LightWaveで二次元キャラ系人物モデリング奮闘記 ―服装編3―

最終更新:2016/09/06

基礎的なモデリングももう大詰め。最後にまったく手をつけていなかった靴を作る。

足の調整

まず、どんな靴を履かせたいのか検討し、それに合わせて足の形状を調整する。最初は次の画像のように爪先から踵までぴったり地面に着いている。当初はヒールの高い靴のことを想定していなかったため。

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そこで、爪先側のポイントを選択して下(Y軸方向のマイナス方向)に変形させる。移動量は、仮に靴のサイズを24cmとした場合、7cmのヒールがある靴だと大体足の大きさの3分の1くらいが目安。単純に爪先を下げるだけだと足全体のサイズが大きくなってしまうので、少し後ろに下げて足の大きさが不自然に伸びてしまわないように調整する。

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靴の基礎を作る

ローポリゴン・モデルでは靴を脱がないことを前提にして足を直接加工して靴を作ってしまうという方法が一般的。ウェイト・マップの設定が簡略化できるなどの利点もあるけど、靴の種類を変えたい場合などに後の応用がきかないので、あえて別パーツで作る。

まず、片方の足首から下の部分をコピーして別のレイヤーに貼り付ける。デフォルトでいいので靴用のサーフェースを設定しておくとわかりやすいだろう。他の服装と同じようにThickenツールで厚みをつけてもいいんだけど、靴は入口がひとつしかなく出口もなくて比較的簡単なので、別の方法を使ってみる。

先に裏地を作る。もうひとつ同じものを別のレイヤーに貼り付け、全体のポリゴンを反転(Fキー)させる。

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足首から下の部分は必要ないので削除する。服の裏地は方向によっては見えることもあるかもしれないけど、どんな方向から見ても靴の中まではさすがに見えない。モデリングを簡単にするためにもポリゴンを減らしておく。

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最初にコピーしたレイヤーに戻り、靴の外形を形成する。ここではスムース拡大縮小ツールを使用する。ここでは20mm拡大している。普通の拡大縮小ツールと異なり、法線方向を参照して拡大縮小してくれるので、足の形を単純に大きくしただけのゴム長靴のような形にはならない。

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裏地を作ったレイヤーを切り取って外形のレイヤーに貼り付ける。次の画像のように表地と裏地の間に隙間ができているので、エッジを1組ずつ選択してブリッジで接続していく。いっぺんにブリッジできれば便利なんだけど、想定外のところとブリッジしてしまうことがあるので、八角形くらいならひとつずつ確実に処理していく。

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ブリッジが終わってサブパッチを適用すると次の画像のようになる。まだ靴下のような形だけど、これが靴の基礎になる。

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爪先と足の甲を作る

さすがに八角形のままではポリゴンが少なくて加工しにくいので、正中線を挟んで右左のポリゴンをバンドソープロで分割する。まず左側を分割。

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右側も同様にバンドソープロで分割する。

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靴らしい形に整えていくために、爪先の部分のポリゴンと足の甲にあたる部分を次の画像のように選択する。

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拡張プラス(Eキー)でポリゴンを増やし、更にスムース拡大縮小ツールで更に20mm拡大する。

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靴底が丸くなっていて陸上競技用のランニングシューズのようになっているので、更にエッジを追加して靴底の角を立たせると同時に装飾をはっきりさせる。普通は拡張プラスを使っていくんだけど、いつも同じでは芸がないので、ここでは実験的にラウンダー(Rounder)を使ってみる。サブパッチを解除し、次の画像のようにエッジを選択する。

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ラウンダーの設定は次の画像のとおり。「Rounding Polygons」を「1」に、「Inset distance」を「10mm」にしてある。

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ラウンダーを実行すると次の画像のようになる。うまく外縁部のエッジにだけラウンダーがかかった。サブパッチを適用してみると爪先の靴底がかなり平らになり、足の甲の装飾部分も少し際立った。

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踵とヒールを作る

次に、踵の部分のポリゴンを選択し、拡張プラスとスムース拡大縮小ツールで踵の厚みを増す。

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そのままの状態で選択をエッジに(Sel Edges)を使用してエッジ選択モードに切り替える。

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選択しているエッジを減らし、次の画像のように踵の上と下の部分のエッジだけ選択しておく。

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ここで更にラウンダーを実行する。設定は爪先と同じ。踵のほうでは上下のエッジが縦に接続されてしまい、角を丸めるためのポリゴンが追加されてしまった。

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ラウンダーの動作としてはまったく問題ないんだけど角を丸めるポリゴンは必要ないので、ポイントの統合ツール(Ctrl+W)か平均統合を使って間を詰める。すると、線ポリゴンが多数できるので、Wキーを押してポリゴン状態ウィンドウから「2頂点」のものだけを次の画像のように選択して削除する。

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ラウンダーを使用したら、サブパッチ(正確にはキャトマル)がかかっていない部分ができてしまった。

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「面」という行に表示されているポリゴン数がサブパッチがかかっていないところなので、それだけを選択して、Tabキーを押してサブパッチを適用する。

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サブパッチがかかっていないポリゴンだけを選択した状態が次の画像。投げ縄選択なんかでも選択できそうだけど、サブパッチがかかっているところとかかっていないところが入り組んでいると問題ないところまで更にトグルしてしまうので、ポリゴン状態ウィンドウを使ったほうが確実。

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もちろん、ラウンダーを使用しなければこういった事態は起きなかったかもしれないので、サブパッチ・モデリングにラウンダーを持ち込むのは少々無理があるようだ。

このあたりで軸でポイント整列(Align Points to Axis)ツールを使って踵周囲のポイントのY軸を揃えておいたほうがいいと思う。先走って先に進めてしまったので、後で整列させることになってしまったけど、加工を始める前に整列させておいたほうが賢明。

次にヒール部分を作る。踵の底面のポリゴンを選択し、拡張プラスと移動ツールで引き伸ばしていくいつもの方法。

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先細り(Taper2)ツールでヒールの先を20%程度まで尖らせておく。

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選択範囲を1段階拡張(}キー = Shift+])し、斜体(Shear)ツール([キー)でヒール部分を前にずらす。フォールオフ形状は初期設定の「右上がり」では踵のほうが動いてしまったので、次の画像のように「右下がり」に変更してヒールのほうが動くようにする。

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斜体を実行した後の状態が次の画像。

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靴底の整理とサブパッチ強度の調整

足の甲のあたる部分のポリゴンが前後に長く、爪先や足首側のエッジを大きく引っ張っていて操作しにくいので改善したい。バンドソープロで分割するのが手っ取り早いんだけど、足から切り取って靴を作った都合で足の裏にあたるポリゴンが少し込み入っていてうまく分割できない。そこで、靴底のポリゴンを少し整理する。

ポリゴンの切り分けを変更するためにトポロジーが集中している箇所の次の画像に示したエッジを選択し、デバイドを1回使ってポイントを1つ増やす。

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スペースキーを押してポリゴン選択モードに切り替えると次の画像のようになっているので、選択をポイントに(Sel Points)を使用して関連するポイントを絞り込む。このあたりは細かいポリゴンが集中していてマウスによるポイントの選択や選択解除が難しいので、いったんサブパッチを解除して大きく拡大し、自分がどのようにポリゴンを区切りたいのかよく検討する。

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次の画像がポリゴンの分割方向を切り替え終わった状態。

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3ポイントのポリゴンができているので、靴底側の隣りのポリゴンと結合(Shift+Z)する。これでトポロジーがすっきりする。

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次に、靴底中央部分にあたるポリゴンも整理したいので、次の画像の矢印で示した方向でポリゴンを選択し、バンドグル(Band Glue)ツールで自動統合させる。バンドグルを使いたい時は、統合させたい方向にエッジと交差するように選択しなければならない。同じポリゴンを選択していても、選択方向を間違えると統合のされ方が変わってしまう。

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バンドグルで統合し終わった状態が次の画像。選択したのは矢印で示したポリゴンだけだけど、その隣りにある2ポリゴンも同様に統合されているのがわかる。今回は4組8ポリゴンだったので手動で統合していってもそれほど苦労はないんだけど、これが数十組という単位になった時、一括で処理してくれるバンドグルは特に高い威力を発揮する。

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靴底のポリゴンの整理が終わったので、靴の周囲のポリゴンをループ選択で綺麗に選択できるようになる。うまく選択されない場合は、バンドグルの処理の過程で生じた不要なポイントが残っていることがあるので、それらを削除する。

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このポリゴン群をバンドソープロで3等分した。2分割でもいいかとも思ったけど、もう少し作り込みたいので、3分割にした。

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バンドソープロで分割したのが次の画像。分割前の上の画像と比べてみると、足の甲と爪先の部分の引っ張られ具合が緩くなり、無理矢理引き伸ばしたような印象がなくなった。

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片方の靴が大体できたら鏡面 Xで反対側の靴を複製する。

途中経過

まだ靴にベルトなどの装飾を加えていきたいけど、同じような操作の繰り返しになるので省略。出来映えはともかく、必要なものはひととおり揃ったこともあり、モデル本体の作り方の過程はひとまずこれで終わり、次回からボーンやウェイト・マップを設定するリギング作業に移っていきたいと思う。

まずはひととおり完成させないことにはポーズひとつ満足につけられない。UVマップの展開やテクスチャの作成などやるべきことはまだたくさんあり、モデリングにばかり時間を使っていられなくなってきたのもある。

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