ショットを撮り、GIMPなどの画像編集ソフトウェアに貼り付ける。UVマップいっぱいで正方形にトリミングし、画像サイズを計測する。上の画像の場合は、984×984pxだった。トリミング後の画像をPNGなど圧縮で画質が劣化しない画像形式で保存する。

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次に、Inkscapeを起動し、ドキュメントのプロパティを開く。ページのサイズをスクリーン・ショットと同じ984×984pxに設定し、トリミングしたUVマップ画像をインポートする。

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インポートした画像はひとつのオブジェクトとして扱われるので、X座標とY座標をともに0に設定するとページの左上隅ピッタリに合わせられ、ページサイズとも一致させられる。

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スクリーン・ショットの色が濃い場合は、当該オブジェクトを選択した状態で左下の「O:」(Opacity)の数値を下げてオブジェクトの不透明度を下げる。スクリーン・ショットを置いたレイヤーは間違って編集しないようにロックし、新しいレイヤーを用意してそこにテクスチャを描いていく。テクスチャ画像をビットマップに出力する際にはスクリーン・ショットのレイヤーを非表示にすればいい。

スクリーン・ショットを土台にするなんて、すごく大雑把な方法に思えるかもしれないけど、LightWaveではなかば公式に利用されてきた伝統的な方法なので、結構正確にマッピングできる。

この方法に限ったことではないけど、UVマッピングは厳格な位置やサイズの調整が必要なマッピングにはあまり向いていないので(UVを綿密に設計すれば不可能ではないけど)、別のマッピング方法を試すか、LightWaveではメモリの許す限りいくつでもUVマップを作れるので新しいUVマップを用意してそちらを使用してレイヤーを複数重ねるかを選ぶことになる。

途中経過

取り急ぎ、無地のままでUV展開が必要だったジャケットだけテクスチャを作成した。二次元イラスト風にしたい場合はレイトレースやシェーディングに頼らずに影なども直接テクスチャに描き込んでしまうのが定石になっているけど、それは最後の手段に残しておいて、LightWaveならではのアプローチで非写実的出力を目指す。

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異方性反射(Anisotropicノード)

最終更新:2016/09/06

異方性(アニソトロピー、Anisotropy)というのは、物質の物理的性質が何かの方向により変わる特質のこと。宝石をはじめとする鉱物に光が入射する角度によって色が変わって見えたり、偏光性のある結晶のように角度によって光の透過率や屈折率が変わることなんかをひとまとめにして異方性という。異方性反射もそのひとつ。金属の表面に何らかの加工が施されていると、ピカピカに磨いたものとは異なる光の反射の仕方を見せることがある。

身近なところでは、CDやDVDの裏面なんかがそれにあたる。音楽や映像のデータを刻むために薄いアルミニウムの板に目に見えないほどの細かい同心円状の加工がしてあることで、光の当たり方によって虹色に光って見える。新旧を問わず、光ディスクは同様の特徴を持っている。

また、アルミニウムやステンレスなどの金属製品の表面を一定方向にわざと荒らして独特の風合いを出すヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)が有名。同心円状にヘアライン加工をすると円の中心で交わる扇状の異方性反射を生じ、放射状に加工を施すと同心円状の異方性反射を生じる。加工と反射がちょうど直交するのが特徴。特に、ヘアライン加工による異方性反射というと同心円状の加工をイメージする人も多いはず。

一応、どんな3DCGソフトウェアでも、オブジェクトの表面に加工がされているように凹凸をつけてやれば異方性反射と似たようなことはできる。ただ、ヘアライン加工くらいの微細なレベルになるとポリゴンの数が膨大になるうえ、手間もレンダリング時間もかかるので、おのずと限界がある。そこで、LightWaveでは異方性反射を模擬するAnisotropicノードというものが備えられているのでそれを利用する。この記事を書いている時点で利用しているLightWaveのバージョンは10.1。

サーフェースの設定関連ではノードの編集はあまり得意ではないんだけど、勉強もかねて同心円状のヘアライン加工を施した金属表現に挑戦してみた。次の画像がレンダリングしたもの。

Anisotropy007

色々試行錯誤してみた結果、ノードの構成は次の画像のような感じになった。

Anisotropy000

この画像だけだと設定がわからないと思うので、順に説明していく。まず、Anisotropic (1) ノード。

「Anisotropy U」と「Anisotropy V」がもっとも大事なところで、VをUよりも十分小さい値にすると、放射状の異方性反射になる。つまり、ヘアライン加工は同心円状ということ。逆に、VがUよりも大きいと同心円状の異方性反射になる。次に大事なのは「Specularity」だけど、ここでは「100%」にしている。「Mapping」を「Cylindrical(円柱状)」にしておかないと同心円状のヘアライン加工にならないので注意。

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次にAnisotropic (2) ノード。Anisotropic (1) よりも「Specularity」を若干控えめの「70%」にして、Vの値を少し大きめにする。Anisotropic (1) ノードとAnisotropic (2) ノードの「Color」出力をMathグループにあるScalarのAddノードで足してやってSurfaceの「Specular Shading」に接続する。

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Anisotropic (1) ノードとAnisotropic (2) ノードのColorは白(RGB = (255,255,255))になっているけど、実はなんでもいい。「Specular Shading」に接続した時点で色の情報は無視される。光源の色を変えても異方性反射の色が変わることはない。どうしても異方性反射に色を着けたければ、Surfaceの「Color」に直接接続することになるんだけど、実物感はかなり薄れる。

次に、異方性反射と同じ理屈で鏡面反射を模擬するAni-Reflectionsノードを設定する。ここでも重要なのは「Anisotropy U」と「Anisotropy V」で、U > V にすることで放射状の鏡面反射を生じさせることができる。また、通常の鏡面反射の設定と同様に「Dispersion」を設定することで反射をぼかすこともできるし、球状反射マップを指定することもできる。ノードの設定が優先されるので、サーフェースの環境タブで鏡面反射マップを指定していても無視される。

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Ani-Reflectionsノードの「Color」出力をSurfaceの「Reflection Shading」に接続する。これだけでも異方性反射らしい感じにはなるのだけれど、肝心のヘアライン加工が見えない。

そこで、LightWave付属のコンテント・ディスクに入っている画像を利用する。画像は Content\Images\Surface\Anisotropic フォルダにある brushed_03.bmp を指定する。なお、この画像はLightWaveを購入した人にのみ使用権が与えられる契約になっているものなので、フリー素材ではなく、ここでは配布できない。

Image (1) ノードは次の画像のような設定になっている。「Mapping」に「Spherical(球状)」を指定しておかないと円柱の上面に同心円状のヘアラインが出ないので注意。

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Image (1) ノードの「Color」出力をAnisotropic (1) ノードとAnisotropic (2) ノードの「Color」入力に接続することで、異方性反射にヘアライン加工のような同心円状の筋が入るようになる。しかし、異方性反射以外の部分にはヘアラインが見えないのでさらにひと工夫。

Adobe Photoshopで先ほどの brushed_03.bmp を加工してノーマルマップ用の法線マップを用意する。ノーマルマップはメニューバーから「フィルター」-「3D」-「法線マップ」を選択すると設定ウィンドウが表示されて生成できる。あまり大きな凹凸をつけるつもりはないので、「ディテールスケール」を「10%」、「ぼかし」を「0」に設定して生成する。「コントラストのディテール」は特に変更しなかったが、「弱」「中」「強」ともに「20%」。

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法線マップの機能はPhotoshop CC 2015で追加されたものだそうなので、古いバージョンには実装されていない。法線マップを自力で描くのはほぼ不可能と言ってもいいくらいなので、Photoshopを持っていない場合などは、ネットで画像をアップロードするとノーマルマップを生成してくれるウェブサイトがあるので、そちらを利用してもいいかもしれない。

保存した法線マップをNormalMapノードに読み込む。「Mapping」や軸などは Image (1) ノードと同様の設定にしておく。「Amplitude」はごく小さく、「5%」にしておく。今回は微細な加工を意図しているため、あまり大きくしてしまうと表面にモアレのようなノイズを生じやすくなる。バンプ・マッピングでも似たようなことはできるけど、ノイズを生じやすく、ヘアライン加工のような場面ではあまり使い勝手が良くなかった。

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NormalMap (1) ノードの「Normal」出力をサーフェースの「Normal」入力に接続する。これで微細な凹凸が表面に追加され、異方性反射にも若干の分散のようなものが生じてそれらしくなる。

ただ、光が当たっていない部分のヘアラインがまったく見えないので、Diffuse Shadingを使用する。Diffuse(拡散レベル)用のテクスチャを同じく brushed_03.bmp からPhotoshopで加工する。レベル補正をかけて、明るいところはそのまま、暗いところを更に暗くするように設定。(他のMathノードなどを使って補正することができるのかもしれないけど、思いつかなかったのでPhotoshopで無精した)

Anisotropy009

保存したDiffuse用のテクスチャをImage (2) ノードに読み込む。これでも明るすぎたようなので、「Luma」出力をMathグループのDivideノードで10分の1に輝度を縮小させてSurfaceの「Diffuse Shading」に接続する。ちなみに、LumaはLuminanceの略語というか、コンピュータ用語における造語だそうで、輝度を表す。「Luma」出力の代わりに「Color」出力を使っても結果は同じ。

Anisotropy004

Diffuse Shadingを使用することによって、同じ表面の中でも明るいところと暗いところができ、同心円状のヘアライン加工らしい筋が見えるようになる。

ただ、これにはひとつ問題がある。勉強不足で理屈はよくわからないんだけど、Diffuse Shadingを使用するとサーフェースの色の情報がまったく受け付けられなくなる。Make ColorノードやColor Toolノードを追加してSurfaceの「Color」に接続しても同様。

塗装もしていない金属の地金ように色のないオブジェクトの場合はこれでもいいんだけど、塗装された表面を表現しようとするとヘアラインを諦めるか、クリアコーティングのように半透明のサーフェースで覆うといった別の工夫が必要になる。鏡面反射を設定している場合、背景色を変更すればその色を映し出させることはできるけど、他のオブジェクトにも影響を与えてしまうので根本的な解決にはならない。光源の色に影響を受けないのはSpecular ShadingやReflection Shadingと同様で、Shading系の機能を使用すればするほど実物感は増すものの、サーフェースの表現には制約を受けるようになる。

以上のように、ノードの設定は結構大変。大変ではあるんだけど、ノーマルマップのようにノードを使わないと実現できない表現もあるのですべてを避けて通るのも難しい。

最初は、順を追って各ノードの効果をレンダリング画像とともに例示していこうと思っていたんだけど、とてもではないけどひとつの記事としては長くなりすぎてしまうので、最終結果の説明のみに留めた。

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アンチエイリアス部分にアルファチャンネルを適用する

最終更新:2016/09/06

3DCGモデルのエッジ・ラインの抽出について書いた2013年5月14日の記事では、エッジ・ラインだけを残してそれ以外を透明にするためにGIMPの「色域を選択」機能で一括選択してざっくり削除していたけど、アンチエイリアシングで生じた暗い色のピクセルもそのまま残ってしまい、あまり綺麗にはできていなかった。

そこで、8ビット256階調のアルファ・チャンネルを利用してピクセルが暗くなるほど透明度が増すように設定し、背景に溶け込ませることができないだろうかと考えた。画像処理を得意とするソフトウェアを開発する企業の中には当然同様のことを考える人はいて、誰もが知っているAdobe Photoshopはもちろん、フリーライセンスのGIMPでも「レイヤーマスク」という機能で実現されている。モノクロ256階調のレイヤーマスクが黒に近いほどレイヤーの表示は透明に近づき、白に近いほど不透明度が増していく。

マスクを使うとなれば、グレースケールとしても使える画像のほうが何かと都合がいいので、前の記事では、背景色やサーフェース色を暗い青 RGB=(0,0,32) に指定していたけど、これを黒 RGB=(0,0,0) に設定しなおす。エッジ・ラインの色は白 RGB=(255,255,255) で同じ。前回はLightWaveの出力をアルファ・チャンネルとともに32ビットPNG形式で保存していたけど、あえてアルファ・チャンネル情報を破棄して24ビットPNG形式で保存する。

今回用意したのは次の画像(モデルは前回のものとは若干異なる)。

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Adobe Photoshopによる方法(Photoshop CC 2015)

Photoshopで対象となる画像を開き、レイヤーパネルの下に並んでいるアイコンの中の左から3つめの「レイヤーマスクを追加」ボタンをクリックする。メニューからでは、「レイヤー」-「レイヤーマスク」-「すべての領域を表示」を順に選択する。すると真っ白なレイヤーマスクのサムネイルが当該レイヤーの隣に追加される。

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次に、対象画像のレイヤー(カンバス)を全選択(Ctrl+A)し、コピー(Ctrl+C)しておく。レイヤーマスクのサムネイルをクリックして選択状態にして、更にAltキーを押しながらクリックすると、レイヤーマスクの編集画面になる(この辺はちょっとわかりにくかった)。コピーしておいたレイヤーをペースト(Ctrl+V)する。選択状態になっていてペーストできない場合は、いったんカンバスの外をクリックするなどして選択を解除しておく。

LightWaveでの画像保存でアルファ・チャンネルを破棄したのは、コピーしたレイヤーの余白に透明部分があると普通にペーストするだけでは同じ位置に貼り付けられないことがあるのと、透明だった部分のマスクは真っ白のままで変わらないので、あらかじめ黒で塗りつぶしておかなければならないから。位置については「編集」メニューから「特殊ペースト」、「同じ位置にペースト(Shift+Ctrl+V)」を順に選べばいいんだけど、1ピクセルでもズレると結果が大幅に変わってしまうので、余計な手間はないに越したことはない。

なお、今回は白い実線部分を残しておきたいので、「階調の反転」は行わない。

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再びレイヤーのサムネイルをクリックすると、元は黒かった部分が透明になっている。わかりにくければ、背面に何か色のついたレイヤーを一時的に差し入れてみる。エッジ・ラインに隣接するアンチエイリアスのピクセルもレイヤーマスクの階調に従って半透明状になっているので、これを「ファイル」メニューから「別名で保存」を選択してPNG形式で保存する。

GIMPによる方法

GIMPの場合はPhotoshopよりもシンプル。レイヤーなどが表示されているパネルで対象画像のレイヤーを右クリックすると、「レイヤーマスクの追加」というメニューがある。メニューからでも「レイヤー」-「レイヤーマスク」-「レイヤーマスクの追加」で実行できるけど、右クリックのほうが操作は直感的。

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クリックすると、どのようにレイヤーマスクを生成するのか「レイヤーマスク追加」ウィンドウで聞いてくるので、「レイヤーのグレースケールのコピー」を選択して「追加」ボタンをクリックする。これだけでいい。GIMPのインターフェースに慣れてさえいれば、レイヤーマスクの編集の手間がない分、Photoshopよりも手軽ではある。

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対象画像を「可視部分」と「不可視部分」に分けて重ねているだけで、特殊なアルゴリズムを用いているわけではないのでソフトウェア間の性能差は生じにくく、Photoshopでやっても、GIMPでやっても基本的に結果は変わらない(はず)。

レイヤーマスクを利用して加工したものが次の画像。白い実線以外の部分は透明になっているのがわかりやすいように、ウェブサイトの背景画像の上に表示されているもののスクリーンショットをとった。元の画像よりもエッジが細くなった印象はあるけど、従前の方法よりシャープさが増し、不自然な段差も少ない。エッジの太さについてはLightWave側でなんとでもできる。全体的には綺麗にできていると思うけどいかがだろうか。

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