Dragoon general statement
MacLane Aerospace Dragoon FSmk.I
(GUSF code:F/A-26 Dragoon)
(GUSF code:F/A-26 Dragoon)
開発経緯 Details of Development | ||||||||||||
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ドラグーンFSmk.I(GUSFコード:F/A-26 ドラグーン)は、マクレイン・エアロスペース社のクラウス・ボルン氏によって発案された中量級汎用宇宙戦闘攻撃機である。 徹底的な規格統一であらゆる現行兵器を航宙機に装備し、多彩な任務をこなさせるというコンセプトは、開発開始の決定が出るまでマクレイン・エアロスペース社内に多くの議論を巻き起こし、初期段階から開発の難航を予想させた。 なぜなら、人型機動兵器に武装を偏らせて搭載することによる重心の偏移は、四肢の動きによってカバーできるが、可動部分の少ない航空機型機動兵器の重心偏移は非常に大きな問題となるからだ。 しかし、予想に反して、機体および武装の完全ユニット化は比較的容易に進み、機体本体の設計の優秀さを証明した。 また、ボルン氏の開発した多数決方式アビオニクス「MARIONシステム」は、航行管制システムと火器管制システムが統合されており、これまでにない処理速度と精度を誇り、関係者を2度驚かせた。 しかし、結果として、装備変更による機体全長や重量、全幅、推力の変化は、パイロットに重大な難問を強いた。装備の交換によって、同じ機体でありながら、まったく別の機体であるかのような感覚を抱かせたのだ。 ドラグーンはハイポテンシャル過ぎるが故に、パイロットを選ぶ結果となったのである。 提案要求という形で汎用戦闘機を同社に開発を依頼した軍は、試作機のテストの結果を見て、ドラグーンの制式採用を見送る決定を出そうとした。しかし、12度目のテストにおいて、一瞬のうちに5隻の標的艦を撃沈したパイロットを見て、軍は考えを改めることになるのだった。 そのパイロットこそ、後にドラグーン中隊を率いることになる、マーリオン・ボルン少佐(当時中尉)だったのである。クラウス・ボルン氏の実娘である・・・。 | ||||||||||||
装備 Armament | ||||||||||||
オプションによって、様々な武装および装備を装備できる。火薬式のバルカンガンからレーザー、レールガン、ミサイル、ビーム兵器も装備できる 基本アビオニクスは、5台のコンピュータの多数決方式の「MARIONシステム」。多数決方式によって搭乗員をサポート、最悪の事態を想定し搭乗員の安全を確保、また、より効率的な攻撃を行う。 | ||||||||||||
MARIONシステム MARION System | ||||||||||||
MARIONシステムはドラグーンに搭載された航空管制および火器管制システムを統合した総合アビオニクスである。 複雑なドラグーンの全機構を無駄なく完全に制御し、パイロットの生命を優先しつつ敵機を的確に撃墜することをサポートする。ドラグーンの機体そのものも極めて高価であるが、その価格のうち約50%をMARIONシステムが占めると言われているほど重要な要素である。 MARIONシステムはボイス応答システムを搭載し、パイロットの口頭での指示に対応することができる。そのため、パイロットは各種機体コントロールをMARIONシステムに一任することが可能で、操縦と射撃に専念することができる。 "MARION"は略称で、正式には、 Multi-purpose Agent with Recognizable Intelligence and self-Organized Nerves と呼称される。日本語では「認識可能な知性と自己組織化した神経系を有する多目的エージェント」システムと訳される。 MARIONシステムは5基の超小型スーパーコンピュータによる多数決処理と、並列処理を行う。それぞれのコンピュータ自身も多数のMPUを持った非同期式超並列コンピュータ※1である。 なお、それぞれのコンピュータには、以下のような名前が付けられている。
以上の表からもわかるように、それぞれのコンピュータは性格付けされたアルゴリズムを用いて、それぞれがもっとも適切と思われる方法を導き出す。 | ||||||||||||
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上の図はMARIONシステムの構造を推測して概略化した概念図である。マクレイン・エアロスペース社から直接発表されたものではない点に注意されたい。 基本的には現代ですでに考案されている「ニューラルネットワーク※2」に酷似したアルゴリズムを使用していると考えられている。 機体各所(光学カメラ、各種センサー、レーダー、武装の残弾・動作状況、エンジンの出力・状態、パイロットの状態など)から得られるx1からxnの入力に対し、各プロセスがそれぞれの答えを導き、最後にそれを総合して最終的な解を導く。w1からw5はそれぞれのプロセスの重みになっている。通常の多数決方式の場合はw1からw5はすべて同じで、どれも平等に評価され、純粋に5人の多数決と同じになるが、MARIONシステムの場合はこれが平等でない場合があるという未確認報告がある。 これらの重みを操作し、5つのプロセスを統括する6台目のコンピュータがあると推測されているが、マクレイン・エアロスペース社からはこれに関する公式な発表は一切行われていない。 ※1.非同期式超並列コンピュータ 超並列コンピュータとは、最低でも100個のMPU(Micro Processer Unit)を持ったコンピュータのことをさす。この考えでいくと、たとえばペンティアムクラスのMPUを100個持つコンピュータでも、4ビットのMPUを100個持つコンピュータでも超並列コンピュータと呼べることになる。しかし、大規模なMPUを搭載すればするほど処理速度そのものは速くなるが、コンピュータ全体の規模が大きくなってしまうので、小型化を要求するならその辺のバランスが要求される。 並列コンピュータの構造(トポロジ=幾何学的形状)は直接結合網(静的網)、間接結合網(動的網)の2種類に分類され、さらに細かい分類があるが、ここでは割愛する。なお、現代でも商用などに実用化されている。 非同期式コンピュータとは、現在はすべてクロックという同期信号を基準にして動作しているコンピュータをそれぞれのユニットの速度の都合で勝手に動作させるという半ば現在のコンピュータの常識を覆す画期的なコンピュータ。非同期にすることで、現在の半導体技術でも現行(同期式)の数倍のパフォーマンスを発揮することができるとされている。 市販はまだ先の話だが、最新の研究報告では十分実用に耐えられるレベルまで到達している。 非同期式超並列コンピュータとは上記のふたつの技術を統合したもの。現代の並列コンピュータは必ずどこかで同期を取らないとならないため、前提に矛盾する部分があるが、非同期式が一般化すれば当然「非同期式で並列コンピュータを作ったら速いのではないか」という欲求が生まれるのは自然であり、不可能ではないと考えられる。無論VF世界での架空のコンピュータである。 ※2.ニューラルネットワーク 人間の脳細胞組織の接続を模倣し、NP問題と呼ばれる有限ながらも実用上無限に近い計算時間を要する問題をできるだけ短時間で解を導こうとするアルゴリズムのこと。 ちなみに、現行の最速のコンピュータを使用し、ニューラルネットワークアルゴリズムを用いても人間の足元にも及ばない。人間なら一瞬で出せる答えをコンピュータは一ヶ月たっても出すことができない。 NP問題の例を挙げておくと、「巡回セールスマン問題」というものがあり、N個の都市をできる限り短距離で、かつ同じところを2回まわらないように一巡する(一筆書きにする)、というものである。人間なら簡単に答えを導けるが、CPUクロック1GHzのコンピュータがこの問題を解こうとする時はニューラルネットを使わない場合、都市の数が30個になると、4,600億年という莫大な時間がかかる。 ニューラルネットワークには階層型、相互結合型(ホップフィールド型、ボルツマンマシン型など)の2種類があるが、MARIONシステムは階層型に比較的近い。 |